ホテルムンバイ・天気の子

映画:「天気の子」と「ホテル・ムンバイ」

君は「天気の子」と「ホテル・ムンバイ」を見ましたか。

ひとつは、ヒット中のアニメ映画、もうひとつは、インドのテロの実話を扱った映画ですね。

全く異なる分野で、異なるテーマ、異なる世界を描いていますが、入試対策にもいろいろなヒントになることがありましたね。

小論文のテストだけでなく、「共通テスト」の記述式の問題も、こうした異なるものの中から「共通する」ものを問いかけて「観点を定めて論述する出題」が予想されます。

この流れは、私立大学の入試でも採用されるでしょう。

天気の子
天気の子 【画像の引用元
ホテル・ムンバイ
ホテル・ムンバイ 【画像の引用元

なぜ、これほどまでにヒットするのか

「天気の子」は、ソフトタッチの色彩が淡くきれいでしたね。

これは「明日天気にな~れ!」というテルテル坊主と、「ヒト柱」「占い」という日本の神話・伝説を組み合わせた映画で、ストーリーの展開は曖昧でした。

しかし、公開75日間で、観客動員1,000万人・興行収入133億円・140国と地域で配給というのですから、ものすごいヒット作品です。

なぜ、こんなにヒットするのか。

日本の名作アニメ(手塚治虫・宮崎駿氏ら)がディズニー映画と、どう違うのかと考えながら鑑賞しました。

鉄腕アトム
鉄腕アトム 【画像の引用元
千と千尋の神隠し
千と千尋の神隠し 【画像の引用元
アナと雪の女王
アナと雪の女王【画像の引用元

実際に起こったインドのテロを素材にする

「ホテル・ムンバイ」は、2008年11月に実際にインドで起こった残酷なテロを描いたものです。

無差別テロを「する側」と「される側」の両面を、ホテルを舞台にして展開していました。

最近テロが起こるたびに「なぜテロを起こすのか」と、私には納得がいかなかったのですが、この映画を観ていろいろと考えさせられました。

東京オリンピックはテロ対策が重要

私にはたくさんの「海外のホテルの体験」がありますから、顧客・ホテルの従業員の裏面・プライド・行動も実感できました。

現実に、世界中で「いつ起こるかわからない」のがテロの実態ですね。

東京オリンピックを前にして、日本でも警備の最重要項目です。

実際に起こったテロの現場
実際に起こったテロの現場 【画像の引用元

しかし、こうした良心的な映画も、商業ベースで言えば、公開される映画館は限定されるし、興行収入も1億円程度ではないかと言われています。

共通するもの・異なるものを見極める力

全く異なる分野の映画ですから、映画の内容を比較しませんが、「映画づくり」という観点と「映画を楽しむ」観点から見ると、素材の選択から示唆に富むものがありました。

特に「映画作家の姿勢」・「立ち位置」がよく見えると思います。

大学入試には、こうしたことは必要な観点なのです。

「共通するもの」と「異なるもの」を見極める観点ですね。

どんな作品を作るか

「天気の子」は、たくさんの人が楽しむことができる映画、「ホテル・ムンバイ」は、社会に問題提起をする映画です。

異常気象・テロという「現代社会が抱える深刻な課題」にいかに見せるか。

「自分はどんな映画を作りたいのか。作るのか」がしっかり構想していなくては「よい作品」はできません。

君が「この人生で何をするのか」「何ができるか」を考えることと同じです。

売れなくちゃ、制作費が出ない

映画づくりを「興行の観点」から考えると、現代の社会は成果主義ですから、「売れてナンボ」です。

売れるというのはニーズがあるからですね。

だから、売れる商品が「よい商品」なのです。

どんなに「優れた作品」だといっても、映画館まで足を運んでくれる顧客が少なければ、興行的には「よい商品だといえない」のです。

この点、資本主義経済はシビアですね。だから、どんな映画作家も必死です。

映画は「総合芸術作品」ですが「商品」でもあるからです。

言い換えると「需要」があるから「商品=作品」が市場に供給されるのです。

売れなければ、次の作品につながらないのです。

「印象の多様性」と「参加型」の映画づくり

「映画を楽しむ」観点から言えば、「天気の子」のヒットは「需要」を満たしているということです。

「どこが良かったの?」と聞くと、感想は多様です。

色づかいがいい・音楽が親しみやすい・ストーリーの展開が親しめる・東京の風景にリアリティーがある・主人公を応援したくなる・自分の閉塞感を癒してくれる・・・、こんな声がありましたが、この印象の多様さが「この映画の魅力」なのでしょう。

じっくり鑑賞する映画というより、一緒に歌ったり、笑ったりと「共感を楽しむ」・「観る人・見せる人」の区別を取り払った「参加型」であることに新鮮さがあるのでしょう。

「遊び」・「娯楽性」・「笑い」が欲しい

「ホテル・ムンバイ」は年配の観客が多かったですね。

重いテーマだから、インテリ・映画好き・社会問題に関心が高い顧客層に占められている感じでした。

有名な俳優を使っているし、ロケも確かで、内容がある、道具立てもしっかり配慮されている。

しかし、多くの観客を動員できる力がない。

その理由は「遊びがない」・「楽しむ観点」が希薄・「笑い」が少ないのですね。

テーマから言って仕方がないところですが、画面に「救い」がないと観客が困るのです。ここが難しいところですね。

テロの背景に「貧困」「経済格差」「組織的指導者の存在」

映画「ホテル・ムンバイ」より
映画「ホテル・ムンバイ」より 【画像の引用元

テロの温床が貧困であること、過激な行為には組織的なリーダーがいること、洗脳と軍事的訓練の場所があること、世界的な富裕層と貧困層の「経済格差」が現実に大きな力を持っていることなどが「隠れテーマ」になっていましたが、私には考えさせられることが多い映画でした。

若い君が見たら、何を感じるだろうか。

「明日はわが身」の危険な環境を解決するにはどうしたらよいのでしょうか。重い課題です。

「右手に娯楽」・「左手にメッセージ」

さて、君はどちらかの映画を観ましたか。

多分「天気の子」を観たでしょうね。

この映画を観て、君はどのようなことを考えましたか。

私は、映画を観る観点として「右手に娯楽」・「左手にメッセージ」を述べましたが、ヒントになりましたか。

君が、たくさんの観点も持つ人間として、大きく成長して欲しいと願っています。

(安達昌二:お茶の水ゼミナール特別顧問)