英語リーディング
こりゃ驚いた 大変だ

受験生にとっては大変な試験だっただろう。
①時間が足りない
②読むべき資料が多く、だんだん頭がボーッとしてくる
③どのタイミングで設問を解くべきかが判断しづらく、恐怖
などの感想をもつ人が多かったのではなかろうか。
従来の大学入試とはだいぶ色合いの異なる試験ということは言える。また試行調査に比べてもハードだったろう。大変だ。
それでは以下、詳しく見ていくことにする。

【全体について】
第1問~第4問は、試行調査からも予想された、「いかにも共通テスト」的問題。素材文や資料の量が多く、解きづらかっただろう。この部分にどのくらい時間がかかったかで明暗が分かれたと思われる。第5~6問はセンター試験を思わせるオーソドックスな出題。難易度はそこまで高くないが、いかんせんここにたどり着くまでに時間がかかるだろうから、制限時間との戦いという意味でのプレッシャーはあっただろう。

【特徴と対策】
前述した①~③の視点から、問題を振り返ってみよう。
①時間が足りない
とにかく分量が多かった。試行調査では、前半(第1問~第3問)に比較的易しい問題が配置されていたので、「前半をスピーディに解き、分量の多い後半にじっくり時間をかける」という心づもりで取り組んだ受験生は多かったのではないだろうか。その戦略は間違っていないのだが、今回は前半にも時間がかかった受験生は多いだろう。

例えば第1問B。ファンクラブのウェブサイトの内容読解。最初の文章部分と中段の表、末尾の箇条書き、この3つ素材すべてに関して問いが付されている。つまり「こういうメソッドで読めばすぐ解ける」というような安直な受験テクニックが通用しない問題(「まんべんなくすべて読む。しかもかなりのスピードで」が必要)だった。

大学受験問題というのは選択肢が巧妙に仕組まれている場合も多く、一見正解に見える選択肢でも他の選択肢を含め慎重に吟味する必要がある、というのが従来の入試問題だった。ただ、共通テストではあまりその作業に時間をかけすぎると時間が足りなくなる。間違いなく「これだ」と思える選択肢に出会ったら即決、次の問題に進む、という流れを作ることも必要になる場合がある(もちろん迷ったらきちんと本文の該当箇所を確認すること)。

②読むべき資料が多く、だんだん頭がボーッとしてくる
例えば第2問A。バンドコンテストに関する問題だが、スコア表、審査員それぞれのコメント、審査員全体からの講評という3つの資料を読む。それに加えて、試行調査でも話題になった “fact”と”opinion”の峻別問題もこの大問では問われている。問4では 審査員からの“opinion”を選ぶ問題。問題文中で言及されている選択肢は他にも存在するのだが、「意見」と言えるのはひとつ(問題文中のthey really seemed connected with the audience. このseemedが解答へのヒントになる)。また「意見」か「事実」かは、選択肢を見ただけで判断できることも多いので、選択肢をきちんと見る必要がある。

また第4問。生徒と先生のメールやりとりだが、出題される素材はEメール2通、電車の時刻表、水族館の混雑時間帯のグラフ。これだけの素材を読み取りながら、姉妹校の生徒の受け入れイベントの正しいスケジュールを頭に描かねばならない。大変である(対策については後述)。

③どのタイミングで設問を解くべきかが判断しづらく、恐怖
大学入試では、多くの場合「下線がひかれているから/空欄があるから、ここで設問を解く」「ひと段落読み終わったから、ここらで内容一致問題やっとくか」という「設問を解くタイミング」というのがクリアに存在する。設問と本文の該当箇所の「距離」が近い、という言い方もできるだろう。ただし共通テストはそうではない。部分部分が問われるというよりも、問題文の全体像がいかに頭に入っているかが問われる。第3問B(ボランティア求人の文章)や第5問B(ニュース記事とスライド)では「出来事の起こった順番」を答えさせる。「頭の中にどのくらい情報を蓄積できるか」が問われていると言えよう。

また、第2問B問5, 第4問の問5は本文の読解を基盤とした問いである(本文中にダイレクトな形で答えが書かれているわけではない)。問われ方に戸惑った受験生もいただろう。

では、これから共通テストを受けていく高2, 1生はどのような学習をしていけばよいだろうか。前述の①~③に共通する対策は「頭の中の情報蓄積能力を増やしていく」ことだろう。そのためには何を行えばよいか? 意外かもしれないが「リスニング能力」を増強することだろう(読解のトレーニングを行うことをもちろん前提として)。「聞いた英語を頭の中に保持、蓄積する能力」のことを「リテンション」能力と言い、これは共通テストリスニング試験でもシビアに問われる能力(「1回聴き」の問題などは得にそう)である。これが筆記でも「読んだ英語を頭の中に保持、蓄積する」能力として問われていると言ってよいだろう。情報を得るのが耳からか、目からか、というだけの違いである。読解問題では、もちろん文法能力に基づいた基本的な英文構造の分析能力は必要である(事実、今回も過去完了形の理解などが読解の形で問われている)。ただ、それをベースにしつつ、ニュース英語などを積極的にリスニングすることで速読力を養っていくことが筆記の対策にもつながる。

第1問 読解問題(短め) 一つの素材から出題されるオーソドックスな問題
第2問 読解問題(短め) 複数の素材が一つの問題を構成している。
第3問 読解問題(短め) Aは二つの素材をもとに出題。Bは一つの素材。素材文に関する地理的、時間的な全体像の把握能力が問われた。
第4問 読解問題(長め) 二通のメール、さらに表とグラフが素材となる内容把握問題。
第5問 読解問題(長め) ニュース記事の読解が中心。内容理解を問うオーソドックスな問題
第6問 読解問題(長め) 説明文。内容理解を問うオーソドックスな問題。
英語リスニング
君は解くことが出来たか?共通テストリスニング

センター試験と比べると難化が予想された共通テストのリスニング問題。試行調査と出題形式,難易度はほぼ同じであったものの,センター試験と比べると,1回だけの放送があり,問題量も多くなったので難しいと感じた受験生も多くいたはずである。やはり「正確に聴き取る力」だけではなく,「場面を瞬時にイメージできる状況把握力」「論理的に推理する思考力」が必要とされた。リスニング問題は「音声」をただ聞くだけの問題ではないということを,常に心にとどめておこう。

それぞれの設問の状況を把握するには問題の先読みは必須である。その中でも特に気をつけてほしいのが第3問である。第3問からは放送回数が1回しかない。さらに第4問以降は問題文や図表を読む時間が与えられるが,第3問ではそのような時間は特に与えられず,先読みができる時間は短い。その短い時間で,「日本語の状況説明」「設問文」「選択肢」に目を通し,与えられた場面をイメージし,音声を聞く準備をしなければならない。例として問13を見ていく。

問13  台所で夫婦が食料品を片付けしています。

What will be put away first?
① Bags
② Boxes
③ Cans
④ Containers

<スクリプト>
M: Where do these boxes go?
W: Put them on the shelf, in the back, and then put the cans in front of them, because we’ll use the cans first.
M: How about these bags of flour and sugar?
W:Oh, just leave them on the counter. I’ll put them in the containers later.

What will be put away(何が最初に片付けられるのか)のput away がわからなくても,日本語の状況説明から「片付ける」と判断しなければならないし,firstとあるので選択肢の語彙がどのような順番で放送されるのかを頭で意識しつつ音声を聞く。しかし,firstと聞こえるやいなや直前に聞こえたcansを正解にしてはいけない。ここではbecause we’ll use the cans first.「最初にその缶を使うので」となっていて「片付ける順番」で缶が最初とは言っていない。正解は最初に言及している③Boxesである。また,小麦粉と砂糖の袋は just leave them on the counter(カウンターの上でそのままにしておいて)と述べられているので「片付けられる」ものではないと推理もしなければならない。

第4問以降は先読みする時間は与えられているものの,「日本語で状況を理解」「図や表の読み取り」「設問文と選択肢に目を通す」ことをしなければならず.加えて流れる英文の量も多くなる。先読みで得られた情報を元に音声(放送は1回のみ)を聞きつつ情報処理もしなければならなくなり,受験生に求められるレベルはセンター試験時代よりも確実に上がっている。

では具体的にどのような学習をしていくことが共通テストのリスニング対策には有効なのであろうか。おすすめの方法として,1つ目は長文読解で扱っている英文素材を利用することである。例えば,長文読解の勉強をする時にも「読解英文を音声で聞いて,テキストを見ずに再現(シャドーイング)する」というような練習が語数の多いリスニング問題に取り組む際にも有効になってくる。お茶ゼミ生は、読解素材を音声化した『音 Dock』を活用することでこういったトレーニングを行っていくとよいだろう。また長文素材を音読する際にもゆっくり読むのではなく,高速で音読することが望ましい。音声として英文が流れてくるスピードより速く読み,理解ができるようになると実際の音声を流しても頭の中で理解のスピードが流れてくる音声より遅くなるということがなくなってくる。

2つ目としてはリスニング問題を解く際にも「状況」が設定されている問題をより多く解くことである。例えば英検準1級のリスニング問題の中にはReal-life形式と呼ばれる,問題冊子に書かれている状況と設問文を先に読んでから,100語前後の英文を聞く問題が出題されている。そのような問題を繰り返し説くことで「状況」と「設問文」から聞き取るポイントを予測する力を養っておくことが大事である

以上のような効果的な勉強法も試験直前だけの対策ではもちろん限界がある。リスニング問題で高得点を取るためには,受験期の1年間さらにはできれば高校3年間をかけて練習を積んでいくことが大切である。

第1問 短い発話 短い発話に関して英文や絵を選ぶ。
第2問 短い対話 短い対話に関して絵を選ぶ。
第3問 短い対話 短い対話に関して英文を選ぶ。
第4問 やや長めの発話+複数の発話 発話に関してグラフや図を埋めていく。
第5問 長めの講義 長めの講義に関してワークシートを中心に埋めていく。
第6問 複数人での会話・議論 複数人での会話・議論に対する要点や意見を選ぶ。
フランス語
第1回、共通テスト。少しだけ変化アリ。

第1回目の共通テスト。フランス語は少しだけ変わりました。「発音」、「品詞書き換え・動詞活用&発音」、「文法」、「会話」、「並び替え作文」、「資料読み取り」、「長文問題」は変わらず出題。「多義語問題」と品詞書き換えの続きにあった「単語問題」が姿を消し、代わりに単語&熟語力を問う問題が新たに登場しました。しかし、ほとんどの問題がこれまでと同じ形式で、基礎レベル。上記の変化に驚いた人もいたとは思いますが、多義語問題が苦手だった人にとっては、むしろ解きやすく思えたのではないでしょうか?

