お茶ゼミブログ

2020/5/7 理科 輪島
今日は、コメントで頂きました、
フィゾーの実験についてと、光速のお話をしましょう。
現代物理学の扉へとつながってきますので、
そこらへんは雰囲気を味わうくらいでいきましょう。
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光が干渉することを発見し、それが波動の性質であると結論づけられました。
1800年くらいの出来事です。
また、光が伝わる速度、 光速の測定はそれよりも前に試みられていましたが、
天体を利用して光速を算出しており、
地上の実験室レベルでの観測方法は考案されておりませんでした。
それを最初に成功させたのが、フィゾーです。
フィゾーの実験は入試に出ることもある、有名な実験で、
最近では、平成31年のセンター試験の追試に登場しました。
実験器具を口頭で説明するのは至難の業なので、
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00036522.pdf&n=j+26+butsuri.pdf
の第3問をご覧ください。
歯車の回転数を上げていき、
歯車を通った光(歯車の歯の隙間と同じ幅の光)
が鏡に反射して戻ってきても見えなくなるとき、
つまり、毎度毎度、通った光が往復して 真横の歯の部分に
ピッタリあたってしまうときの回転数から
光が往復する時間が分かり、
距離をその時間で割ることで光速を求めたのです。
1849年とのことです。
また、当時の物理学では、光を伝播する存在として、
エーテルという媒質があると考えられていました。
化学物質のエーテルではございません。
全然違う、仮想の物質でした。 音を伝えてくれる媒質は空気ですね。
空気が振動して音が伝わります。
当時、光を伝えてくれる媒質として、観測することは出来ていないが、
様々な実験を通して、空気とは全く別の何かが光を伝播させてくれている
という結論になっていたのです。
そのエーテルの存在証明に挑んだのが、マイケルソンでした。
宇宙にはエーテルの風が吹いていると考えられており、
マイケルソンは地球の天体運動の作用で
地球上のエーテルも場所によって向きや速さが異なるのだから、
それによって伝えられる光だって
地球上では異なる速さで観測されるはずだと考えました。
そして、光速の測定を精度よく行うことで、
エーテルの存在証明をする計画をたてたのです。
さて、実験はというと、残念ながら、
光速にそれほど有意な差が見られることはありませんでした。
その後、マイケルソンは、モーリーに協力を仰ぎ、
精度をあげて実験を繰り返すものの、
エーテルの存在を証明することはできませんでした。
1887年のことです。
1905年、アインシュタインは、この実験結果を下地の一つとして、
特殊相対性理論を提唱しました。
力学は全ての慣性系において
ニュートン力学の考え方で記述できると考えられていましたが、
電磁気学においてはそうではありませんでした。
高校物理の電磁気学は絶対静止系からみた記述になっており、
その他の慣性系と絶対静止系が等価であるとは
言えないものになっているのです。
この問題を解決する方法を示しているのが特殊相対性理論です。
全ての慣性系から見て光速が一定であるとすることで完成した理論でした。
これにより、マイケルソンとモーリーの実験結果は
当初の想定とは逆の結果となりましたが、
逆にそれが世界の見え方であるとなっていったのです。
この理論によって、空間や距離、時間についても
これまでの理解が修正されることになり、
新たな世界の見方が提示されることになりました。
さらに、アインシュタインはこの特殊相対性理論に、
重力による空間のゆがみの影響を組み込むことで、
1915年などに一般相対性理論を発表しました。
このようにして、物理学は世界をどう記述するか
ということに挑戦してきたのです。
ちなみに、この1905年には特殊相対性理論の他、
光量子仮説と光電効果、ブラウン運動についても論文が発表されており、
奇跡の年と呼ばれています。
そして、1921年にアインシュタインは
光電効果の功績によりノーベル賞を受賞しました。
さて、2021年入試ですが、
ちょうど、アインシュタインがノーベル賞をとってから
100年後の入試となります。
原子分野の入試からの出題は今のところ多くはないですが、
ちらほらと出題されています。
今年はちょうど100年ということで、
光電効果が多く出題されないかなと思っている次第です。
ちなみに、奇跡の年の100年後の2005年入試では
今は廃止された東大後期試験で原子の出題がありました。
それでは、今日はここまで。
こんな、がっつりな文章を読んでくださった方々、
ありがとうございます!