メタバース:この不思議なもの~「仮想世界」と「リアル世界」の交流~

はじめに

もし、仮想世界で買い物をしたり、旅行したりしたらどうなるだろうか?

私たちの実生活とは異なる空間で、勉強したり、ゲームをしたりできたらどうなるか・・・。

すでに、リアルとバーチャルを組み合わせた情報が発信されている。

例えば、アイドルグループ「AKB48」のメンバーとバーチャルメンバーを加えた混合ユニットの登場だ。バーチャル空間と日常のリアリティ空間を「行き来する」ことが「当たり前」の時代になりつつある・・・。

勿論、新しい「装置・道具」が必要であるが、それを装備すれば、私たちの脳の働きが変わってしまうのだ・・・スピードは速い。

メタバース

最近、話題になっている「メタバース」は、通信ネットワーク上に作成された「仮想空間」のことである。すでに、ものすごい量の情報が流れている。

教育の分野では、東大に「メタバース工学部」が設立され、中・高生を募集している。現状を整理してみよう。

受験アドバイス

私たちが知っている過去の「仮想空間」は次のようなものだった。

  1. プラトンの「イデアの世界」・・・真実はイデアの世界であって、現実はその影にすぎない。プラトンの「二世界論」はバーチャルの世界の原点だ。
  2. 仏教の「西方浄土」・・・「阿弥陀経」が説く極楽浄土は、まさにバーチャルな世界。鳩摩羅什が「阿弥陀経」を漢訳した時に生まれたという。
  3. キリスト教・イスラム教の『最後の審判』・・・魂が、天国に行くか地獄に行くかを神が決めるという審判は、ゾロアスター教に出発点がある。
  1. ドラえもんの「どこでもドア」・・・「ぼくドラえもんです」と22世紀からやってきたので、いつでも、どこでも、異次元の世界に繋がる。
  2. 宮崎駿の「千と千尋の神隠し」・・・トンネルの向こうは「湯婆婆の世界」だ。千尋という少女が、異なる「ふたつの世界」を交叉して物語が展開する。

メタバースの初歩を理解する

最近、新聞・雑誌などでメタバースが取りあげられているので、若い人に「使ったことがあるの?」と聞いたら、大半の人が「ある」と答えました。

「仮想空間だから、ゲームや勉強までできるので楽しい」という返事もありました。もの凄いスピードで普及しているのですね。

メタバースは、メタ(meta:超)とユニバース(universe:宇宙)から作られた合成語です。もともとは、SF作家のNeal Stephensonが「仮想世界」を指して使いました。が、現在はインターネット上に構築された「三次元仮想世界」を指す言葉として使われています。

仮想世界に入るためには「VR」や「AR」という装置・道具が必要です。

わかり易く言えば、食事をしたり、排泄行為をしたりする現実世界に、「外付け脳味噌」のようなものをつけて「異次元に飛ぶ」ことだと理解すればいいでしょう。

受験アドバイス

VRは「Virtual Reality」の略で、普通「仮想現実」と訳されています。VRによって「実体験に近い体験が得られる」のです。AR(Augmented Reality)は「拡張現実」です。仮想空間の情報やコンテンツを「現実世界に重ね合わせる技術や仕組み」のことです。そして、自分自身の分身である「アバター(Avatar)」を仮想空間に投入し、アバター(分身)を自由に動かして作業したり、他のヒトとコミュニケーションをとったりするのです。

アバターを動かして、南極探検をしたりアフリカ旅行したりする・・・楽しいです。

メタバースの問題点とこれから

メタバースの仮想空間に簡単に馴染む人と、頭が痛くなってしまう人に分かれます。メタバースに長時間滞在していると、「VR酔い」をしてしまう人がいます。また、顔につける「HMD(Head Mounted Display)が重い」という声もあります。HMDとは、左右の目の視差を利用した「立体映像の装置」のことです。軽量になったといっても、パソコン接続形のVRゴーグルは、200g~1kgですから、「長時間の利用は苦しい」ですね。

VRゴーグルに、仮想現実(バーチャルリアリティ)を体験することが可能なレンズが付いています。「価格」もスマホにつける程度のものは安価です。

受験アドバイス

アメリカのIT調査研究機関のガートナーは、「2026年には、世界の4人に1人はメタバースで1日1時間以上過ごすだろう」と予測しています。すでに、いろいろな方面から産業としてメタバースの開発が進んでいます。ナイキは、画面上に「テニス・バスケットなどの施設」を公開しています。ゲームメーカーのHIKKY(ヒッキ―)のVRイベント、ゲームの「ロブロックス」「フォートナイト」も面白いですね。日産自動車は新型軽電気自動車を紹介しています。ソフトバンクは巨大なプラットフォームを開いています。NTTドコモは、XR分野の新会社「NTT QONOQ」を通じてメタバース事業に乗り出すと発表しています。博報堂DY傘下の企業は広告事業を展開しています。これらは広告ではなく、商品・サービスのPRを中心に購入可能な「場をつくる事」に注視しているので、新しい営業スタイルです。