これまでもweb速報で書いてきた通り、フランス語は高得点勝負です。難関大学合格を狙うなら9割以上の点数が欲しいところ。高1・高2生はまだまだ知らない単語が多く、学んでいない知識も沢山あるかと思いますが、共通テストになってもやるべきことは同じです。特に難関大学合格を目指す人や、これから先もフランス語を使っていきたい人は、勉強するときに「何となく」ではなく、基礎となる知識を「正確に」覚えることが大切。その「正確な」知識が、どんな問題も対処可能な状態に自分をしてくれるはずです。「正確な」知識の獲得には努力が必要ですが、フランス語は努力した分必ず上達します。どうか、日々真摯にフランス語に向き合って下さい。

今年もいくつか問題を見ていきましょう。まずは文法問題から。

第3問目
14に入れるのに最も適当なものを、①~④から一つ選べ。
問4
Il m’a caressé ( 14 ) tête.
①la  ②ma  ③sa  ④une

カッコのうしろはtête「頭」=体を表す名詞です。まずは重要なフランス語の文法知識を思い出す必要があります。「体を表す単語につく冠詞は定冠詞。所有形容詞を定冠詞の代わりにつけることもできる。」この知識から、真っ先に④は消えます。次にもう一つの知識も思い出しましょう。「体の名詞に定冠詞をつけたとき、その体の所有者を間接目的語の代名詞で表すことができる。」今回の問題には間接目的語の代名詞m’があります。動詞のあとに直接目的語の働きtêteがあるため、このm’は直接目的語ではなく間接目的語の代名詞だということが分かります。以上のことから答えは定冠詞①la。Il m’a caressé la tête.「彼は私の頭を撫でた」となります。

次は並び替え作文問題。

第6問目
①~⑥の語句をすべて用いて文を完成させると、日本語に相当する文になる。33に入れるべきものを、①~⑥から選べ。
問5
父親の指導のおかげで、ルイは素晴らしいサッカー選手になった。
Les conseils de          33       excellent joueur de foot. 
①de ②fait ③Louis ④ont ⑤son père ⑥un

並び替え作文問題は、日本語よりもフランス語と選択肢に注目することが重要です。まず、フランス語はLes conseils deからスタートしています。日本語では「父親の指導のおかげで、ルイは…」となっていますが、フランス語はLouisから始まる文章ではなく、さらに「おかげで」に相当するフランス語の表現もありません。つまりこの問題は、Les conseils de ~「~の助言」を主語にした文章を作るのだろう、と予測することができます。一方で、選択肢を見ると①deと②fait(不定詞はfaire)があり、この二つはお茶ゼミの授業でも何度も目にするfaire A de B=faire de B A「BをAにする」という熟語を作ることができます。また④と②をつなげば直説法複合過去形ont faitになり、これは三人称複数の活用形なので三人称複数のLes conseils de ~を主語にとることが確定します。そしてexcellent joueur de foot「素晴らしいサッカー選手」につなげるべく、先ほどのfaire de B Aを使ってみるとont fait de Louis un excellent joueur de foot 「ルイを素晴らしいサッカー選手にした」。あとは先ほどのLes conseils deに残りの選択肢⑤をつないで主語にすればLes conseils de son père ont fait de Louis un excellent joueur de foot.という文章が完成。33に入るのは①deです。この文章を直訳すると「父親の助言はルイを素晴らしいサッカー選手にした」。並び替え作文の日本語は意訳されていることが多いので、日本語に惑わされないよう注意しましょう。

第1問 発音 これまでのセンター試験と同様に今年もリエゾン問題が出題された。
第2問 品詞書き換え・動詞活用&発音 問5は注意。roux「赤毛の」は女性形がrousseになる。
第3問 文法 代名詞や動詞など様々な文法問題が出題されたが、基礎レベル。
第4問 単語・熟語 共通テストになって初登場の問題。しかし特に難しい単語や表現はない。問4はsiを使わない仮定文の一つ。
第5問 会話 それぞれの会話の最後のセリフに要注意!
第6問 並び替え作文 日本語の訳に惑わされないように。問4はtellementの構文が使われている。
第7問 資料読み取り 難しい単語や熟語は一切ない。文・資料を隅々まで見て解くこと。
第8問 長文 「本文全体のタイトルとして最も適当なものを選べ」という新たな問題が出た。
数学I・A
わかる<できる<使える

「文章」が増え、「計算」が減り、「情報処理量」が増えた。時間や緊張との戦いでも、多くの子が悔しい想いをされたかもしれない。更に来年は新課程2年目で、難化するのが通例である。ただ高得点を取るために何か特別な訓練が必要になるかというと、決してそんな事はない。とにかく「自分で説明出来る事」を増やそう。そして授業に出る→理解して帰る→身に付くまで繰り返す、というシンプルな最強習慣を1年続けてください。気付けば高得点を取るための自分で「使える」武器が身に付いてきます!

第1問
[1]基本的な計算問題。有理化や絶対値の計算は序盤の緊張をほぐすためにも確実に正解したい。(3)では正の整数cの「値」ではなく「個数」が問われているので、97から16を引いていき、平方数を数えれば良い。こういった少しの積み重ねが時間短縮に繋がる。
[2]図形と計量からの出題。実力が試される良問と感じる。(2)以降は面積や長さなどの「具体的な数値」ではなく、「符号や大小」が問われた。要するに「比べる力」が試されたと云える。正解するには知っている定理や公式の中で、「自ら選択出来る力」が必要となる。とはいってもそんな大袈裟なものでもなく、三角比にある程度馴染みがあれば正解出来たように思う。
また「論理と集合」からの出題がなかった。あまりにも形式化しすぎていたので、「論理」を問える問題の見直しを図っているのかもしれない。

第2問
[1]一応、2次関数からの出題。と云えるくらい明らかな新傾向であった。文の量に威圧され、アから困惑された受験生もいた事と思う。(2)以降では小数の計算に多少の面倒はあったかもしれないが、文の流れに沿えば難しい問題ではない。
[2]データの分析からの出題。ページ数が多いため、それだけでストレスとなり得る。前提として「文やデータを全て見なくても良い」という事くらいは聞いた事があるだろう。だが自分が何となく注目した箇所で判定がいつも上手く出来るわけではない。解答の「結果論」だけ見て理解しても、実際の試験で手早く処理出来る力など身に付くはずがない。箱ひげ図やヒストグラムなどでは「最大最小→中央値→第1,3四分位数」というように、特徴の強いものから目算していこう。その訓練を繰り返すことで「見ないものは見ない」という姿勢は勝手に身に付いてくる。

第3問 場合の数・確率
条件付き確率を正しく理解出来ていれば非常に取り組みやすかったと思う。前提として、確率は起こりやすさの比であること、つまり「割合」であることを踏まえた上で普段の学習に励んで欲しい。淡々と量をこなせば多少慣れはするだろうが、それだけではいつまでも安定して得点できるようにはならない。

第4問 整数
問題の設定が「さいころの出た目による点の移動」というもので真新しさはあるものの、それ自体に深い思考力が要求されるものではない。ベースとなったのは従来通り不定方程式の整数解についてであった。(3)以降は「余りで分類」という整数分野ではお馴染みのテーマも絡んできた。ただそれを「点の移動」という設定の中で、瞬時に結びつける事は難しかったかもしれない。

第5問 平面図形
図が描かれていないので、当然自分で描くことになる。円が複数登場するので、1つの図だけで最後まで解くのは困難であろう。都度自分で「見たいもの」が見える図を描くことが要求され、それが1つの関門である。前半は、「相似を見抜く」「三角比を使う」など様々な着眼が考えられる。最後の空欄タは、苦労して描いた図だけ眺めていても何も始まらない。冷静に一呼吸置いて「共円条件」を脳内検索し、問題の流れから「方べきの定理の逆」に至れたかどうかである。幾何では、自分では思いつきそうもない補助線を引くなどの別解も見てしまうためか、神がかったセンスのようなものが要求されものだと思われがちである。だが本問で鍵となった力は「必要な図を描こうとする姿勢」と「共円条件の検索」くらいである。

