地球は生きている~オーストラリアと大陸移動の不思議~

はじめに

地球は生きている・・・地球は呼吸している。

このまま環境汚染を継続したら、地球が死んでしまう。

自然界は「調和」の中で動いているからである。

いつ大地震が起こってもおかしくない。

コロナと同じく、人類に対する重要な警告が自然界から発信されている。

今年の夏も暑いだろう。異常気象が、普通になってしまった。

地震が多発している。「南海トラフ」が動いているという。

南海トラフ
南海トラフ 【画像の引用元

世界中が異常気象だ。山火事・洪水・バッタの大量発生が続く。

南極の氷が解けて、水位が上がり、永久凍土が解けているという報道は怖い。

大陸を動かすプレートの動きを、人間が刺激していることが問題だと聞く。

これだけ「異常」が続いているのだから、入試で「突っ込んだ環境問題」が出題されても不思議ではない。

受験アドバイス

私が、初めて「環境問題」を考えたのは、「The Next 100 Years(次の100年・地球はどうなる?)」(ジョナサン・ワイナー著)でした。この本を日本語訳したのは根本順吉さん。根本さんと私はギリシャを旅したことがあります。旅の中で「永久凍土が解けていること」を警告されましたが、その時はあまり意味が理解できませんでした。

次の百年・地球はどうなる?
次の百年・地球はどうなる? 【画像の引用元
空からの手紙―気象を見る眼
空からの手紙―気象を見る眼 【画像の引用元

「お天気博士の草分け」の根本順吉さんは、『空からの手紙』など、沢山の本を書いている人間味豊かな人です。ある時「クレタ島」の山地を歩いていたら、岩肌を指さして「アトランティック大陸の沈没という大地震で、この線まで津波が来たのだよ」と解説してくれました。雑誌の「Newton」の竹内均先生らと調査に来たことがあったそうです。あれから、約50年が経過。・・・地球はどうなるでしょうか?

オーストラリアは不思議な大陸です

海が蒼い。とてつもなく「広い海面」が繋がっています。ここは、世界最大のサンゴ礁。何しろ海面だけです。「何も見えない」のです。

ここがオーストラリアのグレート・バリア・リーフです。絶景です。

この大陸に人間が渡ってきたのは、60,000前の第4氷河期の中頃といわれます。更新世の氷期に、海面が100~150m下がった時に、ニューギニア方面などから人間が渡り、先住民となったといわれています。これが大雑把に言って「アボリジニ(アボリジナル)」だといわれます。

タスマニアデビル
タスマニアデビル 【画像の引用元

当時、タスマニアも大陸に繋がっていたようで、この離島にも40,000年前の住居跡や、人類の化石が発見されています。

「アボリジニ(アボリジナル)」の伝説によると、氷期の終焉は早く、海面の上昇とともに、魚が天から降って来た、津波があったといいます。そのとき以来、タスマニアは地理的に孤立し、9,000年前にバス海峡の島々とカンガルー島の人間は消滅したといわれます。

オーストラリアは、ジェームズ・クック(英)らが「発見」し、1788年のイギリスが入植開始・ヨーロッパ人の入植以来、狩猟・外来種の導入・土地開発で、動・植物の固有種が一気に絶滅してしまいました。27種の哺乳類、23種の鳥類、4種のカエルが絶滅したそうです。ある時は、アボリジニ(アボリジナル)も「スポーツ・ハンティングの標的」にされたといわれます。酷いことです。現在も、多くの種の生存が脅かされています。人間による「環境破壊の実例」です。

受験アドバイス

アボリジニ(アボリジナル)は、オーストラリア全土で狩猟、採取による生活を営んでいました。彼らには、「独特の世界観」があって、その中心が天地創造の神話「ドリームタイム」でした。人間も自然の一部として認識し、動物や植物などと一体であるという精神世界を反映した内容です。自然との共存を図るため、さまざまな知恵や生活習慣を生み出していったのですね。文字を持たなかった彼らは、それらを歌や踊り、ロックアート(壁画)などで表現し、文化や伝統を継承してきたのです。

ウルル(エアーズロック)
ウルル(エアーズロック) 【画像の引用元

ウルル(Uluru)はオーストラリア大陸にある世界で二番目に大きい一枚岩です。ウルルは先住民による呼び名で、「エアーズロック」という名称でも知られています。

信仰の山でもあり、1987年にユネスコの世界遺産(複合遺産)に登録されました。現在は、登山することが禁止されているそうです。

入試では、「先住民族の伝統や文化」に対する関心と理解が問われるでしょう。

さまよえるオーストラリア大陸

今からおよそ2億5000万年前の地球上には、「パンゲア大陸」がひとつあるだけでした。現在のオーストラリア大陸は、ユーラシア大陸などから離れたところにありますが、大陸の分裂は2億年くらい前から始まったようです。

パンゲア大陸
パンゲア大陸 【画像の引用元
大陸の分裂過程
大陸の分裂過程 【画像の引用元

大陸の移動というと、大地そのものが動いているように感じますが、実際には大陸が乗っているプレートが移動しています。地球の表面には沢山のプレートがあり、これらのプレートは、その下にあるマントルの動きによって、「年間で数センチ移動」しているといわれます。だから「プレートの上にある大陸」も少しずつ動くというわけですね。

