とことん、「極める夏」にする~夏休みの過ごし方PART2~

はじめに

夏休みの過ごし方(その2)のテーマは「とことん、何かを極める」です。

長期の休暇中でしかやれないことを「学力向上:夏休み中に極めること」、「読んだら人生観が変わる本」の紹介、「芸術・古典芸能を極める」に集約して提案します。

学力向上策:夏休みに極めること三つ

1. パーソナル・カリキュラムを組む

遠藤誠さん(仮名)は、塾の先生と相談して休暇中の「パーソナル・カリキュラム」を組みました。志望大学にそって教科別の到達目標を設定し、テキスト・参考書を選び、学習計画を立てたのです。徹底した「パーソナル・トレーニング」です。

1週間ごとに、トレーナーである先生のチェックと助言を受けて成果に繋げました。

スポーツトレーニングは「強化ポイント」を決めて訓練しますね。それと同じです。

パーソナル・トレーニング
先生のチェックと助言

2. ライバルを意識し、「負けまいとする心」が実力を伸ばす。

鈴木里美さん(仮名)は、塾で知り合った他校の女性をライバルと意識しました。競い合って強くなるのは、勉強でもスポーツでも同じです。1月・2月と受験は長丁場ですから、自分より優秀で活発だと思う人をライバルとして意識し,「負けまい」と努力したのです。この二人は、同じ大学に合格し、互いを誇りとする友情を築いています。

互いを誇りとする友情

1. パーソナル・カリキュラムを組む

まさか、現在の段階で志望校を低く設定している人はないでしょうが、志望校の「要求水準」下げたら学力は伸びません。難しいのは「下げ時」なのです。

夏は「挑戦」の期間です。要求水準を下げないようにしましょう。

青野嘉人君(仮名)が「早稲田大学の英語の単語が難しいから、受験を取りやめたい」といってきました。私は猛反対しましたが、自信を失くした青野君は、レベルダウンをして受験しました。その年の早稲田大の問題は平易でした。泣いて報告に来ましたが、仕方ありません。結果はあとからついてきます。頑張るだけ頑張りましょう。

あなたの適性は何ですか?

1. あなたは「ジョハリの窓」について知っていますか。

「自分は知らないが、他人は知っている自己」、「誰にも知らされていない自己」などを分析した図です。心理学の面から自分の適性・職業を知る上では参考にしましょう。

「医学部へ進学したい」という人が多いですが、自分の適性をしっかり考えないと、失敗する危険性があります。学力だけでなく「適性」に留意しましょう。

2. あなたはどんな仕事をやりたいですか?

日本の代表的なメーカーさえ揺れ動いている時代です。「これから発展していく職業」や「やりがいを感じる仕事」が、保護者の時代とは変わってきましたね。

オックスフォード大学のオズボーン准教授らが今後コンピューターに代えられる確率が高い職業を発表し話題になりましたね。一部分を抜粋してみましょう。

3. あなたはAIに使われる人ですか。AIを使う人になりたいですか?

最近は、人工頭脳によって多くの職業が消えていく職業の話題が多いですね。

AIは「機械学習から人間の脳に近い」ものへの開発が本格的に進んでいますね。

あなたの適性を考えながら、将来の職業選択が重要になってきました。

読んだら「人生の見方」が変わる本

誰だって「お勧め本」があります。私は、友人たちに「お茶ゼミ生に読ませたい本」を推薦してもらいました。短期間になんと34冊が集まりました。

その中から、8冊の本を選び、コメントをつけて紹介します。

日本の歴史・伝統を知る本

1. 「戦艦大和ノ最期」吉田満著<講談社文芸文庫>

学徒動員で戦艦ヤマトに乗った東大生らが、船上で「生きる意味」「死ぬ意味」を激論し、翌日海上に散っていきました。吉田さんは、その中の生き残った人です。

筑摩書房の国語教科書に採用されていたことがあります。

戦艦大和ノ最期
戦艦大和ノ最期 【画像の引用元

2. 「中空構造日本の深層」河合隼雄著<中公文庫>

心理学の立場から、「西欧のリーダー像」と「日本の伝統文化のリーダー像」の比較が新鮮です。「象徴天皇」の役割と位置づけを考える上にも参考になります。

時機を得た内容なので、どこかの大学の入試問題に採用されるかもしれません。

中空構造日本の深層
中空構造日本の深層 【画像の引用元

物理・数学の基本で、文系にもお勧めの本

1. 「死ぬまでに学びたい5つの物理学」山口栄一著<筑摩選書>

数式を使わず、しかし、深く基本的な五つの物理学のテーマを学ぶことができます。ニュートン・アインシュタインなど画期的な足跡を残した科学者の裏面が興味深いです。物理学全体を俯瞰することができます。

次の科学者は誰でしょうか?わかりますよね。

ニュートン
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アインシュタイン
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死ぬまでに学びたい5つの物理学
死ぬまでに学びたい5つの物理学 【画像の引用元