第1問 小問集合 [1]数と式,2次方程式
[2]図形と軽量
第2問 小問集合 [1]2次関数
[2]データの分析
第3問 場合の数・確率 反復試行,条件付き確率
第4問 整数 不定方程式,剰余類
第5問 平面図形 角の二等分線,方べきの定理,内接円の半径,方べきの定理の逆
数学II・B
計算量が減りました

選択式の問題が大幅に増加し、ページ数も増加した。また必要な計算量がかなり減少したように思う。ただしそれはある程度演習を積んでいたからこそ、「無駄な計算を減らせた」という意味合いが強い。逆に計算に時間がかかった受験生は、出題者の意図に気付けずに進めてしまった可能性が高い。高2生の子は、仮に出来た所でも「遠回りな計算」「無駄な計算」をしていないかと見返してみて欲しい。きっと新しい発見が見つかり、これからの学習にも、もちろん来年のあなたの本番にも大きく役立つはずである。

第1問
[1]三角関数
sin合成から最大最小を考えるという典型的な切り出しであった。しかし後半は馴染みが薄い受験生も多いであろうcos合成が出題された。sinにせよcosにせよ、加法定理を用いた変形の経験がなければ対処が困難だったかもしれない。
[2]指数・対数関数
理系の受験生は背景の知識を知っていたりすると、ストレスなく取り組めたように思う。ほとんどが関数の式に値や変数を1つ1つ代入して等号が成り立つものを確認するだけである。最後の空欄ネでは、太郎と花子の会話を読んでも何をすれば良いかピンと来なかった受験生もいたかもしれない。また対数は試行調査で「対数物差し」といった特徴の強い問題も見られたが、簡単な計算が1問出題されたのみであった。来年は思いっきり対数問題かもしれない。

第2問 微分積分
実力差が強く出たように思う。計算量が極めて少ないので、数分で完答出来た受験生もいただろう。空欄セ,ナなどのグラフを選ぶ問題は今後も続きそうである。グラフの接線の問題がメインで、積分の計算はほぼ皆無であった。センター試験でもそうだったが、汚い計算を強いられる事は年々少なくなっている印象である。普段から積分計算や面積の立式などを書く際は、合っているかに加えて「工夫をして適切な形・手順で書けているか」も是非意識して欲しい。

第3問 確率分布と統計的な推測
センター試験では第5問であったが第3問へ変わった。統計の重要性の認知度を上げたいように思える。前半は例年通り取り組みやすい問題であった。後半では、同じ母集団でありながら異なる標本を対象とした事で、難しく感じた子が多かったかもしれない。

第4問 数列
意味が分からずとも誘導に乗ることが出来れば10点くらいは取れたと思う。やはり漸化式そのものに馴染めている事が最も差が出るポイントであろう。高2生以下で出来なかった子は、漸化式の典型タイプが出来るようになった上でもう一度取り組み直してみよう。また漸化式を解けるようになった後は、確率漸化式などの「漸化式を立てる」問題にも取り組みたい。漸化式は「道具」だということがよくわかるはずである。

第5問 ベクトル
正五角形を元にした平面ベクトルと、正十二面体を元にした空間ベクトルの問題であった。計算量は多くなく、誘導に乗って進めていけば特に問題はなさそうだが、正五角形そのものに馴染みが薄ければ難しかったのかもしれない。また空間ベクトル特有の難しさなどは見られず、ほとんど内積計算をするだけであった。

第1問 小問集合 [1]三角関数
[2]指数・対数関数
第2問 微分積分 接線,積分を用いた面積計算,適切なグラフの選択
第3問 確率分布と統計的な推測 二項分布,平均,標準偏差,正規分布,信頼区間
第4問 数列 等差数列,等比数列,和の計算,漸化式
第5問 ベクトル 平面ベクトル,空間ベクトル,内積計算
国語
新傾向への「階梯」となった共通テスト初年度

大学入学共通テストの初年度である2021年度入試は、これまでにない新傾向の出題が予告されていたことに加え、コロナ禍の影響もあり、受験生にとっては難儀を強いられる入試となった。とはいえ、モデル問題例や試行テストの中で事前に発表されていたような複雑な資料の読み取り問題などは出題されず、一つの文章をベースに小問が作られている点では従来通りの形式を概ね踏襲した出題がなされた。初めての試みとして、文章を踏まえた短めの資料を用いる問題が各大問に見られたが、間接的にメインの文章の理解を問うているに過ぎない。本年度の共通テストは、形式こそ若干の変化が見られたものの、今後数年を費やして共通テストのあり方を模索する段階、すなわち確立した共通テストへの「階梯」としての年度となったといえよう。

第1問
 予告されていた実用的な文章とは異なり、妖怪に関する人文科学的な考察が行われる骨太の評論文が出題された。問2から問4にかけては、術語の本文中における定義を問うオーソドックスな良問であった。問5で【ノート】というかたちで新たな資料を掲載する新傾向問題が出題されたが、結局は本文の意味段落ごとの要約を課しているに過ぎない。全体として、筆者の主張や文章の論理構成を真正面から問う良問揃いの作題である。これまでのセンター試験や私大入試の過去問の訓練を行っていれば、十分に対応可能な問題だろう。

第2問
 これまでのセンター試験でも好んで出題されてきた、大正~昭和初期の小説からの出題。問1は辞書的な意味を重視する従来の語彙問題と同一の出題意図である。問2~5の心情把握問題に関しても、正解肢は例年通り本文中の記述を客観的に反映したものになっている。余計な主観を混ぜず、冷静に消去法を行う小説対策の鉄則が生きる問題である。問6において資料読み取りの問題が出題されたが、文章に対する批評と本文中の表現を重ねて問う形式となっており、資料と文章を照らし合わせて読み直す「手間」を費やす必要があるという点では、従来のセンター試験と比してやや難化したということができるかもしれない。

第3問
 例年出題されていた文法の独立問題はなくなったが、逐語訳を大前提とする問1は例年通り。問3は「中納言殿」の境遇を踏まえた上で動作の意図を読み取らねばならず、直訳が手がかりにならないため難しかったかもしれない。問5は【文章】として新たな資料が付加される出題がなされたが、単語や文法事項といった基礎知識に基づいて和歌および本文の内容を解釈する問題である。全体として、従来通りの入試古文の学習で十分に対応できる問題であった。ちなみにお茶ゼミの冬期講習「国語共通テスト演習」では今回の共通テストと同様に『栄花物語』を予想問題として扱った。

第4問
 二種類の問題文を提示し、関連性も手がかりとして用いながら読解を進めていく問題となっており、四つの大問のうち最も共通テストの出題予告に近い形式であった。基本的な句形や副詞等の知識を問う傾向は従来通りだが、問3・問6では同一テーマを扱った【問題文Ⅰ】と【問題文Ⅱ】との関連性がヒントになっている。このような場合は、一方の文章で理解しづらい箇所が他方の文章を読んで明らかになることが多い。落ち着いて問題文全体を見渡し、短絡的な解釈をしてしまわないように注意したい。ちなみにお茶ゼミの冬期講習「国語共通テスト演習」では今回の共通テストと同様に漢詩と文章とを組み合わせた予想問題を扱った。講座を受講した生徒は本番で動揺せずに取り組むことができたのではないか。

前述のように、共通テスト初年度となった今年度の試験は、将来の共通テストに向かう「移行期間」としての色合いが強いものと思われる。全ての大問において誤答選択肢のキズがはっきりしていることや、選択肢の長さにムラがあることを踏まえても、今後の共通テストはさらに修正・改変されていくものと思われる。お茶ゼミでは今後の入試傾向や大学入試センターの動向を踏まえ、さらなる問題研究と対策講座の充実を目指していく。受験生は安心して今後の受験勉強に取り組んでいただきたい。

第3問 【現代語訳】(『栄花物語』巻第二七「ころものたま」)

大北の方も、この殿たちも、また繰り返し体を投げ出し、転げ回りなさる(ほどに悲しみなさる)。このこと(=長家の奥様の亡骸を棺に入れること)でさえ悲しくひどいことだと言わないでは、他には何も(悲しくひどいことは)ないだろうと思われた。そうして御車の後ろに、大納言殿、中納言殿、(その他にも)しかるべき(=葬列に参列すべき)人々はお歩きになる(=徒歩で長家の奥様の亡骸を乗せた轜車(じしゃ)に従いなさる)。言うまでもなく、(その悲しみは)表現し尽くすことはできない。北の方の御車や、女房たちの車など(がその後に)続いた。御供の人々などは数知れず多い。法住寺には、普段のお越しとは思えない御車などの様子に、僧都の君は、(涙で)目の前が真っ暗になり、拝見なさることができない。そうして御車を下して、次いで人々も下りた。

そうしてこの御忌(=四十九日)の間は、どなたもそこ(=法住寺)にいらっしゃることになっていた。(中納言殿が)山(=東山)の方にぼんやりと目をやりなさるにつけても、(木々の葉は)さりげなく色様々に少し紅葉している。(中納言殿は)鹿の鳴く声に目も覚めなさって、今少し心細さがつのりなさる。宮たちからも(中納言殿の)気が紛れなさるようにとお便りが度々届くが、(中納言殿は)ただ今はもっぱら(悪い)夢を見ているようにばかりお思いにならずにはいられなくて(日々を)お過ごしになる。月がたいそう明るいのにも、思いを残しなさることがない(ほどに、物思いの限りをお尽くしになる)。宮中の女房も、様々お手紙をお寄せ申し上げるが、一通りの相手には、「いずれ私自身(がお会いした上でご挨拶申し上げます)」とだけお書きになる。進内侍と申し上げる人が、(歌を詠み)申し上げた。

