お茶ゼミブログ

2009/9/29 国語 秋元
棕櫚箒を敬遠する理由の一つに「粉」が出るというものがあります。
ですがこの「粉」こそが棕櫚箒ならではの魅力でもあるのです。
粉の正体は棕櫚の樹脂なのですが、
掃いていけば掃いていくほど床に渋い独特の艶(つや)が出る。
足触りさえ違ってきます。
しっくりしっとりなやわらかさ。
日に日に変哲ないフローリングが風格を帯びてきて、
あれ、ここは三十三間堂かと見紛う神々しさを醸し出してくる。
……うそ。言い過ぎました。
ですが、掃除をし終わったあと冴え冴えした床の光沢を
しばらく見入るひとときが棕櫚箒の醍醐味なのです。
棕櫚箒セラピーですね。
さて次回は箒と比翼連理の「ちりとり」について。
え、、俺、そろそろ我に返った方がいいですか?
「漢文」の続きです。
イ 恥 ロ 哀 ハ 怪 ニ 怨 ホ 痴 ヘ 痛
前々回紹介した書き下し文の一部を抜粋してみましょう。
「或るもの之を窃む。俄にして窃む者心A死せんと欲す。霊之に謂ひて曰はく、爾
(なんぢ)我が楫を窃むこと無きを得んやと。窃む者応へず。頃(しばら)く有りて、愈
(いよいよ)急なり。霊曰はく、2若爾不以情告我者、今真死矣。窃む者急に遽(あは)
てて、乃ち首(まう)して之を出す。霊是に於いて之に飲ますに水を以てす。病即ち立
ちどころに愈ゆ。」
最初の2文だけ見て、「窃盗の罪の意識に駆られて、
彼は自分に恥じ入り『死にたい』と思ったんだな」と誤読して、
たとえば選択肢のイを選んだ人はいませんか。
まんまと早稲田の策略にやられています。
ポイントは重要単語の「欲」です。
「欲」にはたしかに「~たい」という意味はありますが、
精確には「欲」=willです。以下にまとめます。
「欲」〔未然形+んと欲す〕=will→…(し)ようとする・たいと思う
後まで文章を読むと盗んだ者があわてて助けを求めるシーンがあります。
つまり彼は「死にたい」わけではなく、
「心A」が原因で「死のう」としていたわけです。
あとは「漢字力」。「心」とはこの場合「心臓」だな。
「心臓」がAして死にそうになるというと、、、答えはヘに違いない。
心臓発作みたいな状態になったのでしょう。
前回「早稲田」らしい問題と言いました。
以上のように「文脈(前後関係)」を押さえ「論理的」に答えを追い込んでいく
作業はもはや「漢文」ではなく「現代文」ではないでしょうか。
「早稲田」は「現代文」ができないと合格しないと巷間で言われていますが、
それは現代文の配点が高いからではなく、
現代文以外にも常に「現代文」的要素を忍び込ませてくる点にあるのです。
僕はそういう早稲田の問題が大好きです。
また字数がきてしまいました。問三以降は次回に回します。
おそらく「ちりとり」の話も次回に。
「箒」関連のご感想も頂けたらとてもうれしいです。