お茶ゼミブログ

お茶ゼミブログ

少人数制の指導で確かな成果を。
首都圏トップの講師陣が合格へ導く。

2020/8/12 国語 秋元


平安ループ


こういうことはいうべきではないとは思うのですが、

僕は元々「古文」の講師になるつもりはありませんでした。


「現代文」を教えたくて、

学生時代に某塾に応募したら「古文」もやれるか、

と言われ仕方がなく古文も教えることになったのがきっかけでした。

お茶ゼミもご存じのように、

平常授業では「現代文」「古文」の両方を扱います。

予備校業界では2科目扱える講師は少ないので

僕は幸運なことにお茶ゼミと水がよく合いました。


それから25年、ただ目の前の生徒の期待に応えようという思いだけで

無我夢中に古文を教えてきたに過ぎません。

お茶ゼミの講師への教えに

「生徒を愛せ。教科を愛せ」というものがあります。

それでいうと、僕は全く「古文」を愛していなかったので、

心の片隅に後ろめたさがいつもありました。

むしろ僕は古文を憎んでいて、

古文ごときで行きたい大学に受からないのは許し難い、

古文なんて完膚なきまでに攻略してやる、

という敵愾心さえ抱いていたのです。

ただ、奇妙なことに生徒の方から

「古文が楽しい!」「古文が好きになった!」「国文科に進みます!」

という声が出てくるようになってきて、僕はそのたびにどぎまぎしました。

「成績が上がって嬉しい」はわかるけど、古文が好き!?



ここまでが前置きです。

実は告白しますと、僕も最近古文が好きになってきたのです。

一口に古文といっても、千年ほどのスパンがありますが、

その中心はやはり平安時代中期、「源氏物語」の時代でしょう。

入試で頻出の時代です。

平安時代中期西暦1000年前後の文章を繰り返し繰り返し、

受験時代を含めると30年以上も読み続けていると、

なんだか隣町に平安朝(平安町)があるような錯覚に陥ってきます。

まだ行ったことはないけれど、

行こうと思ったらいつでも行けるみたいな距離感です。

古文でよく見かける登場人物も、ネットニュースで目にする有名人か、

親戚のような実在感をもって僕の脳内に棲み込んでくるようになりました。

この感覚は何なんだろうと、考えてみたら、

あ、アレだ、タイムループだ!と腑に落ちました。


僕はタイムループ物が大好物なのですが(幼児性の表れ?らしいですね)、

古文をひたすら読み続けるというのはタイムループ体験だったんだ、

と気づいたのです。

タイムループとは文字通り同じ時間帯を何度も生き続けることで、

映画だとちょっと古いですが「恋はデ・ジャブ」とか、

アニメだとこれまた少し古いですが「涼宮ハルヒの憂鬱」

とかが有名でしょうか。

僕は予備校講師という仕事を通して、

ひたすら平安朝を毎年ループし続けるという

貴重な体験をさせてもらえていたのだなあ、

という思いに及んだのです。

同じシーンをループし続けると、

どんなに古文に興味がなかったとしても、

どうしても続きが気になってきます。

後日談や外伝、スピンオフが読みたくなってきます。

そうやって僕はだんだん古文の世界に

惹きつけられるようになってしまいました。


入試問題でも見かける人物の一人に藤原道兼という人がいます。

お兄さんは道隆で、弟はあの道長です。

異母兄は蜻蛉日記で有名な道綱です。

イケメン揃いの藤原兄弟の中で、不細工だったともいわれていて、

35歳で亡くなってしまいました。

道隆の後を継いで、ようやく悲願の関白に就いたと思ったら、

わずか数日で人生を終えたのです。

この人のことがふと気になって、残された子孫を調べてみると、

歴史の表舞台からは姿を消すのですが、

曾孫が下野国で宇都宮氏を興し、

さらにその子孫が上総国で秋元氏を興し、

さらにその分流が陸奥国鹿角郡にも......?!! 

たしか僕の祖父はここの出のはずです。

わ!つながった! びっくりしました。

ドラマを見ていたら急に知り合いが出てきたようなものです。



今回は何の教訓もアドバイスめいたものもないのですが、

いろいろと取り巻く現実が世知辛い中で、

古文の世界に身を浸すというのは人間だけに与えられた

とてつもない愉楽なのだと、この歳になってようやくわかった、

という告白でした。


次回はまた「現実」に向き合った内容を、と思っています。

いつもたくさんのコメント、ありがとうございます。

コメントに応えて(答えて)いきます。




相談・見学だけも大歓迎!

首都圏トップレベルの
授業・講師を体験しにいこう
無料体験授業
料金などを知りたい方へ
資料請求
直接質問をしたい方へ
受講説明会
無料体験でできること

お問い合わせはこちらから

受付時間
月~土 13:00~19:30
日 13:00~17:30