契りけん…(あなたが奥様と一緒にいようと)約束したとかいう長い年月は涙でできた水底に沈み、(その涙に)枕だけが浮いて見えていることでしょうか
中納言殿のお返事(の歌)、
 起き臥しの…寝ても覚めてもいつも(妻と交わした)約束は決して尽きることがないので、枕を浮かせるほど涙が流れるなあ
また東宮の若宮(=敦良(あつなが)親王)の御乳母の小弁(の歌)、
悲しさを…(亡き奥様を偲ぶ)悲しさを一方では落ち着けて下さいませ。誰しも最後まで生きて留まることはできない世なのですから
(中納言殿の)御返歌、
慰むる…悲しみをなだめる方法がないので、世が無常であることを納得できないことですなあ
 このようにお思いになり、和歌をお詠みになっても、「いやもう、(私にもまだ)分別があるようだが、ましてや数か月、数年経ったら、(亡き妻への)思いを忘れることもあるだろうか」と、我ながら情けなくお思いにならずにはいられない。「(妻は)何事につけてもどうしてこれほどまでにと(思われるほど)感じのよい人でいらっしゃったのになあ。容姿をはじめ、気立て、字もお上手で、絵などにも関心があり、つい最近までご熱心に、うつ伏しうつ伏ししてお描きになったのに、この夏の絵を、枇杷殿に持って参上したところ、たいそう面白がりおほめになって、お納めになったのは、よくぞ持って参上したものだ」と、思い残しなさることがないのにまかせて、万事につけて恋しくばかり思い出し申し上げなさる。「長年(亡き中納言殿の奥様が)書き集めなさった絵物語などが、(数年前の火事で)すべて燃えてしまった後、去年、今年のうちにお集めになったものもたいそう多かったのを、自邸に戻ったら、取り出しては見て気持ちを慰めよう」と(中納言殿は)お思いになるのであった。

第4問 書き下し文と解釈
【問題文Ⅰ】
[書き下し文]
吾(われ)に千(せん)里(り)の馬(うま)有(あ)り
   毛(まう)骨(こつ)何(なん)ぞ蕭(せう)森(しん)たる

疾(はや)く馳(は)すれば奔(ほん)風(ぷう)のごとく
   白(はく)日(じつ)に陰(かげ)を留(とど)むる無(な)し

徐(おもむ)ろに駆(か)くれば大(たい)道(どう)に当(あ)たり
   歩(ほ)驟(しう)は五(ご)音(いん)に中(あ)たる

馬(うま)に四(し)足(そく)有(あ)りと雖(いへど)も
   遅(ち)速(そく)は吾(わ)が心(こころ)に在(あ)り

六(りく)轡(ひ)は吾(わ)が手(て)に応(おう)じ
   調(てう)和(わ)すること瑟(しつ)琴(きん)のごとし

東(とう)西(ざい)と南(なん)北(ぼく)と
   山(やま)と林(はやし)とを高(かう)下(げ)す

惟(た)だ意(い)の適(ゆ)かんと欲(ほつ)する所(ところ)にして
   九(きう)州(しう)周(あまね)く尋(たづ)ぬべし

至(いた)れるかな人(ひと)と馬(うま)と
   両(りやう)楽(らく)相(あひ)侵(おか)さず

伯(はく)楽(らく)は其(そ)の外(そと)を識(し)るも
   徒(た)だ価(あたひ)の千(せん)金(きん)なるを知(し)る

王(わう)良(りやう)は其(そ)の性(せい)を得(え)たり
   此(こ)の術(じゆつ)固(もと)より已(すで)に深(ふか)し

良(りやう)馬(ば)は善(ぜん)馭(ぎよ)を須(ま)つ
   吾(わ)が言(げん)箴(しん)と為(な)すべし

[解釈]
私は千里の馬をもっていて、その毛なみと骨格はなんとも美しい
速く走らせると疾風のようで、白日のもとでも影をとどめることがない
ゆっくり走ると大きい道のようで、駆ける足音は音階のように聞こえる
馬に四肢があるといっても、遅い速いは私の心しだいだ
手綱は私の手に応じ、調和することは大小の琴のようだ
東西と南北を行き来し、山と林とを上り下りする
ただ行こうとする私の思いにまかせて、中国全土すみずみまで訪れることができる
このような境地に至ることができるのだな、人と馬とが互いの楽しみを侵さずに
伯楽は馬の外面を見るが、ただ馬の価値が千金に値するのを知るだけだ
王良は馬の性質を把握していて、この技術はもちろんすでに深い
よい馬はよい御者を必要とするものだ、私の言葉をいましめとせよ

【問題文Ⅱ】
[書き下し文]
 凡(およ)そ御(ぎよ)の貴(たつと)ぶ所(ところ)は、馬(ば)体(たい)車(くるま)に安(やす)んじ、人(じん)心(しん)馬(うま)に調(かな)ひ、而(しか)る後(のち)に以(もつ)て進(すす)むこと速(すみ)やかにして遠(とほ)きを致(いた)すべし。今(いま)君(きみ)後(おく)るれば則(すなは)ち臣(しん)に逮(およ)ばんと欲(ほつ)し、先(さき)んずれば則(すなは)ち臣(しん)に逮(およ)ばれんことを恐(おそ)る。夫(そ)れ道(みち)に誘(すす)めて遠(とほ)きを争(あらそ)ふは、先(さき)んずるに非(あら)ざれば則(すなは)ち後(おく)るるなり。而(しかう)して先(せん)後(ご)の心(こころ)は臣(しん)に在(あ)り。尚(な)ほ何(なに)を以(もつ)て馬(うま)に調(かな)はん。此(こ)れ君(きみ)の後(おく)るる所以(ゆゑん)なり。

[解釈]
 だいたい御術で大事なことは、馬体が車になじみ、人の心が馬と調和して、その後で進むのが速くなり遠くまで行くことができるようになる、ということです。今襄主様は私より遅れると私に追いつこうとし、私より先行すると私に追いつかれることを心配します。そもそも道に馬を走らせて遠くまで競走するときは、先行するのでなければ遅れるのです。そして先行するとか遅れるとかいう襄主様の意識は、私に向かっています。それでどうして襄主様の心が馬と調和するでしょうか、いやしないでしょう。これが、襄主様が私より遅れる原因なのです。

第1問 評論文 オーソドックスな評論文。生徒の【ノート】の空欄補充という新傾向の問も見られた。
第2問 小説文 センター試験でよく出題された、大正~昭和初期の小説。資料読み取りの問題が新傾向。
第3問 古文 歴史物語からの出題。複数の和歌の関係をふまえた理解が問われた。
第4問 漢文 欧陽脩の古詩+『韓非子』という複数出典からの出題という新傾向。
物理
新傾向が見られる問題はあったが、従来通りの出題も多かった。

センター試験から共通テストへと移行し、あまり見慣れない形式のグラフの読み取りや、2次試験・私大で出題されるような思考力と幅広い知識が必要となる問題が増え、やや難化した。しかし、試行調査にあるような長い会話文をベースとした出題とはならなかった。また、昨年度までは原子分野は選択であったが、今年度からは必答となった。

第1問
問2
 力のつり合いに関する問題である。似たような形の問題が過去に何度も出題されている。どの物体に注目して力のつり合いを立てるのか、注目物体をしっかりと意識できているかどうかが正解を導き出す鍵となる。

問5
 断熱変化と等温変化に関する問題。断熱線と等温線の違いはpvグラフの傾きが断熱線の方が急となる。この知識を題材とする問題は数多い。この問題もそのことを知っていると有利である。グラフが1点に交わる点から断熱膨張と等温膨張をさせ、最終的な圧力が等しいことから、pvグラフに横線を引くことで等温変化の方が最終的な体積が大きいことがわかる。

第2問
A
 コンデンサ―と抵抗の過渡現象に関する問題。センター試験では過去にあまり出題されていなかった。

問1
 回路の対称性に気付けば、10Ωの抵抗と20Ωの抵抗値にそれぞれ同じ電流が流れるので同じ文字でおくことができ、わりとすぐに電流の値が計算できる。これに気付かないと計算量が大分増え、正解を出すまでに時間と手間がかかるであろう。

問3
 問題文の「点pを流れる電流はスイッチを入れた直後の値を保持した」という一文からコンデンサーに流れる電流が常に0であり、ホイートストンブリッジ回路の条件を使えることに気付けば容易に正解できる。出題者側はこのようにわざと遠回りとなる表現を用いるので、それを正しい方向に解釈できるかが正答できるかの分かれ目となる。

B
 電磁誘導の誘導起電力に関する問題。この問題もAの問題もそうだが、今年の電磁気の問題は私大でよく出されるような出題形式である。共通テストだけで物理が必要な文系の人にとっては解きにくかったのではなかろうか。

問6
 2本の導体棒の間に作用・反作用以外の外力が働いていないので運動量保存則が成立することに気付けば容易に正解できる。速度・誘導起電力・電流・棒が受ける合力・加速度の変化を考え、最終的に2本の導体棒が等速になることを、1つ1つの物理量の増減を丁寧に追って考えてもらいたい。

