I LOVE YOU~対象によって内容が変わるのがLOVEの本質~

はじめに

誰かに「I Love You」といったことがありますか?

何かを「好き」と思ったことがありますか?

自分以外のヒト・モノを愛することは、幸せで、楽しいことです。

I Love You

愛は、何かに関心を持ち「何かに繋がろう」という意志から出発します。

キリスト教では「愛は犠牲」・仏教では「慈悲」といいます。

犠牲・慈悲が喜びになると、LOVEになるとも・・・。

私は、「愛は夢」・「愛は希望だ」と思っています。

どちらも、大きな力で、「生かされる力」・「生きる力」です。

受験勉強も、それを支援することも「夢」「希望」に連なることです。

LOVEは「よびかけ」です

Loveはよびかけだから、対象によって、Loveの質・内容が変わるのです。

Youのイメージによって、この言葉はどのようにも変化するのです。

愛情・善意・好意・恋愛・恋・性欲・愛着・慈愛・慈悲・敬愛・愛好・・・

LOVEは「よびかけ」

Loveの対象を「個人・人類・世界・自然・・・」と広げてみると、まったく異なるイメージが膨らんでいく・・・

民族・国家・学校・企業・集団・受験勉強となると限りない・・・

君の<I Love You>の対象は、何ですか???

「君のLove」が世界を変えていく・・・

東京オリンピックの開会式の演出は「人類愛」を詠っていたかしら?

LOVEの日本文化

日本には、Loveに匹敵する「恋愛」という言葉はなかったですね。

「萬葉」の時代から、男・女の「恋」はありましたが、男性と女性が「対等」な関係で愛し合うには未熟な社会でした。「伊勢物語」は魅力的な作品です。男女の逢引の書としては秀逸です。

しかし、これは、庶民の恋愛とは程遠いもので、貴族階級の「色恋」を昇華させたものですから、「情愛」であっても、現在の恋愛感情で読解すると勘違いします。平安時代の高度に洗練された和歌集ですが,主人公の「業平(なりひら)」を通して、色恋の多様性を描いていて見事です。まさに古典です。

江戸時代の文化の中で、男・女が対等の関係で「愛し合う」ことは、身分制度がハッキリした社会では認められなかったのです。だから、浄瑠璃や歌舞伎で、恋は「心中」という形しか成就できなかったです。

浄瑠璃 曽根崎心中
浄瑠璃 曽根崎心中 【画像の引用元

明治の文豪、二葉亭四迷は優れた翻訳家でした。彼は、ロシアの作家ツルゲーネフの「片恋(アーシャ)」という短編を翻訳するにあたり、苦渋した原文が「I love you.」だったそうです。苦しんだあげく、ついに「死んでもいい」と訳したのだそうです。有名な話ですね。凄い飛躍ですね。これが文化です。

片恋・ファウスト
片恋・ファウスト 【画像の引用元

また小説『浮雲』の中で、「ラヴ」と表記しその後、「愛」と書いたそうですが、なかなか難しかったようです。彼が活躍した時代は「Love」を「好き」と、直接的に表現する文化が日本になかったのです。最近「I Love You」と唄う歌手が多いですが、「誰に」「何を伝えたい」のか不明な場合が多いですね。

受験アドバイス

Loveの「語源」を調べていくと、12世紀以前に遡り、古英語のlufuに由来するようです。古ドイツ語のluba(愛)、古英語のlēof(愛しい)、ラテン語のlubēre・libēre(喜ばす)と同類のようです。さらに語呂遊びになりますが、「L」は相手の話に寄り添って聴く「Listen」・「O」は、細かまことにとらわれず全体を見る「Over Look」・「V」は声をかける「Voice」・「E」は赦すこと「Excuse」だ、という説です。「相手に寄り添って、俯瞰してみて、声をかけて、赦すこと」。愛の本質です。「言語学」は興味深い学問です。

「YOU」に科学を入れると・・・

「You」に科学を入れると「科学への愛」になります。

東京オリンピックの開会式で、天空に市松模様のエンブレムが現れ、それが地球に変化しましたね。私はビックリしましたが、1824台のドローン(drone)を使用して作ったものだそうです。友人の話によれば、アメリカのメーカー・インテルのShooting Starシステムの協力で実現したそうですね。

ドローンはイギリスで発明されたもので、最初は女王ミツバチ(Queen Bee:メスバチ)でしたが、やがてアメリカで開発が進みドローン(Drone:オスバチ)となったそうです。最近の土石流の空撮で活躍したり、農薬散布に使用されたり、建設現場で使われていますが、スマホと連動させて、加速度センサー・ジャイロメーター・GPSの小型センサーで操作できるようになっているそうです。「水中ドローン」の開発・研究も進んでいるそうです。今後に期待される分野ですから、「日本で開発」が進み、天空を華やかに彩ることを期待しています。私は、第5回で書きましたが、早稲田大学の渡辺孝信教授の「羽ばたき型ドローン」による<マイクロ熱変換素子>の研究に注目しています。

受験アドバイス

ドローンを3,000台近く飛ばして制御する技術を、中国広東省の企業「深圳大漠大智控技术有限公司」が持っているそうです。2021年4月には、3,281台の世界記録を更新したそうです。現在のトップメーカーはDJ1だそうですが、中国とアメリカの軍事産業と深く関わっていますから、研究も開発も一筋縄ではありません。最近は、友人たちで「ドローン研修講座」に通う人が増えています。

