ラグビーW杯に学ぶ

はじめに

激しくも美しく、統率が取れたラグビーW杯で、日本中で盛り上がりましたね。

日本チームが勝ち続けたことが、多くの日本人の熱狂を呼び起こし、ファンを増やしたのですね。

勝つことで魅力を引き出したのです。

ラグビーの発祥にはいろいろな説がありますが、1823年にイングランドのラグビー校でサッカーの試合中に、エリス少年がボールを抱え込んだままゴールを目指して走り出したというエピソードが有名です。

それにしても、ニュージーランドの強さと「ハカ」は、迫力がありましたね。

私たちは、この大会を通して、たくさんのことを学びました。

君は、どんなことに「感動」しましたか。

夢は実現すべきもの

「夢」は遠くにあって追いかけていくものではなく、手元で実践し実現していくものであることを教えられました。

とても勝てそうもないと思った相手にも激しくぶつかっていく。これは受験にも通じますね。

夢を実現するためには何をするか。何をしないか。

日本チームの技術を見ると「絶対に負けないスクラムを組む」ということがありました。

押されない体制を組む。

足の動きをセンチ単位で計算し、それを実行できるよう繰り返し、繰り返し訓練をする。

コーチの長谷川慎さんが研究し、選手にマスターさせたスクラムは、体格で勝る他国のスクラムに負けないものすごい効果を上げていました。

受験勉強で、過去問を「反復演習」する極意に通じますね。

また、福岡選手が医師を目指して勉強するという「文武両道」を宣言していますね。

難関の医学部への挑戦はとても難しいことですが、それを明言しているのはとてもいいことです。

フィギアスケートのネイサン・チェン選手はイエール大学という超一流大学に進学しています。

マスコミは無責任に福岡選手にプレッシャーをかけていますが、多様な経験を持つ医師が出てくるのは大歓迎です。是非、有言実行して欲しいですね。

受験アドバイス

今日やるべきことは今日やり切ること。教科ごとに受験技術をマスターすること。最後までボールを外に蹴りださないこと。どの世界にも「逆転」があることを忘れてはならない。

典型的なグローバルチーム

ラクビーはまさに「グローバルチーム」です。日本チームだけでなく、各国のチームも、選手の出身国・国籍がバラバラです。

これは、ラクビーは、3年間(36か月)以上継続して同一国に居住していれば、その国の代表選手になれるというルールがあるからですが、これからは、いろいろな競技でこうしたチーム構成が普通になるでしょうね。

(もっとも、2020年からは5年になるそうですが・・・)

日の丸を背負った日本チームの出身国・国籍は多様です。

サモア・韓国・トンガ・ニュージーランド・南アフリカ・オーストラリア・ニッポンと、国籍を乗り越えたチーム構成です。

だから「ONE TEAM」の意味も価値もあるのですね。

国籍日本の選手だけで「身長180センチ・体重80キロ以上」の選手を15名揃えることはなかなか難しいものがあります。

通訳なしで、日本語でインタビューに答え、「君が代」を堂々と歌う外国出身の選手。

負傷で無念の交代に涙を流す韓国出身の「日本」選手。

いろいろな才能を組み合わせて「ONE TEAM」にまとめていくことが、どの分野でも重要な時代が来ていることを実感させられました。

排他的では次の展開が見えてこない。学問もビジネスも同じですね。

受験アドバイス

「ONE TEAM」は、日々の実践の中でつくられる。考えるより行動すること。自分の特徴を磨き、仲間の長所を認めること。君の時代は、グローバルなチームで働くのが当たり前である。