第3問
A
  装飾用にカットしたダイヤモンド内を進む光の屈折・全反射に関する問題。
問1
 屈折率が大きければ屈折角が小さくなる(大きく曲がる)ことを知っていれば、経路は容易に選べる。
問3
 図5のグラフからダイヤモンドではiより小さい角度で入射するとAC面の角とBC面の角は臨界角より大きい角度で入射することになるので全反射する。iより大きい角で入射するとAC面の角の方は臨界角より小さくなるので部分反射する。このグラフの正しく読み取れれば正解することができる。
しかし、このグラフの意味がわからないからといってすぐに諦めてはならない。何が起きているかを考えれば正解することもできる。図4を利用して考えてみよう。まず面ACに入射する光が面ACでギリギリ全反射するような線を書いてみよう。その線から入射角iを少しだけ小さくした線を描いてみるとpでの屈折角も小さくなることから面ACへの入射角が先ほどの角より大きくなるのでそこで全反射することがわかる。このように図を使って実際に起こっていることを考えてみることがとても重要である。式だけを使って考えるのではなく、実際に起きている現象を定性的に考えるクセを普段から付けておいてもらいたい。

B
 今年から原子が選択ではなくなり、必答問題となった。蛍光灯が光る原理に関する問題。
問5、問6
 電子と水銀原子の衝突により、運動量は保存するが、運動エネルギーは水銀原子の励起に使われた分だけ減るということに気付きたいところである。

第4問
 力学の斜方投射に関する問題。今年度からの共通テストで会話文形式の問題が増えるとのことであった。ここまであまりその傾向は見られなかったが、最後の問6でその形式となった。しかし会話文は自体が短く、また話の流れもあまり繋がりのないといった印象である。問題自体は衝突に関する基本知識があれば容易に正解できる。

第1問 小問集合 特に目新しさはない。完答を目指したい。
第2問 電磁気 2次試験、私大でよく出題されるような典型的な問題。
第3問 波動、原子 今年から原子が選択ではなく、必答問題となった。
第4問 力学 ここまで会話文はなかったが、最後の問で短い会話文による出題。
化学
センター試験形式の小問に思考力を要する問題が加わり,全体として難化

共通テスト初年度の化学は,過去のセンター試験を踏襲したタイプの小問と試行調査で見られた思考力を要する問題で構成されていた。思考力を要する問題は,大問1~4それぞれの後半および,大問5に配置されている。第1問から第4問は,1~2ページのリード文を読ませて,それに関する設問に答える試行テストの形式そのものではなく,一見センター試験に近いように見えるが,誘導や図が与えられておらず解答までのプロセスを自分で設定する必要がある問題,グラフ描図問題,既習知識を活用して問題文や図表を読み取る必要のある問題などが出題されており,全体として難化した。

大問数は試行調査のときと同じで5題であり,設問数は昨年のセンター試験と比べ減少したが,思考力を要する問題の増加により時間的な余裕はなかったと思われる。現役生にとって後手に回りやすい天然有機化合物・合成高分子化合物では選択問題が廃止され,有機化学分野全体の配点はセンター試験のときは29点であったのに対して共通テストでは40点と増加しており,これらの分野も,早期に学習を開始しなければならないことがわかる。それでは,問題ごとに確認していこう。

第1問
 理論化学(物質の構成,物質の状態)からの出題。問1~3が小問集合,問4が思考力を要する問題である。問1では金属元素の性質に関する基礎知識が問われた。問2は,金属の結晶構造からの出題で,アボガドロ定数を密度,モル質量,格子定数などを用いて表す文字式を含んだ計算問題であり基本的。問3は物質の溶解や分子間力に関する問題で,知識のみでは対応しづらい。問4は蒸気圧に関する問題であり,aとbの2つの小問に分かれている。aは,蒸気圧曲線から数値を読み取る問題で,数値そのものをマークする形式が新しい。bは容積一定の下で,エタノールの温度と圧力の関係のグラフを選択する問題であり,二次試験でよくみられるテーマである。

第2問
 理論化学(物質の状態,物質の変化)からの出題。問1,2が小問集合で問3が思考力を要する問題である。問1は光化学反応からの出題である。学習していて手薄になりがちな項目であるため,戸惑った受験生が多かったのではないだろうか。問2は空気亜鉛電池からの出題で,与えられた反応式から,電池の質量増加が反応した酸素によるものであると気付くことができるかがポイントである。問3は水の状態変化と水素結合に関する問題でa,b,cの3つの小問に分かれている。aは氷を昇華させる条件を問う問題である。自分で水の状態図を思い浮かべる必要がある点が少し難しい。bは0℃における水素結合1 molを切るために必要なエネルギーを求める問題で,氷1 molあたりに2 molの水素結合が含まれることをリード文から読み取らなければならない。cは0℃における水の昇華熱をヘスの法則を用いて計算する問題であるが,反応熱の温度依存症という,通常高校生が意識しない内容について問われているという点で難しい。与えられたエネルギー図をうまく用いることができたかが,明暗を分けただろう。

第3問
 理論化学と無機化学の融合問題である。問1,2が小問集合で問3が思考力を要する問題である。問1はNaClの溶融塩電解に関する基本問題である。問2は両性元素からの出題である。難しくはないがSnとPbが同族元素であるという知識が必要であった。問3は鉄(III)の錯イオンの光分解をテーマとした実験問題であり難しい。この反応は教科書には記載されておらず,二次試験でもほとんど取り上げられていないものである。a,b,cの3パートに分かれており,aは鉄(II)イオンに関する無機化学の知識問題で容易である。bは,与えられた反応式の理解を促すcの誘導となる設問である。c の計算問題は反応式や実験の全体像に関してよく理解できていないと解答できない。反応前後でのシュウ酸イオンの減少量に注目すれば良いが,60分という短い試験時間の中で,正確に問題内容を把握し,計算しなければならず,正答率は低いだろう。

第4問
 天然有機化合物,合成高分子化合物を含む有機化学全体からの出題で,今回の共通テストの大問の中では最もセンター試験に近い形式である。
 問1は芳香族炭化水素の反応に関する知識問題,問2は油脂に関する問題である。問3はアルコールの酸化と脱水に関する問題で標準的であり,問4は合成高分子化合物の基本的な知識問題であった。問5はポリアラニン鎖のらせんの全長を求める問題で目新しい。

第5問
 共通テストらしい形式の大問である。グルコースの異性化をテーマに化学平衡,糖の反応などが総合的に問われていた。問1はグルコースの異性化反応を題材とした化学平衡の問題。bのβ-グルコースの物質量が平衡に達したときの物質量の50%になるときの時間を求める問題は,表1から求める時間が0.5~1.5hの間にある事が明らかであり,選択肢からグラフを描く必要はない。なお,試行テストでは,グラフ描図が強要される形式だった。cは平衡定数を用いた典型的な計算問題だが,問題文の中に平衡定数に関する記述はないので,自分で気が付く必要がある。問2はグルコースとメタノールの反応によって生成した化合物Xに関する問題で,化合物Xでは,グルコースの開環に必要なヒドロキシ基がメトキシ化されており,異性化できないことに気付くことができたかがポイントである。問3は過ヨウ素酸化を題材とした出題で,教科書には記載がない反応を扱ってはいるが,有機化合物YとZの関係からaは容易に回答できる。bの量的関係の問題は炭素数に着目すればよい。

共通テストでは,センター試験のように直前に対策をやれば得点が取れるというものではなく,本質に基づいた総合的な実力を有していないと高得点は難しい。また本年は,試行調査に見られたリード文を読ませてそれに対する設問に答えさせる形式や,定性的な考察問題の出題が見られなかった。過去も,新課程初年度は難易度を抑えてセンター試験が作成されていたことから,今年の共通テストも,多少抑えぎみに作成されており,来年以降,より本格的に思考力を要する問題が出題され,さらに,難化することも考えられる。高1・2年生は早期に学習を始めて全体を2周,3周とこなして理解を深めていくこと,そしてお茶ゼミのテキストにある良質な入試問題を解いて思考力を地道に磨いていくことという正攻法の学習をして実力をつけよう。

第1問 物質の構成,状態 蒸気圧の思考力問題の攻略がカギ。
第2問 物質の状態,変化 氷の昇華に関する思考力問題の攻略がカギ。
第3問 物質の変化,無機化学 鉄の錯イオンの実験問題が高難度。実験を読み取る能力が必要。
第4問 有機,高分子化合物 センター試験に最も近い形式。正確な知識が要求された。
第5問 総合問題 最も共通テストらしい問題。グラフ描図が登場。
生物
考察問題だらけの共通テスト。でも恐れてはならない。

共通テストの初年度となった今年は,これまでのセンター試験とは大きく変わり,実験考察問題が大部分を占めるようになった一方,知識問題を問う問題は少なくなった。試行試験では,かなり難易度の高い考察問題が出題されたが,本番では難易度が抑えられ,解きやすい問題が多くみられた。問題数も減少したので,時間的な余裕もあった。これらのことから,しっかりと対策をたてていた受験生は高得点を取れただろう。問題演習をしっかりしていれば,恐るるに足らない問題であったといえる。

今年の事情をふまえてか教科書後半の分野は比較的抑えめであったが,全体からまんべんなく出題されたといえる。これまではA,Bと中問にわかれていたが,中問にわかれていたのは第5問と第6問のみと一部となった。また,選択問題はなくなり,全問必答となった。小問数は昨年度センター試験より少なめ試行試験と同程度であり,知識問題の割合が減少し,大部分が考察問題となった。しかし,難易度は試行試験に比べると低めであり,最低限の生物の知識があって問題文とグラフを読みとれれば解答できるものが中心であった。試行試験に比べ選択肢の数も4肢と少ないものが多く,これも正答率をあげる要因となっただろう。少なくなった知識問題だが,学校の定期試験のように,ただ用語を覚えているかについてだけを問うのではなく,ある現象が教科書のどの現象にあてはまるのかと問う問題が出題されてきている。よって,用語を一問一答などで覚えるだけの学習では太刀打ちできない。問題演習を通じて理解を深めていく必要があるといえよう。早期に入試を意識した理解中心の学習が必要である。

