『共通テスト』:引き継いだもの・新規に加わったもの~高2・高1生が「留意したいこと10項目」~

はじめに

初めての「共通テスト」が終わりましたね。

このテストは、試行錯誤しながら、土壇場でコロナに見舞われ心配しましたが受験生はもちろん、保護者・担当者たちの「努力と尽力」で終了出来ました。

大過なく実施できたことに「感謝」です。

今回はこのテストを振り返って、次の高2・高1生の「目線」で、これからの勉強に活かしたいこと、留意したいことを整理します。10点あります。

高2・高1生は、まるで「歯が立たなかった」かな?

1月17日(日)を中心に、お茶ゼミ生だけでなく、全国の高2・高1のみなさんが本番と同じ問題を体験学習しましたね。そこで、「共通テストは難しい」と感じた人が沢山いたと思います。

なぜでしょうか?

日常生活につながる観点からの出題など「新傾向」の問題が含まれていたからです。しかし、公表された中間平均点を見ると「例年とあまり変わらない」ですね。得点調整がありましたが、これは予測されたことでした。

「推薦入試などですでに合格している人や、学力下位の人が受験しなかったからだ」という声もありますが、それにして「今年の受験生は立派」・「強烈なハンディを超えて、よく頑張った」と敬服しています。あまりにも過酷な条件下での受験でした。私は「マスクして受験する練習をすること」と、第32回(2020年7月21日)のコラムで書きました。が、半年後、それ以上になりました。

道はどこまでも続く
道はどこまでも続く

では、高2・高1生は今回のテストをどうとらえたらよいのでしょうか?

余裕がある少数のエリートは別として、「愕然とした」人は、どう考えたらよいでしょうか。しかし、心配はいりません。これが「伸びしろ」なのです。

過去問にこだわって、しっかりやり抜くこと

「共通テスト」の基本的形式は、入試センター試験と変わらなかったです。

これまでの経過から言って「思考力」「判断力」の学力要素を、試験問題に組み込み、マークテストの欠点をなくすと議論されていました。私たちは、どんな出題がされるのか、「誰も予想できなかった」ですね。各出版社の問題集や模試で予想問題が提案されていましたが・・・。しかし、いざふたを開けてみると、「変化」はあったものの、基本形式を含めて「例年通り」でした。

なるほど!

一番心配した「国語」は変化なし、一部分を除いて「例年通り」でした。

教科によって「大問数が増えた・減った」とか「小問数が増えた・減った」とか言う指摘がありましたが、基本は「過去のセンターの出題形式」と変わらなかったです。だから、過去問の演習をシッカリやった受験生は正解でした。

バトンを渡す

変化は「次年度」に持ちこされたと予想しますから「試行テスト」で試された出題傾向の「対策は継続」です。これは指導者の問題ですが、高2生以下の君も「変化を覚悟」しておきましょう。過去問を丁寧に解く「留意点1」です。

読解力がない受験生は苦しんだ

どの教科でも「出題者が答えさせたいこと=設問」が読み取れない受験生は点数を落としています。「共通テスト」の目玉は、「考える力(思考力)」を見ることと、「最適解をスピードよく発見する能力」にありましたから、「暗記中心」の受験生は戸惑いましたね。意地悪なくらい「誘導文章」が長く、「誘導文との関係が希薄な設問」がある教科もありましたから、「短時間で解答すること」が重要になりました。判断力重視です。だから、読解力をつけることが「留意点2」です。

急いで走る

この能力を情報処理能力(リテラシー)といいますが、これは「スピードになれること」が重要な力です。「学力とリテラシーは違うじゃないか」という意見がありますが、次年度以降の受験生である君は「スピード」・「量」に対応する能力をつける必要があります。「時間不足」は言い訳になりません。

リモート学習

リテラシー重視の流れは次年度も変わらないでしょう。特に大量の文章を「読む力」・「聞く力」をつけることは、日本の国際化・グローバル化に沿うものですから、文句なく努力しましょう。英語だけではありません。

君は「1分間に何文字読めますか?」「何文字書くことができますか?」

外国語でも、日本語でも同じです。インターバル練習(演習)が必要です。

このスピードにこだわることが「留意点3」です。

日常生活の中から出題される

「共通テスト」の目玉は、日常生活につながる「実践的な問題」から出題されるところでした。例えば、物理の問題をみると、ダイヤモンドの光など「教科書にはない身近な題材」を「物理的な知識を使って解く出題」がありました。

全教科で、グラフ・地図・写真・資料が出されていますが、これも、日常の中で関心をもって「考える習慣」があれば対応可能です。いつも「なぜ?」という問いをもっているようにしましょう。将来につながるキーです。

どんなことにも関心をもって

「これが受験に役立つか?」という短絡的なセンスではなく、どんなことにも関心をもって触れていくのです。これは、大学に進学してからも、社会人になってからも「要求される能力」ですから、好奇心をもってグラフをみたり、データを分析したりする「習慣」が重要だといいのです。

実用的・実践的な問題に挑戦すること「留意点4」です。

新聞を読む・会話を大切にする・情報を組み合わせて考える

君は、いつも新聞を読みますか。スポーツ欄・テレビ番組・ゴシップ欄だけはいけません。また、君は友達とよく話しますか。「3人以上」の人と会話していると、同じテーマなのに、話者によって「異なる観点」から話が出て、整理することに苦労した経験がありませんか。「3人以上がキー」です。