愛は伝えるもので、理解するものではない

愛は「伝えるもの」です。論理的に解説するものではありません。毎朝、自宅の前を、障碍を持った子どもたちが通ります。ハルモニアという施設に通うためです。障碍児のサイドに、いつも、さりげなくサポーターがついています。時々、大声を出して騒ぐ子どもに寄り添っているのです。

人間は誰も、どこかに障碍を持っています。それが目立つか、目立たないかだけの差です。「愛の実践は地味」です。他人に認められようとか、評価されようとかいうものではないのです。入試でも介護を必要としている人の素材が出題されるでしょう。「上から目線」で課題をとらえないように注意しましょう。

受験アドバイス

パウロが、コリントにいる信者に向けて書いた手紙が残っています。この言葉以上の「愛のメッセージ」はないでしょう。

『愛は寛容であり、愛は情け深い。ねたむことをしない。愛は高ぶらない。誇らない。無作法しない。自分の利益を求めない。いらだたない。恨みを抱かない。不義をよろこばないで真理を喜ぶ。そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。(中略)いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛の三つである。このうちで最も大いなるものが愛である』(コリント人への第1の手紙:第13章)

入試対策:愛の語源いろいろ

  1. 古代ギリシャ語には、愛に該当する言葉はないようです。「エロース(Ἔρως、性愛)」、「フィリア(φιλια、隣人愛)」ではスッキリしない。ストルゲー(στοργή、家族愛)でもない。古代ギリシャ女性に人権がないのだから、男・女の「対等な恋愛」は存在しないのです。

    エロース(キューピッド)
    エロース(キューピッド)
  2. 仏教では、Loveは「トリシュナ(tRSNaa)」という「渇望」とか「煩悩」に近いでしょう。人間の根本に「煩悩(ぼんのう)」があります。その中の「貪(むさぼり)」・「瞋(いかり)」・「痴(むち)」を三毒といいます。Loveは「生きとし生けるものへの愛(慈愛)」ですから、このすべてに通じるもので、生きていること全体をさしています。煩悩のゆえに「業(ごう)」が展開し、煩悩と業が原因になって、私たちの生存はあるというのですから、この「輪廻(りんね)」にそった「因果の関係」を、私たちは、実生活の中で味わっているのですね。少し難しいですが、君の生涯を通しての重要な課題です。入試では、教科:「倫理」、「現代社会」のテーマになるでしょう。

  3. 夏目漱石は「I Love you」を「月がとても綺麗ですね」と翻訳したというエピソードがあります。夏目漱石が旧制中学(現在の愛媛県立松山東高)の教壇に立って、英語を教えていた時の話です。

    生徒が「I Love You」を「われ君を愛す」と訳したのを聞いて、<月がきれいですね>とでも訳しておきなさいと、指導したというエピソードです。 これが<I Love>=<月がきれい>になるのですが、この逸話は、漱石の文章の中にはありません。誰かが付け加えたという説が正しいのでしょうね。しかし、さすがイギリスに留学した経験がある文豪にまつわる逸話だと思います。東大や一橋大の自由英作文をみると、こうした「飛躍」があってよいのだと思います。

  4. Love(愛)とは何か。この分析しがたいものを、いろいろな人が詩にしています。私が「The Rose」という歌の一部分を、受験者用に「意訳」しますから、後半は、君がやってください。

    Some say love, it is a river  愛は「河だ」というひとがいる

    That drowns the tender reed  それは、弱い受験生の芽をつんでしまう

    Some say love, it is a razor  愛は「刃物だ」というひとがいる

    That leaves your soul to bleed  それは、夢や希望をそぎ落としてしまう

    Some say love, it is a hunger  愛は「渇望だ」というひとがいる

    An endless aching need  それは上昇する欲求だという

    I say love, it is a flower  私は、「愛は花」だといいたい

    And you, it is only seed  君は その「大切な種」であると

    The Rose

    It's the heart, afraid of breaking  (              )

    That never learns to dance  (              )

    It's the dream, afraid of waking  (              )

    That never takes the chance  (              )

    It's the one who won't be taken  (              )

    Who cannot seem to give  (              )

    And the soul, afraid of dying  (              )

    That never learns to live  (              )

    When the night has been too lonely  (              )

    And the road has been too long  (              )

    And you think that love is only  (              )

    For the lucky and the strong  (              )

    Just remember in the winter  (              )

    Far beneath the bitter snows  (              )

    Lies the seed that with the sun's love  (              )

    In the spring becomes the rose  (              )

受験アドバイス

いい詩には普遍性があります。メロディーと英語の歌詞が心を震わせます。意識されないままの大きな無意識が、ふとしたことで意識できる瞬間もありますね。The Roseでは、愛は花だと思うと(まず)言っています。君(私たち)は、ただ種なのだと。

自分には愛なんて無縁だと、思うこともあるかもしれない・・・でも、ちっぽけな種は、どうなると言っていますか?

ここで右脳と左脳が繋がりますね。ビビビッと、電気が走り抜ける瞬間です。

さて、右脳(知覚・感性)と左脳(思考[言語]・ロジック)が平面的・空間的・時間(歴史)的に結び付けられるかどうか、これが勉強の成果・彩(いろどり)であり、受験の隠れたテーマです。

(安達昌二:お茶の水ゼミナール特別顧問)