さて,今年の問題を見てみよう。
 第1問は「生命現象と物質・生物の進化」の分野から。
 ラクトースの消化に関するラクターゼの分子進化の問題。問1は知識問題のようにみえるが,文章中の「濃度にかかわらず取り込み」から推察して解く問題であった。問4はデータを解釈する問題であり,SNPのCとTのいずれかがL有かL無かを問題文から判断し,問題文のデータを解釈するやや難しい問題であったが,解けないレベルではない。こういう問題を確実に取れるかが高得点を取るポイントである。

第2問は「生態系と環境」の分野から。
 外来生物と種間競争の問題だが,比較的易しめな取り組みやすい問題であった。問2以降が実験考察問題であったが,問題文と実験データを読み取れれば,選択肢も4肢であったので,正答にたどりつきやすい問題であった。

第3問も同じく「生態系と環境」の分野から。
 落葉樹林の林床の生産構造図に関する問題であり,共通テストの特徴とされてしまった会話問題が登場した。問1は解答に時間を要したと思われるが,各肢の正誤を判定しやすかったので,1つ1つ検討できれば容易であった。問2と問3は問題文・実験データをもとにした計算問題であり,生物受験生が苦手とするところである。典型的ではないその場で判断する計算問題は差がつきやすいので,過去問や模試などで演習をすべきである。

第4問は「動物の環境応答」の分野から。
 動物の学習に関する問題であり,これも比較的取り組みやすい問題であった。問1は学習にあてはまる現象を選ぶ問題。すべて生物学的に正しい文章なので,どれが学習にあてはまるかを正確に判定できなければならない。最近多くなった知識問題の形式である。問3は実験の考察を穴埋め形式で解答する問題である。文章を読み,論理的に思考することが求められている。問題に解き慣れていないと難しいだろう。

第5問は「植物の発生と植物の環境応答」の分野から。
 Aは植物の発生分野からの出題。問2・問3は実験考察問題であった。問2はやや読み取りにくかったか。問3は典型的な考察問題であり,部分点ありの問題であった。
 Bは植物の環境応答の問題から。問5は本問実験が別のオーキシンの応答を明らかにした現象と類似していることを問う問題であり,目新しい問題である。問6,7は共通テストの特徴といえる対照実験などすべき実験について考察する問題である。試行試験ではかなり難易度が高かったが,本試験では易しい問題であった。これも問題演習を通じて慣れておくべき問題である。

第6問は「動物の発生と動物の環境応答」の分野から。
 第5問,第6問をみると今後は,発生と環境応答を別々に出題するのではなく,動物,植物でこれらの融合問題を出題する傾向になるのであろうか。
 Aは動物の発生分野から出題。問1は知識問題だが,現象のしくみについて選ぶ問題であり単純なものではなかった。問2は問題文の条件を読み取り,文章の穴埋めをする問題であり易しめの問題であった。
 Bは動物の環境応答分野から出題。問3,4はグラフを素直に読み取る問題であり,選択肢も選びやすかった。問5は問題文の「学習」を読み飛ばしたり,実験の意図を理解していなかったりしたら,文字どおり「反射」的に,「脊髄の反射」を選んでしまったかもしれない。学習であるので,脳まで伝わる必要がある。

全体を見てみると,試行試験で超難化すると思われていた生物であったが,試行試験の平均点が低かったことから,本試験では難易度を下げてきた。とはいえ,下げすぎている印象もあることから,来年以降は難化する可能性が高い。センター試験時代も考察問題は出題されており,グラフを読み取る作法等は同じである。現行課程の15年以降の過去問,今年の2回の本試験,追試験の問題に早期に取り組み,問題形式に慣れることが必須といえる。また模試も積極的に活用していくべきであろう。

第1問 生命現象と物質,生物の進化 乳糖の消化に関わるラクターゼ遺伝子の分子進化などに関するデータ考察問題
第2問 生態と環境 外来生物との種間競争に関する実験考察問題
第3問 生態と環境 生産構造図に関する実験考察問題
第4問 動物の環境応答 動物の学習に関する実験考察問題
第5問 植物の発生,植物の環境応答 A 植物の発生に関する実験考察問題
B 植物の環境応答に関する実験考察問題
第6問 動物の発生,動物の環境応答 A 動物の発生に関する実験考察問題
B 動物の学習に関する実験考察問題
地学
地学~初回は平和に終了~

共通テスト1回目でしたが,センター試験からほぼ変更がなく,地学基礎の方が攻めている印象を受けました…

以前は文系の方はよっぽどな事情がない限り基礎科目2つで受験することをオススメしていました。しかしながら,2017年・2018年・2019年の問題を見ると,もしかしたら地学を選択するのもありなのかもしれないと感じていました。
 2020年のセンター試験の問題はやや難化したが,共通テストの施行問題では細かい知識がそこまで出題されておらず, 今年はどうなるかと思っていましたが,蓋を開けてみれば,「普通」でした。

今年の問題についてコメントしていきたいと思います。頭から解いて思ったことを順に書いていきます。

【コメント】
 第1問
水をテーマにした分野横断問題か…
問1:海洋に関する基本問題で,地学基礎で出題されてもおかしくない。
問2:マントルの融解曲線の基本問題。
問3:アイソスタシーの基本問題。
問4;全球凍結,氷期・間氷期の基本問題。地学基礎レベル。
問5:お,ハビタブルゾーンの話だ。スペクトル型から考えるんだけど,やっと思考型の問題が出てきた。とはいえ基本問題。

第2問A
地磁気の問題か…
問1:単なる算数の計算。
問2:磁北極が移動する理由ですが,基本問題。

第2問B
問3:震央距離?って思ったけど,震源が真下にある場合考えれば解答は容易。見掛け倒し…
問4:お,隕石の話だ!アの金属鉄って用語ってなんだ?と思ったけど,まあ,酸化鉄ではないからこれが正解だな。
(後で調べてみたら,数研出版の教科書には記載があったけど,啓林館の教科書にはこの単語の記載は見つからなかった。)
問5:元素の存在割合は基本問題ですね。かんらん岩と考えてしまえば覚えやすい。

第3問A
変成岩と造山帯の問題か…
問1:ちゃんと問題文を読めば地学基礎レベルの基本問題。
問2:高温低圧型のものを選ぶだけなので解答は容易。誤りの選択肢が明らかなのだけど,正誤問題として聞かれても答えられるようにしたいな。

 第3問B
地質図の問題か…
とりあえず走向が南北で傾斜が東に45°か…。優しい数値設定じゃん。
しかも,図のスケールが親切な場所にある。これそのまま引けばよいのね。
問3:なんの捻りもなく③が正解。
問4:基準となる場所を決めてすべての層の高さを計算するだけですね。昔の地質図の問題の方が大変だったよ~
問5:これは地学基礎レベル
問6:超大陸ロディニアは細かいけど,明らかに③のパンゲアの分裂が正解。今後は要注意かなあ~

第4問A
問1:やませは冷たく湿った風だね,梅雨が空けるのは太平洋高気圧の強まりとジェット気流の北上によるものですね。そこまで難しくないかな。
問2:これも教科書にある図を覚えていれば解答は容易だけど,気象苦手な子多いよねえ。
問3:地上天気図と高層天気図か。エは夏なのはよいとして,XとYは苦手な子多いだろうなあ。500hPa等圧面という意味をしっかりと理解しておきましょう。背の高い高気圧ですからYが正解です。

 第4問B
お,エクマン吹送流だ。センター試験で出たことあったっけ?
問4:一応リード文を読んで考えても解けますね。
問5:図の読み取りですが,判定は容易。
問6:これは明らかに③が関係ないとわかりますね。
問7:エルニーニョ現象の基本問題。地学基礎レベル。

第5問A
問1:お,ダークマターじゃん。銀河系の回転曲線もセンター試験で出題されているから,bの選択肢も大丈夫な受験生が多いだろうなあ。
問2:セファイド型変光星から距離を出す基本問題。よくある計算です。
問3:1000億光年より遠方という文章に違和感持てますか?
問4:赤方偏移の計算ですが,公式覚えていれば終わり。

 第5問B
問5:星団の基本問題です。知識。
問6:恒星の進化の基本問題です。

センター試験より簡単だった…(個人の感想です。)

【高1・高2生へ-今後の勉強法と対策-】
まずは,センター試験の2015年・2016年・2020年の問題と2017年・2018年・2019年の問題を比較してほしい。明らかに難易度が違うことがわかるだろう。
今年は簡単な部類でしたが,今後は油断できません。
地学の知識量は膨大で,高得点を目指す場合はかなりの時間がかかります。現段階で今年の地学基礎で8割以上,地学で4割以上得点できていない場合は覚悟して勉強したほうがよいです。
とにかく,教科書(2種類)と資料集を片手にセンター試験の過去問を徹底的にやりこんでください。本試験と追試験を全部解けばほぼ全範囲が網羅できます。
余力があれば国立2次試験の過去問をひたすらやっていきましょう。
覚悟を決めて頑張ってください!