2. 「オイラーの贈り物」吉田武著<東海大学出版会>

チョット難しいかもしれませんが、中・高生が数学全体を理解するに適しています。ギリシャ時代から、18世紀までの数学の発展を辿ることができるますので、文系で数学が苦手の君にも「独習」できると思います。「公式」はシンプルで美しいですね。

オイラーの公式
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オイラーの贈物
オイラーの贈物 【画像の引用元

社会構造と宗教の基礎知識を考えるに役立つ本

1. 「世界がわかる宗教社会学入門」橋爪大三郎著<ちくま文庫>

社会学の観点から、世界中の宗教を冷静に分析し、分かり易く紹介しています。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教・仏教・儒教などの基礎知識を満載しています。学校では扱いきれない内容、基礎的な知識を分かり易く解説しています。

世界がわかる宗教社会学入門
世界がわかる宗教社会学入門 【画像の引用元

2. 「タテ社会の人間関係」中根千枝著<講談社現代新書>

日本人論の草分けとなった本です。現在でも「先輩・後輩」など、日本の社会を動かしている独特な人間関係がありますね。あわせて土居健郎著「甘えの構造」・ベネディクト著「菊と刀」などもいいでしょう。グローバルな時代だから必読です。

タテ社会の人間関係
タテ社会の人間関係 【画像の引用元

最近の話題になっているテーマを解説した本

1. 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」新井紀子著<東洋経済出版社>

著者は「ロボットが東大に合格できるか」というプログラムを展開した開発者の一人です。人間とAIの違いを考える上で参考になります。面白いです。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
AI vs. 教科書が読めない子どもたち 【画像の引用元

2. 「宇宙になぜ我々が存在するのか」村山斉著<ブルーバックス>

ブラックホールの発見が話題になっていますが、その基本を解説する本です。 ニュートリノやヒックス粒子など、最新の素粒子学が分かり易いです。あわせて同じ著者の「宇宙は本当にひとつなのか」を読んでみましょう。お勧めです。

宇宙になぜ我々が存在するのか
宇宙になぜ我々が存在するのか 【画像の引用元

芸術・古典芸能をきわめる夏にする

君は得意分野で、「プロを目指している」とおもいます。リーダーを目指す人は、この夏に「伝統的な芸術」・「古典芸能」に必ずひとつ以上触れましょう。

受け身でなく、自分から積極的に体験することを勧めます。

まず教養の一環として「西洋のクラシック芸術」に触れること・「日本の伝統的な芸術」に触れましょう。本物を聴くだけ、観るだけ、触れるだけでいいです。

国立西洋美術館(東京都 上野)
国立西洋美術館(東京都 上野) 【画像の引用元
オーケストラ(この写真はNHK交響楽団)
オーケストラ(この写真はNHK交響楽団) 【画像の引用元

ロンドンで弁護士をしている息子が「お客さんと、二時間くらい西洋や日本の音楽や絵画について会話ができないと仕事にならない」といっていたことがあります。

現代的なものでも構いませんが、基礎教養が必要です。中・高生の時代から、感性を磨いておくといいでしょう。君は「楽器をひとつ」以上、弾けますか?

歌舞伎
歌舞伎 【画像の引用元
文楽
文楽 【画像の引用元
能
能 【画像の引用元

1. プロとセミプロの間に横たわる「大きな溝」を意識する。

私は、頻繁に、上野に行って絵画を見ます。日本に居ながらにして、世界最高の芸術に触れることができるから、贅沢です。歌舞伎・能・文楽など、古典芸能も堪能しましょう。建築・デザインなどプロの技術・表現力のすごさは、趣味程度のレベルとは「格」が違います。学問でも同じです。

フィギアスケートの羽生結弦選手は、野村萬斎さんの指導を受けましたね。

羽生結弦選手
羽生結弦選手 【画像の引用元
野村萬斎さん
野村萬斎さん 【画像の引用元

2. ある芸術家の生涯

ある陶芸家の友人は恵まれた人生を送った人ではありませんでした。

「作品を商品化」することを拒否したために、世間から評価されず、貧しい中で孤独な生涯を送りました。無名作家の人生をどのように評価するか。

世界には、死後、数年経過してから「評価」された人が沢山いますね。複雑です。

「何をもって人生ととらえるか」。夏休みに「自分の生き方を考えたい」ですね。

3. スポーツの世界の厳しさ

プロサッカーの知人がいます。有名チームの元社長だった友人は高校のクラスメートです。優秀な選手でも、素質だけではなく「運」を味方にしなければ大成しません。

地方の公立高校の「サッカーのレギュラー選手」で、東大に現役で合格した人がいます。文武両道です。彼を見ていると「集中力」はすごかったですね。そして「切り替える力」です。見習うことが沢山ありました。

(安達昌二:お茶の水ゼミナール特別顧問)