公正さと審判の判定への信頼

もう一つ、印象に残ったことは「毅然とした審判の態度」でした。

試合をする選手への温かいまなざし。威厳。判定に従う選手たち・・・。

近頃「自分さえよければ」という不快な態度が、日本中・世界中に、蔓延していますね。

詭弁がまかり通ってモラルを崩していますね。

その混乱への怒りに対して、ラグビーの審判たちは、なんとさわやかで見事な采配ぶりを示したことでしょうか。

ファウルがあり、トラブルが起これば、それぞれのキャプテンと当事者を呼び「判定」を説明する。

脳震盪・ケガのような人命にかかわることには、一時的にフィールドの外で診断を受けさせるなど的確な指示を出す。

選手は審判を尊敬し、審判の采配に従う。今回は、サッカーの「中東の笛」はなかったですね。もちろん、審判員の個人差はありましたが・・・

受験アドバイス

徹底的にやりぬくところから道が拓ける。甘さと言い訳を切り捨てたときに、受験への覚悟ができる。それがいつできるかが問題である。

肉弾戦だからこそ「紳士的なプレー」が尊重される

私が小さなころは「ラグビーは危険なスポーツだ」と言われました。

敵と味方が肉体をぶっつけあうのですから、体当たりした瞬間に「ガツーン!」と激しい音が響きます。

だから、首より上に対するタックルは、「危険だ」と認められたら、レッドカードが出され一発退場されられます。

しかし、最後は体力ですね。1か月の間に、予選を4試合戦って、ベスト8まで這いあがった日本チームには、南アフリカと戦うだけの体力が残っていませんでしたね。

夢を追うことは、滅茶苦茶なことをすることとは違うことを教えてくれました。「激しいから紳士的でないといけない」のですね。

ラグビーが、イギリスの中流・上流階級に愛されたスポーツであるという起源にも関係するのでしょう。

受験アドバイス

自分は、どのレベルで戦うか。目標レベルに応じた鍛え方をしているか。予選突破を目標としてきたチームと、優勝を目指してきたチームとでは「鍛え方」の根本が違う。受験も最後は肉弾戦である。自分の鍛え方を再確認しよう。

ごまかしが効かないプレーへの共感

ラクビーは「ごまかしが効かないスポーツ」ですね。

最近は、プロといっても、小手先プレーが流行する時代にあって、「真っ正直」な肉弾戦を、これほど激しく、厳しく、ナマで、体力・知力を絞ってプレーされたら、「興行プレー」で生きている競技者はたまったものじゃないですね。八百長ができない。

日本とサモアの試合のラストは、その典型で、田中史朗選手の「鋭い目線」がすべてを物語っていましたね。

まさにプロの眼力勝負でした。

「感動は限界を超えたところで生まれる」ことを象徴していました。

こうした試合を、世界各国の選手が展開するのですから、観客にも「熱い共感」を引き出したのだと、私は思っています。

受験アドバイス

すべての学問・あらゆる勉強は「感動と共感」を求めて燃えあがる。ほどほどの勉強では一流大学に合格できない。焦らず、粘り強く、最後まで頑張ることが「やり切った」ことにつながる。

快進撃を続けた日本チームが残したもの

ラグビーは発祥の地である英国と、旧植民地の英連邦の国々が中心の競技ですね。

イングランド・ウエールズ・スコットランドと、いつも私たちが「イギリス」と呼んでいるひとつの国の中に、伝統を重んじた「地域のスポーツ」としてラクビーが発展し、成長してきた歴史があります。

その延長線上として、旧植民地のアイルランド・ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカなどで盛んになって、南半球の四か国と欧州の六か国を「ティア1(tier)」の「強豪の10か国」が圧倒的な実力を誇っているのですね。

日本は「ティア2」に分類されるチームです。

今回「ティア1」のスコットランドとアイルランドに勝利することによって、衝撃と刺激を与えたのですね。

トップレベルのラクビーは、これまで「ティア1の国どうしの競技」でしたが、「真のグローバル競技になる」ためには、今回の「日本の快進撃」は重要な意義を持っています。

受験アドバイス

ランク付けは避けられないが、乗り越えることはできる。ランクを下げることはいつでもできるが、ランクを上げるには「厳しいトレーニングが必要」である。目標としたランク以上の成績は伸びない。鍛えられ方が違うからだ。

想定外があることを前提に闘う

今回の一番の想定外は「台風」でしたね。台風の進路がラグビーの試合を中断させるかもしれない。

そこで、スコットランドのラグビー協会が会長自ら「試合日を変更しろ。法的措置も考えている。無観客でも何でもとにかく試合やれ!」と激しく迫りましたね。

それに対して、イングランドのエディ・ジョーンズ監督は「試合が台風でキャンセルになる可能性は、前々からわかっていたことだ。だから、キャンセルになっても困らないように最初からできるだけ勝ち点を稼いでおくことが大事なんだ。」と、初戦のアイルランドに負けたスコットランドの自業自得的なコメントをしていました。

このあたりは、用意周到なジョーンズ監督らしいコメントであり、また、彼は日本の滞在経験が長いことで台風の破壊力を「皮膚感覚で理解」していたのでしょうね。

スコットランド戦が行われる横浜競技場近くも水没しましたが、「関係者の奮闘」もあり、無事開催されました。

「神風」頼りではなく、日本チームは正攻法で堂々と勝利しましたね。すごいことです。

受験アドバイス

受験でも、想定外のことが起こっても「動揺しない強さ」を築くこと。これも実力のうちだから。人生は「SERENDIPITY」の連続です。セレンディピティだから人生は面白い。より強く、逞しくいこう!

(安達昌二:お茶の水ゼミナール特別顧問)