第1問 分野横断問題 水をテーマにした問題ですが,個々の問題は基本問題が大半でした。近年多いタイプの出題です。
第2問 地磁気・岩石・隕石 いずれも基本的な問題ですが,隕石は盲点だった可能性が高いです。
第3問 変成岩・造山帯・地質調査・地史 問4はやや考える問題です。もっと難しい地質図も過去に多数出題されています。
第4問 気象・海洋 高層天気図はしっかりと理解しましょう。
第5問 天文 天文については,理解することと覚えることを明確に区別しましょう。
物理基礎
まさに共通テストらしい問題。でも、特別な対策は不要!

これまでのセンター形式の問題もありながら,まさに「共通テスト」と言わんばかりの出題もあった。日常的な現象や実験をテーマにした問題は,存分に新テストとしての要素を踏まえながらも,物理基礎の基本的な理解を問うた基本問題であったと思われる。センター試験の物理基礎に比べると文章量・問題数ともに多くなり,時間が圧迫された人もいたであろうが,特別な対策が必要であるとは考えられない。

もとより共通テストでは「社会との関わり」や「探究活動」を意識した問題設定を心掛け,授業の場面を想起させるような会話文が盛り込まれるなどの事例が試行調査を通じて提示されていた。初めてとなる共通テストの物理基礎では存分にこれらの要素を踏まえ,適切な出題がされたと感じる。それと同時にこれまでのセンター試験と同様の問題形式の問題も出題されていたことは大きな収穫。
現場で実際に試験を受けた生徒の中には,文章量の多さ・情報量の多さから時間的に苦しんだ人もいたであろうことが予想されるが,まさに共通テストの本懐であったであろう。

特徴的な問題としては「第1問の問4」「第2問のA」「第2問B問5」「第3問」であった。その他,「第1問の問1・問2」も取り上げたい問題である。順にこれらの問題を取り上げていこう。

第1問
 問1 力の作用については試行調査でもテーマに挙がっていた問題であった。どのような原理でと問われることはなかったが,どの物体に注目して力を考えるかということは物理の根幹である。
 問2 絶縁体の棒の初期状態が記載されていないため難しさを感じた生徒は多いと思われる。少しずれた状態から図2に行く様を考えればよいのだが,やりにくい問題であった。
 問4 会話形式の問題。共通テストらしい問題であるが,問うていることは「熱とエネルギー」に関する基本知識。形式に惑わされてはならない。

第2問 A
 クラシックギターの音波の波形を題材としている。波形がいわゆる問題集で扱うようなキレイな正弦波でない点が共通テストらしい。問題自体はキレイな波形と変わりなく考えれば正しく解くことができるので、これも共通テストらしい問題でありながらも物理基礎の基本知識を問うている問題であった。特別な対策が必要な問題ではないということが重要。

第2問 B 問5
 ニクロム線のカッターの商品ラベルに記載された物理定数の中から必要な情報を読み取り問題を考える問題であった。すべての情報を使う必要はなく、今、求めたい値のために何が必要であるかを考えれば自ずと答えは求められる。

第3問
 物理実験の考察を行う問題であった。速度の測定を行う記録タイマーやスマートフォンを使って加速度を計測するなど嗜好を凝らせた問題であり,共通テストらしい。
 問1 記録タイマーの実験結果から平均の速度を求める問題であるが,実験データの読み取りをした上で,cmとmの単位の変換にも注意しなくてはならない。落ち着いていれば平易な問題。
 問3 台車にスマートフォンを乗せた場合の実験結果が問1・2の実験結果と違う原因を考察させる問題。選択肢の順番を間違いやすい選択肢が含まれているが,選択肢の順番から,特に問題なく正答を選んだ人が多かったであろう。
 問4 ジグザクな実験結果を平均化するといくつになるかということを問3の問題設定の中が与えられている。問題設定の中に散りばめられた情報を使えれば物理基礎の知識は極々基本的であった。図表などの考察過程をうまく基礎的な問題へと繋げている。
 問5 スマートフォン・台車・おもりからなる系に注目すると,力学的エネルギーは保存されているが,おもりのみに注目すると張力がした仕事のためにそのエネルギーは減少する。ここは物理の本質に触れる問題であった。しっかりとエネルギーに関する理解が出来ているか否かが問われていた。これは物理の学力が問われた良問であった。

総じて,共通テストらしい問題であるものの,物理基礎の基本的な学力が問われており,特別な対策が必要な問題ではなく,まずは物理基礎の基本的な運用力を身に着けておくことが重要である。合間合間にセンター試験と同一形式の問題も含まれており,センター試験の過去問演習はかなり効果的であることが分かった点は今後の学習に大きく活かせる収穫である。

第1問 小問集合 会話文形式の問題が出題された
第2問 A波動
B電磁気
図表から必要な情報を読み取る問題が出題された
第3問 力学 実験を題材とした問題が出題された
化学基礎
初めての共通テスト,センター試験との類似点もあり,初年度の移行措置か?

今年初めて行われた共通テストでは,第1問で従来のセンター試験に近い問題が多く見受けられた。第2問では,化学基礎では学習しない陽イオン交換樹脂が題材となった。一つの題材に対して複数の設問がある形式は,センター試験では見られなかったものであり,試行調査に近い形式である。与えられた情報を丁寧に読み取り,その後の計算問題に取り組む必要があった。全体として見ると,試行調査にあったような資料を活用する問題は出題されなかった。

昨年のセンター試験と比較すると設問数は減少したが,計算を要する問題の数は増加した。近年頻繁に出題されていた身の回りの物質に関する問題は出題されなかったが,昨年は姿を消した文字式を含む計算問題が再び登場した。

第1問は物質の構成・物質の変化の両方から出題された。昨年までのセンター試験では,第1問は物質の構成のみからの出題であった。問1は物質の分類に関する問題。問われている物質はいずれも基本的なものであるので,確実に得点したい。問2は物質量に関する計算問題。分子の物質量ではなく,分子中の酸素原子の物質量を求めることに注意が必要。問3は与えられたグラフを活用する問題。見慣れないグラフも含まれているが,落ち着いて考えればア,イ,ウのグラフがそれぞれ何を表しているかは容易に判別できる。bでは数値そのものをマークする形式の問題が出題された。この形式の問題はこれまでのセンター試験にはない。問4は結晶の電気伝導性に関する知識問題。基本事項であるので確実に得点したい。問5は金属と水の反応に関する問題。金属のイオン化傾向の大小と,その反応性を把握していれば容易に解答できる。問6は化学反応式中の下線を付した物質が酸化剤としてはたらいている反応式を選ぶ問題。反応前後における各原子の酸化数変化を丁寧に追いかけることでも解答できるが,ヘロゲンの単体が酸化剤として働くことから,即答することもできる。問7は溶液の濃度に関する文字を含む計算問題。質量パーセント濃度や密度を正しく扱うことができるかがポイントである。問8は燃料電池に関する計算問題。化学基礎では大きくは扱われない題材なので,戸惑った受験者もいるかもしれないが,与えられた反応式を用いれば解答できる。

第2問は陽イオン交換樹脂を題材とした応用問題が出題された。与えられた説明文から陽イオン交換樹脂のはたらきを正確に把握して実験内容を理解する必要があるため,後半はやや難易度が高い。問1のaは塩の分類に関する問題。基本知識であり,確実に得点したい。bは塩の水溶液を陽イオン交換樹脂に通したときに流出する水溶液のpHに関する問題。塩の水溶液中に含まれる陽イオンの物質量がすべて等しいことから,陽イオンの価数に着目できたかがポイントである。問2は陽イオン交換樹脂を用いて,CaCl2に吸収されたH2Oの量を測定する実験問題。化学基礎受講者には,なじみのない陽イオン交換樹脂を用いている上,実験の内容を丁寧に追いかける必要があるため,苦戦した受験者も多かったかもしれない。aは塩化カルシウム水溶液のpHと最も近いpHの値をもつ水溶液を選択する問題。各選択肢で生成する水溶液の液性を判別する必要があるが,細かい計算は必要ない。bは実験器具とその操作に関する問題。操作も含めての出題ではあるが,希釈に用いる器具がわかればそれだけで解答が決まる。cは実験に関する計算問題。水溶液を一部とって滴定を行っていることなどに注意しなければならず,難易度は高い。

平成30年度に行われた共通テスト試行調査と比べると,今回の共通テストでは従来のセンター試験と試行調査の中間くらいの問題が出題された。試行調査を念頭に置いて対策をしてきた受験生からすると第1問はやや拍子抜けする内容だったかもしれない。初見の題材であっても,問われる知識や行う計算は基本的なものがほとんどであり,落ち着いて対処できれば問題なく解答できるものが多かった。共通テストの初年度で,移行措置と思われる部分もあり,次年度も,今回の内容と似た形となるかはわからず,警戒しておく必要はありそうだ。

第1問 物質の構成
物質の変化
物質の分類,物質量,原子の構造,結晶の性質,金属のイオン化傾向,酸化還元,溶液の濃度,燃料電池
第2問 物質の変化 イオン交換樹脂,塩の分類,酸と塩基・中和,実験操作
生物基礎
知識だけで解ける問題が減り,知識を基にその場で考える問題が中心となった。