メタバースで、勉強したり、世界旅行したりする

昔、私が支援したNPO法人カタリバが、「メタバースで不登校生の支援」をしています。「学びの環境を止めない」という活動は、素晴らしいという賛成の声と、「仮想空間に益々のめり込んで不登校を促進する」という批判の声があります。が、こうした活動があることを知っていて欲しいと思います。

また、京都大学が民間企業と共同開発した「テラバース」は、仏教世界を紹介する独特のツールですね。仏教の理解促進になりますね。

先日、友人がメタバースで「世界旅行を楽しんだ」と連絡をくれました。日常では経験できないことができるのだそうです。彼は「ドイツの大聖堂を観光したら、そこにオーストラリア・ベルギー・アメリカの人が参加してきたのだそうです。彼は英語が得意でないので「Google翻訳器」を使って会話したそうです。「共通語」が必要ですね。買い物には「仮想通貨」が必要、いろいろな店があって、多様な衣装を着ることができるなど、「仮想社会でも現実世界と同じ」ように、遊ぶことも、コミュニティの運営、教育、広告、販売、福祉など展開ができるというのです。メタバースの可能性拡大ですね。

AR(Augmented Reality)は、仮想空間の情報・コンテンツを拡張する技術や仕組みです。「拡張現実」です。すでに「ARの技術」はさまざまな分野で利用されていますね。例えば、スマートフォンのカメラで山を写すと、その山の名前を表示するアプリがありますね。メタバースは、ゲームやアニメなどの世界観に沿った、リアルとは異なる「もうひとつの世界」ですから、経済・社会・文化の根本を変える力を持っています。しかし「トイレに行く」「食事をする」などという現実から離れてバーチャルの世界に埋没することは出来ないですね。

「運動不足」にならないこと、友人から「孤立しない」ことなどに留意が必要です。

受験アドバイス

コロナ禍により、オンライン授業が普通に行われています。これからは、「メタバースとリアルを組み合わせた授業・講義」が当たり前になるでしょう。

経済産業省は、2030年には「最大でIT人材が79万人不足する」と発表しています。日本はこの分野では後進国ですから、国家的なプロジェクトが必要です。しかし、メタバースを開発できるようなIT人材の育成は簡単ではありません。専門的なハイレベルの教育・学習が要求されます。

高校のカリキュラムに「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」を強引に突っ込み「共通テストでも出題する」というパワーも、この危機感と関連していることでしょう。すでに「デジタルハリウッド大学」のような新しい形の大学も誕生しています。

本川根町と東大の「メタバース工学部」

静岡県・大井川の奥でお茶と柚子を栽培し、町会議員をしている教え子から連絡がありました。「地域の過疎化を止め、活性化するために、今度メタバースを使って全国発信をすることにした」ということでした。

メタバースをこのように使うことは、私は思いもつかないことでした。が、最先端の技術が地方の人々の支援になるのは、大変うれしいことです。

また東大に「メタバースを学習する学部」ができたことも重要なニュースです。最新の情報や工学の「実践的なスキル」を学習することを目的とした設置です。

DX人材が不足しているという「経済産業省」や産業界からの要請が背景にあると思いますが、とても良いことだと思います。東大の「新しい形の学びの場」になります。中高生がこのチャンスを有効に活用することを勧めます。

  1. グローバル消費インテリジェンス(AI講座)

    データの解析・分析スキルを身につける。分析結果を効果的に可視化する技術、機械学習の基礎、データベースの扱い方など、データサイエンティストとしての基礎を網羅的に学ぶ。

  2. アントレプレナーシップ

    研究開発型起業や、グローバル展開も見据えた起業一般論の講義を通じ、新規事業など社会的価値の持続的創出に挑戦する姿勢(アントレプレナーシップ)を学ぶ。

  3. 次世代サイバーインフラ

    これまでの情報通信の進化をみながら、これからの10年を見据えた革新的な情報通の利・活用方法を、産業界や政府・国際組織からの講師の知見より学ぶ。

  4. Python基礎

    データサイエンスや計算科学等に必要なプログラミングの基礎を、Python言語を通じ修得する。

受験アドバイス

君はアルゴリズムとは何か知っていますか。「沢山のデータ・映像を分析」し、「指定された順序で実行すること」です。だから、アルゴリズムを機能させるためには、膨大なデータが必要です。データを集めたら、あとはコンピュータが処理していきます。ここでAIなどに使われます。大量のデータ・大量の映像さえ集積できれば「目的」に合わせた予測や結果を導きだすことができます。現代社会は、その方向に向かって猛烈に動いています。グーグルやヤフーなどのビッグデータが市場を動かしているのが現代のビジネスの実態です。君の何気ないスマホ・パソコンのアクセスが「その基本ツール」です。

(安達昌二:お茶ゼミ√+特別顧問)

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