立ち止まってはいけない~日進月歩の「科学」と人間の「幸福」を考えよう~

はじめに

どんな場面でも「立ち止まってはいけません」・・・

科学の進歩が、人間を幸福にするとは言えないからです・・・

進歩を止めることができません。だから幸福のための努力・継続が必要です。

「すべての進歩をストップさせろ」という学者がいますが、賛成しません。

歴史上「革命」を起こしても、不可能だったのですから・・・

科学の進歩は、人間が自然界の不思議に気づいて、太陽・月・星座の運行を観察することから始まったと思います・・・

生活の中の「知恵」が科学を生み出したと思います。観察と実験の結果です。

観察記録の集積の上に「暦」ができて、人々の「幸せ」を創造した・・・

中国の暦
中国の暦 【画像の引用元
インドの暦
インドの暦 【画像の引用元

古代ギリシャ・中国・インドの哲学者は、自然界の「天体運行の観察」から人間の生活を潤す「科学」の進歩を求めた・・・

いま、地球は激変中です。改めて科学と幸福のバランスを考える時です・・・

コラム【世界中に、なぜ「暦」があるのか?】

暦の歴史を調べていくと、人間と自然の関わりに行きつきます。人間が生きていく上に必要な「種まき」「収穫」の時期を正確に把握するためには必須だったのですね。食料となる農作物の成長を知るには、太陽・月・星の動きの観察が必要だったからです。

マヤビ暦ピラミッド チチェン・イッツァ
マヤビ暦ピラミッド チチェン・イッツァ 【画像の引用元
マヤの暦
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特定の祭り・儀式・イベントといった社会的・政治的な行事を開催することと関係していますね。人々の生活・幸福維持のために、科学は「暦」を作らせたのです。

進歩Ⅰ:「光学」の発達はイスラム世界から

先日、私は「新しいメガネ」をつくりました。レンズの交換です。

最近のメガネは、フレームを中心とした営業が盛んです。メガネがファッションのレベルなら納得しますが、「メガネの本質はレンズ」です。レンズは、材料の選定・レンズ製造・コーティングなど技術の粋を集めたものですから、本来は微妙で繊細な商品なのです。「光の屈折」「曲率半径」などを駆使して製作しますね。学問的に言えば「レンズの公式」もあります。

「光学」の発展は11世紀のアラビアの学者アルハゼンの「光学の書」に拠るところが大きいです。彼はカイロで活躍した学者ですが、反射・屈折・光の性質などについて後世に大きな影響を遺しています。

また「光学の研究」ではニュートンのプリズムを使った実験が有名です。私は第87回に書きましたが、白色光を分光して「色彩」に大きな影響を遺しました。18世紀のトマス・ヤングの「光の波動性」の提唱は波紋を呼び、マクスウェルの「光は電磁波」に繋がりました。20世紀の量子力学では、レーザー技術・光ファイバー通信などの応用で、医療の画像診断・内視鏡・MRI・CTスキャナー・X線など凄い進展を見ましたから、私たちも光学の発展を身近に感じることができるようになりました。メガネのレンズもそのひとつです。

MRIの検査
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内視鏡の治療
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レンズは「光の屈折の法則」を利用して、凹レンズ・凸レンズを組み合わせて収束・分散させて、望遠鏡や顕微鏡・メガネ・マイクロスコープなどの光学機械の開発に繋がりましたね。レンズの設計・製造技術が進化して薄型レンズの開発などになり、科学が生活の中でなくてはならないものになっています。

コラム【ガリレオ・ガリレイの「望遠鏡」レンズ】

私達になじみ深いのはガリレオの「天体望遠鏡」ですね。ケプラーはティコ・ブラーエ(デンマークの学者)がまとめた「観測データ」の上に天体の運行を「三つの法則」にまとめていますが、望遠鏡のレンズを使用した観測は行っていません。17世紀初頭にガリレオが改良し使用した望遠鏡は、オランダのメガネ職人が1590年代に凹凸レンズを組み合わせた玩具からヒントを得たものだと言われています。

ガリレオは望遠鏡により①ジュピターの観測・衛星乗発見、②月面のクレーター、③金星の位置変化など、天文学を中心とした科学の発展に寄与しましたね。「宗教」的な枠を外した「科学」の進歩です。

進歩Ⅱ:ハード面から生成AIを捉える

君のスマホの中に内蔵されている複数の「AI半導体チップ」について考えてみましょう。いま、ソフト面から「生成AIの有効性と危険性」の議論が多いですが、ハード面から考えると日本には「AI半導体」をつくる企業が不足しています。君は理系進学を考えているようですから、頑張る時ですね。

AI半導体

ウクライナ侵攻に使われている「ドローン」などの兵器にも「AI半導体」が組み込まれています。現在の日本には1980~90年代の「世界をリード」した東芝のような半導体メーカーがないのです。開発には、巨額な資金が必要です。日本は危機的な状態にあるというのが業界の認識です。また開発プロジェクトには、日本国内だけでなく、国家の枠を超えた人材が集められています。