このようなことを入試問題として提示しているのが「共通テスト」です。新聞を読んで考えたり、友人との会話を楽しんだりする習慣がなく、目前の「受験勉強だけ」という生活習慣の人は「出題形式」を見ただけで戸惑うのです。

新聞を読む 友達と話す

入試は、「限られた時間」の中で、如何に「シャープに解答にたどり着くか」の勝負ですから、「やりきれなかった」・「時間不足」は理由になりません。

入試を「特別なもの」を考えないで、私たちが、「いつもやっていること」を大切にすることです。国語・英語・数学・理科・地歴・公民などあらゆる教科で、次年度も「多様な形式の出題」が予想されます。柔軟に、考えることに慣れるのが「留意点5」です。

受験勉強を楽しむ

「勉強が嫌いだ!」という受験生の成績は伸びないですね。

勉強が楽しい・わかることが嬉しい・模試が待ち遠しい・先生に質問したいことが沢山ある、という受験生が「伸びます」ね。君は「受験プレッシャーを愉しんでいる受験生」になっていますか。前向きに受験勉強に取り組むことが「留意点6」です。

勉強が嫌いだ! 受験プレッシャーを愉しむ

私は、大学・高校・予備校・塾の指導に長年関わってきました。

それぞれの立ち位置からの使命・役割・方針があり「教科指導法が共通」ではありません。特に、今回の「共通テスト」をみると、とても現状の学校・教員ではやり切れません。これが授業改革・改善の「目的」だと文科省がいっても現実的な「課題」が多すぎます。

具体的に言うなら、設問の中から「間違いを探す教科指導」・「正解の数が不明な問題への対応」・やり切るだけの「時間配分の指導」・「設問を読み切る指導」などは、普通の高校・先生の指導範囲を超えています。

現状では「共通テスト」の分析も課題の整理もできません。困ったことです。

そこで私は、全国の親しい優秀な先生方・予備校講師たちなどの協力を得て「このコラム」を書いているのです。課題意識を持つ「留意点7」です。

課題意識を持つ

お茶ゼミのウェブサイトに<共通テスト分析コラム&要点攻略動画>がありますから、必ず確認してください。わからない点は、講師の指導を受けてください。

点数が全ての世界になれること

「選抜テスト」は、競争があるテストです。だから、得点がすべてです。

この「当たり前」のことを、君は承知しているはずなのに、案外、ないがしろにしていませんか?「偏差値」と、摸試の「判定」ばかり気にしていませんか?大切なことは「もっと得点にこだわる」ことです。理解度の向上です。

「集団全体の自分の位置=偏差値」は、母集団・グループで「変動します」が、得点は動かないです。目先の得点にこだわることが「留意点8」です。

「共通テスト」の怖さは、点数化されて「現実」がつきつけられるところにあります。君の点数が出てしまったら、もう「どうしようもない」のです。

例えば、君が東大を志望しているならば、「810点以上」の得点を取っていなければどうしようもないのです。しかし、もし君が「2次試験で高得点を取る自信がある教科」を持っている場合は、760点取っていれば「合格する可能性」があります。逆転です。どの大学でも、実質競争率は3倍ですからね。

「選抜テスト」は競争!

合格最低点まで「到達するにはどうしたらよいか」これが「留意点9」です。

細かく言えば、平均点ではわからない

共通テストの中間平均点が公表されていますが、受験に大切なことは「小問別の解答率」です。つまり、「どの問題が解けているか」・「どの問題の得点が悪かったのか」が公表されない限り正確なことが分からないのです。

センター試験から「継続」して出題された問題の解答率良かったのか、「新規」の実用的な問題など「共通テストの特色」を活かすために作問されたものの「解答率」が良かったのか。悪かったのか。「設問別の解答率」を確認しなければ、今回のテストの成果が判断できないのです。これは公表されません。

大学入学共通テスト
大学入学共通テスト 【画像の引用元

今回の「共通テスト」で、思考力・判断力の調査目的が達成されたのか?

現状では「見えてこない」のです。

今後、大学入試センターの事務局でデータを分析し、課題を検討して、「次からのテストに活かす」のですが、この一番重要な点が曖昧になっています。

専門的になりますが(1)の解答率は何パーセントで、(2)・(3)はどうかなどが分析上重要なのです。「進研模試ではこの点が明快に出ます」から、摸試を受験しながら「傾向を探る」ことになると思います。さて、どうでしょうか。受験生は、模試を丁寧に受験することが「留意点10」です。

學而時習之、不亦説乎

出典は論語。「学びて時にこれを習う、また、喜ばしからずや」と読みます。

勉強して、自分で考えて、実践に移していく。こんなに楽しいことはないという意味です。受験勉強をしていると「こんな勉強、何になる!」と反発を感じる時があります。しかし、勉強を通して次第に「学ぶ意味」がわかってくるのですね。例えば、世界史で「官僚」と「革命家」が出ていましたが、官僚は「支配者のサポーター」・革命家は「体制を変えようとしている人」というように基本的な意味をとらえると、解答がラクにできます。

論語ではこの後に「朋有り遠方より来る・・・」が続きますが、何歳になっても「朋友」は大切です。君は、「コミュニケーション能力を持っている」と信じますから、これからも朋友を大切にしてください。

出典は論語

受験勉強は面白くない、意味がないという人は、まだ「本気で勉強したことがない」からです。いまスランプを感じている人は、「伸びしろ」があると思って努力してください。1年後が勝負です。要領よく、点数を欲しがる必要はありません。いまは学力を蓄積しているのです。信じて諦めず、努力すれば、必ず報われます!

(安達昌二:お茶の水ゼミナール特別顧問)