世界のプレート境界
世界のプレート境界 【画像の引用元

「プレートテクトニクス」という考え方は、1960年代から始まりました。

これは、地球の様々な「変動の原動力」を、地球の全表面を覆う10数枚の厚さ数10kmほどの「岩盤(プレート)の運動」に求め、そのプレートの境界部に起こる変動が「地震」や「火山」など様々な現象があるという学説です。

受験アドバイス

私は、高校生の頃、友人から「大陸移動説」を教えてもらいました。

不動に見える大陸が、少しずつ移動しているということですから、驚きました。

「南アメリカとアフリカの凸凹を合わせた地図」をさしながら、ヴェゲナー(独)が1912年に発表した学説を説明してくれたのです。今では、君も知っている「学説」だと思いますが、当時の私には衝撃でした。

ゴンドワナ大陸の復原図
ゴンドワナ大陸の復原図 【画像の引用元

古くから「大陸が移動する」という発想自体はありました。が、ヴェゲナーの説は、発表当時は「仮説」にすぎなく、長い間受容されませんでした。しかし「プレートテク二クス理論」が出てから、次第に実証されました。

大陸移動で地震が多発するの?

私は、静岡に住んでいますので、非常に「地震」を恐れています。だから「南海トラフ」に強い関心を持っています。最近は、全国的に地震が多いし、被害を受けた友人・知人がたくさんいます。地震は、プレート同士が接しているところで「互いに押し合う」ことで大きな圧力がかかり、何かのきっかけでエネルギーが解放され、その衝撃で「地面が揺れること」を指すのですね。

専門家によれば、地球表層部分は、地殻とマントルの最上部からなる「深さ約100km程度までの硬い(粘性の高い)岩盤」で覆われており、それが中央海嶺、海溝などにより「10数個程度のブロックに分けられている」そうですから、南海トラフも同じようなことを考えればいいのでしょう。

このプレートは、内部で変形や破壊を受けず相互に運動している。このプレート運動により、「大陸移動」・「海洋底拡大」のような大規模な表層活動が生れまるのだそうです。地球物理学・地震学は興味深い分野ですね。

「プレートテクトニクス」が提唱されてから、海洋底の年代、GPS観測データ、海洋底での横ずれ断層の方向、プレート境界地震の断層運動方向などから、プレートの「運動速度」と「運動方向」が明らかになったようです。

例えば、太平洋プレートは、日本周辺ではおおよそ「北西方向に年間8~10㎝の速度」で移動しているのだそうです。「南海トラフ」は、北西方向に進んできた密度の「高い」海洋プレートである「フィリピン海プレート」が、密度の「低い」大陸プレートである「ユーラシアプレート」と衝突して、その下に沈み込んでいる「沈み込み帯」に当たるのだそうです。ITの深化により、注目されている学問分野です。君の探求課題です。

受験アドバイス

君は「ワルチング・マチルダ」(Waltzing Matilda)という曲を知っていますか。

オーストラリアの第2国歌(民謡)ともいわれる歌です。メロディーが美しいです。

Waltzing Matilda
Waltzing Matilda 【画像の引用元

「渚にて」という映画で使われていました。この映画は、第三次世界大戦によって北半球が放射能に汚染され、最後に残されたのが、南半球のオーストラリアという設定でした。が、これが現実問題になりそうな点が「怖い」ですね。

入試対策:「オゾンホール」「脱炭素社会」「SDGs」

数年前の環境問題といえば「オゾン層の破壊」でした。人工的につくりだしたフロンガスが、1970年代に深刻化したからです。

1985年の「ウィーン条約」に基づいて「モントリオール議定書」(1987)が策定されて、フロンガスの製造・輸入が禁止されました。これによりCFC(冷媒・洗浄剤・発泡剤)の代わりとしてオゾン層を破壊しにくいHCFCやHFCが代替フロンとして利用され始めました。

1979年、2018年それぞれの10月の月平均オゾン全量の南半球分布
1979年、2018年それぞれの10月の月平均オゾン全量の南半球分布 【画像の引用元

2000年以降、オゾン層は10年毎に3%ずつ回復しており、このまま順調にいけば、北半球および中位層オゾンは、2030年までに「完全治癒する可能性」があるという報告があります。世界中のみんなが協力できることからやるべきです。そうしないと「地球が死んでしまう」からです。

環境問題は、気候変動・大気汚染・海洋汚染・森林の減少・水不足・資源不足などですが、それぞれ深刻な課題を抱えています。SDGsと重ねて出題されるでしょう。テーマをもって「探求」を進めてください。

受験アドバイス

今年のもうひとつのテーマは「脱炭素社会」です。「脱炭素」とは、温室効果ガスの排出自体を抑制・回収するなどで、差し引きで「実質的にゼロを達成しよう」ということです。温室効果ガスは、石炭火力などの発電、自動車や飛行機による移動、鉄やセメントをつくる工程など、暮らしや産業のさまざまな場面で発生しますから、2050年にゼロにするのは極めて難しいです。しかし、日本の120の国公立・私立大学が連携し貢献することを確認しています。

いま検討されているのは、古いタイプの石炭火力発電の段階的な削減・太陽光・風力など再生可能エネルギーの普及です。CO2を排出しない「水素」によるエネルギー開発、「カーボンリサイクル」という技術の研究開発が急がれています。だから入試でも「カーボンニュートラル」に関連することが出題されると思います。経団連も「行動計画をつくる」と発表しています。が、企業利益とのバランスをとるのに苦労するでしょう。「地球は生きている」のです。生命を絶やさない努力必要です。

(安達昌二:お茶の水ゼミナール特別顧問)