国家の枠を超えた人材

生成AIの開発競争は高度化し、私達の生活環境を変えていくでしょう。

コラム【CPUとGPUの違いは?・・・】

自宅で仕事をしていて困ることは、パソコンの故障です。会社にいる時は「誰か」に依頼すれば簡単に助けてくれたのに、自宅には誰もいません。仕方なく、ご近所の人に助力をしてもらうのですが、私は基本がわかっていないのでCPU・メモリーさえ手探りなのです。CPUは「命令系統をつかさどる脳の機能」で、プログラムの実行やデータ処理を担当していることが、ようやく理解できました。君は、スマホに内蔵されているGPUを理解していますか。GPUは計算処理・機械学習・科学計算に使われていますが、これを開発したNVIDIAという企業を知っていますか。Z世代・α世代の君は、こうした基本的なことを理解して欲しいです。

進歩Ⅲ:不思議・驚きから生まれたのが科学

何もないところに「不思議」を感じ、日々の暮らしの中の「驚き」が重なって、科学的な考え方ができたのです。恐怖の対象だった「火」を使いこなし、流転する「水の動き」を制御する。「科学」の進歩です。古代のメソポタミア・ギリシャも同じだったでしょう。古代中国においては、天(宇宙空間)に通じる道(Tao)があって、天が人間の生活を統御しているという考え方が、道学の「無為自然」という思想哲学に繋がったのでしょう。

天(宇宙空間)に通じる道

天空は「陰」「陽」の両極からできているという「陰陽思想」、「木」「火」「土」「金」「水」の五つが、生成と破壊のサイクルを創り出すという「五行思想」が生まれたのでしょう。自然と一体になった日々の暮らしの中で、約2,500年前に「諸子百家」といわれる学者・学説群を生み出したと考えられます。この「戦国時代」といわれる約250年間は、各国が「覇権」を競い合い、人々の「幸福」とは程遠い世相を生み出しました。「キングダム」というマンガ・映画が評判を呼んでいますが、戦国という時代・背景をみるとわかり易いです。混乱の時代にあって「道家の思想」は、人間の根元的な存在を見つめ、自然と一体化する思想を追求したのです。皮肉なことに、争いの激化の中で「兵器の開発」が進み、「科学の発展」があったのは現代と通じます。

鳥山明の「ドラゴンボール」は、道教の影響を受けたマンガです。「天下一武道会」に参加する悟空をはじめ、亀仙人のキャラクター、長寿・不老不死も、道教に由来するもの・それに近い思想です。陰陽・五行思想に道学が関係する。楽しいですね。

コラム【曖昧さと科学の進歩】

スティーブ・ジョブズが「禅の影響」を受けて革新的な商品・デザインを生み出したことは、第104回で書きました。「量子コンピュータ」の開発は二進法ではなく、量子ビットで進めていると聞きます。計算できない曖昧な領域に着目しているそうです。とても難解です。「数学」の望月新一教授の「ABC予測」は、これまでの数学では考えられない内容だと聞きます。「ChatGPT」の開発をしたopen AIの技術は、機械学習から「飛躍」した着想があったと予想します。この「飛躍=科学」が進歩です。

私は「道学」の極みに、次の科学の進歩・飛躍があるのではないかと期待しています。つまり「科学」の進歩と人間の「幸福」がつながる世界の創造です。

科学:戦争と平和の武器・・・

科学は無色です。使う人・立場によって、戦争の武器になり、平和を脅かす兵器になります。ウクライナ侵攻でロシアが「核兵器」を戦略的にちらつかせていることで理解できますね。そして、この猛暑です。マウイ島の爆発です。もはや「異常気象」から「異常」を取り払った環境の変化です。科学の透明さを語るばかりでは済まされなくなりました。

マウイ島の山火事
マウイ島の山火事 【画像の引用元

私は、第107回も「人新世」について書きましたが、学問的なことはともあれ、生活レベルで自然に対する人間の姿勢を何とかしなくてはなりません。

死の商人

武器の製造や販売は「巨大な利益」を生み出します。「死の商人」という表現がありますが、ウクライナ侵攻でも、利益を得ている産業があることを理解しましょう。武器は商品です。「大量消費する戦争」は儲かります。

ヒトラーのナチス政権下の軍需産業の中心は、鉄鋼メーカーの「クルップ社」でした。戦争は、爆弾・合成燃料の製造、化学兵器の開発、軍用飛行機の製造、爆撃機の提供などの製造に関わる部門で繁栄します。「資金や資源」を提供し、巨大な利益を得ています。まさに、科学の発達の「負の部分」です。

風立ちぬ 破壊
風立ちぬ 破壊 【画像の引用元

フォン・ブラウンは、ナチス・ドイツの時代に「V2ロケット」の設計・開発に関わりましたが、戦後アメリカに移住し、アポロ計画に携わり「サターンVロケット」を開発し、月への有人着陸を成功させました。

V2ロケット
V2ロケット
ヴェルナー・フォン・ブラウン
ヴェルナー・フォン・ブラウン
セルゲイ・コロリョフ
セルゲイ・コロリョフ

ソビエト連邦では、V2ロケットのノウハウをセルゲイ・コロリョフが発展させ、宇宙開発を促進させました。ガガーリンが「地球は青かった」といったことで有名ですが、「有人宇宙飛行」の中心はコロリョフでした。人類の夢を実現する「正の部分」です。科学の進歩においては「正・負は表裏一体」です。

コラム

宮崎駿の映画「風立ちぬ」には、主人公がナチス・ドイツのハインケル社を見学するシーンが挿入されています。戦争・平和・学問が「時代の風」に翻弄される映画でした。近年の激変する状況を目の当たりにして、宮崎監督のメッセージを、君はどのように受けとめたでしょうか。

(安達昌二:お茶ゼミ√+特別顧問)

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