大問3つ,各大問は2つ以上の枝問を含み,生物基礎の教科書全範囲から満遍なく出題するという形式はセンター試験から変わっていない。共通テスト試行調査で特徴的であった会話文形式の出題は今回見送られたようだが,宿題プリントの間違い探しや,光合成の模式図を完成させる図の組み合わせ問題,問題文中の紹介とグラフデータから合理的な推測を求める問題など,今までには無かった出題形式が取り入れられている。また,コロナ禍の報道で見かける機会が激増した時事的なテーマであるウィルス感染を題材とした問題が2題も出題されていたのが印象的であった。
 マーク欄は昨年のセンター試験より7個減っているが,その分文章量が多く,考える要素も増えたため,全ての問題を解くのに要する時間は昨年と同程度であろう。全体の難易度としては昨年のセンター試験と同程度であるが,単純な知識を問う問題が減り,知識問題でも知識を基に考察する出題が中心になったことから,平均点はやや低下するのではないだろうか。

センター試験の頃から知識問題でも単純な知識を問う問題は少なめで,知識を基に考えさせることを重視した出題がなされていたが,共通テストでは『知識をいかに使いこなすか』を重視していることもあり,単純な知識問題が激減した。そのため暗記中心で得点を稼ぐことは難しく,内容の理解こそが重要となる。

第1問→教科書の章立てでは「生物と遺伝子」の内容
 Aは細胞の構造や光合成を扱った問題で,問1はセンター試験の頃から頻出であった酵母菌=真核生物を問う単純知識問題。問2はプリンの中の間違い探しという目新しい出題形式ではあるものの,聞いている内容は教科書レベルの知識である。問3は同様の模式図が教科書に掲載されているものの,きちんと内容を理解していないと即答しづらく感じたかもしれない。
 Bは遺伝情報の発現を扱った問題で,問4は知識ベースの問題であり,転写の過程が理解できていれば正解を選べる。問5は生物基礎ではなく生物(4単位)では定番の計算であるが,きちんと問題内で必要な情報が提供されており,その場で組み合わせの計算を行うことになる。問6は実験の構成を考えさせる問題で,共通テストでは特徴的な出題形式であるが,教科書に掲載されているエイブリーらの実験の手順と目的が理解できている人には,その類似性から比較的容易に正解を選べたのではないだろうか。

第2問→「生物の体内環境の維持」の内容
 Aは体液塩類濃度調節を扱った問題で,昨年度のセンター試験でも同じテーマの出題がなされている。問1はバソプレシンに関する知識を問う問題。問2はグラフの選択問題だが,判断材料は問題文の第二段落に詳細な紹介がなされているため,文章の読解力と読み取った内容をグラフの形に変換できるかという考察力が問われている。
 Bは免疫を扱った問題で,問3~4は知識ベースの問題だが,やや詳細な知識を要する。問5は教科書にもある二次応答のグラフを扱った問題であるが,同グラフは2017年センター試験,2018年共通テスト試行調査でも出題されている頻出テーマであるため類似の問題を見たことのある人も多かったのではないだろうか。

第3問→「生物の多様性と生態系」の内容
 Aはバイオームを扱った問題である。気候とバイオームの関係の図は2017年センター試験,2018年共通テスト試行調査でも出題されている。問1では単純に図を覚えているだけではなく,点線Pを上回る十分な降水量があれば植物体が大きく水分をより多く必要とする木本が優占する相観になることが理解できている人ならば判断がより容易であっただろう。問3では硬葉樹林が分布する地中海性気候の特徴まで理解していた人は知識ベースでも判断できたはずであるが,本来の題意は降水量と気温のデータから傾向を読むデータ読解の問題である。
 Bは生態系のバランスと保全の内容と免疫の内容を組み合わせた総合問題で,今までには無かった出題形式である。問4はワクチンの知識だけでも消去法から正解が選べるが,問題文中の内容がきちんと読み取れていればより迅速かつ確定的に正解が選べる。問5は問題文の内容とグラフデータから合理的な推測を求めるという,センター試験では見られなかった出題形態である。文章やデータの読解力,それを基にした思考力を重視するという共通テストの出題意図が色濃く現れている問題であった。

第1回共通テストや2回行われた試行調査の出題をみても,教科書の全範囲から偏りなく出題するという方針はセンター試験の頃から変わりがない。よって,受験生が最初に気を配るべきは「不得意分野を作らない」ことだ。もう一つ大事な点は,暗記すればよいという学習方針は捨てることである。知識問題でも,知識とその内容理解を前提として文章の正誤を判定したり,知識をもとにデータ読解を行う必要がある問題など,用語や名称を覚えているだけでは対処できない体系的な知識と理解を要求する問題が中心になっているからである。
 問題構成としては知識を元に考えさせる問題が多くを占めるので,まずは基本の知識と理解の欠落を無くしてゆくことが学習の第一歩となる。更に知識問題でも,他の章の内容との関連を問う総合問題が取り入れられているので,単純に用語や名称を覚えてよしとするのではなく,授業でも相互の関連などの解説に注意を向けるようにしたい。また,文章の正誤判定問題が多いこと,文章とデータを相互参照させる問題も多くなることから,「文章やデータを正確に読み解く力」を養うことも大事である。しかしながら,そのどれもが短期間に即成できるスキルではないため,可能な限り早い段階から対策を始めるようにしたい。
 また,得点差が生まれやすい問題が実験・観察データからの考察問題,目的に対して必要な実験設定を考えさせる問題や計算問題などである。考察問題では問題文やデータの読解が必須となり,ここを苦手とする受験生も多いが,弱点の本質が問題内の条件やヒントの読み解き部分であるケースが意外に多く,独学ではなかなか気づかないままとなっていることも多い。実験の設定を考えさせる問題は共通テストで特徴的に取り入れられた問題形式であるが,教科書などで類似する手順を見ているものが多く,その手順の目的と意義まで考えが及んでいればよいのだが,単純に手順と結果を覚えているだけでは対処できない。計算問題については比較的定型の形式の問題であることが多いため,きちんと問題演習をこなしていれば心配することはない。
 以上のことをふまえ,授業や講習では相互の関連を含めた体系的な解説,文章やデータの読解手順と考察の進め方,定型問題の解法と手順などを紹介してゆく。予備校ならではのノウハウと効率化のテクニックを活用して要領よく得点力を上げていきましょう。

第1問 生物と遺伝子 細胞の構造,光合成,遺伝子発現を題材とした知識と考察問題
第2問 生物の体内環境の維持 体液塩類濃度調節,自然免疫と獲得免疫を題材とした知識と考察問題
第3問 生物の多様性と生態系 バイオーム,生態系のバランスと保全,免疫を題材とした知識と考察問題
地学基礎
地学基礎~考える力を身に着けよう~

共通テスト1回目でしたが,昨年までのセンター試験と同様にしっかりと勉強していれば高得点が期待できるでしょう。ただ,何問か知識を利用して考える問題があり,判断に困る問題もあったと思われます。そのため,全体としてはやや難という印象です。
さて,マイナー科目「センター地学基礎」です。はっきり言ってしまえば。
① 覚える+理解する ② 演習する
ただ,これだけなのです。①は言うまでもありませんね。例えば化石の名称とその時代は覚えるだけです,しかしただ暗記しているだけでは解けない問題も出題されています…

【今年の共通テスト地学基礎】
まず,地学基礎の範囲は大きく分類すると,「固体地球」「岩石・鉱物」「地史・地質」「大気・海洋」「天文」「災害・環境問題」の6分野となります。
今年度は昨年のセンター試験と異なり,大問は3題となりました。また,第1問がA・B・C,第2問がA,B,第3問がA,Bに細分化されていました。今年度も昨年度と同様に「災害・環境問題」からの出題があり,広い分類でいえば,全分野から満遍なく出題されています。
昨年と同様に設問数が15,実質解答時間が30分である。今年度の問題は,第1問で時間を使いすぎてしまうと,少々厳しかったかもしれないです。
さて,私が問題を解いた感想ですが…
「相変わらず図表多い」「見慣れない設定あるぞ」「リード文読まないと解けないぞ」「地史とか化石の話出てないじゃん」「海洋もないぞ」「計算問題は?」

【図表・計算問題について】
①  写真・図・表・データの読み取りが8題
(第1問:問3・問4・問5・問6,第2問:問1・問2,第3問:問2・問4)
② 計算問題がない。
(強いて言えば第3問:問4は計算問題か)

となっています。相変わらず写真・図・表・データに関する問題が多く出題されています。

以下に今年度出題された特徴的な問題について述べていきます。

【特徴的な問題】
第1問B 問4(新傾向)
ユールストリームダイアグラムの応用です。
まず,後背湿地側が流速が小さく,侵食している側は流速が大きいことに気が付かないといけません。後背湿地ってなんだ?って受験生が多かったかもしれませんが,湿地なんだなぐらいの感覚で大丈夫です。
時間の経過に伴って,Xの地点では侵食の影響が小さくなっているので,流速が小さくなっていると考えるしかありません。図1を見ながら考えると,堆積する粒径が小さくなっていくと考えられます。ここで,選択肢の図を見ると③以外は粒径の大小関係が一致しないので,誤りとわかります。

第1問C 問5(新傾向)
a,b,cの各方法によって,何が判断できるかを意識していかないと解けません。
a:希塩酸をかけて発泡するかどうか?⇒石灰岩が判定できる。
(中学理科の知識です。)
b:長石を含むかどうか?⇒斑れい岩と花こう岩には長石を含む。
cの密度の計算⇒斑れい岩と花こう岩の判定になります。
(密度の大小は基本問題でしょう。)
まずbで斑れい岩と花こう岩のグループとチャートと石灰岩のグループに分類できます。後はaとcによって各々のグループ内の分類が可能です。
個人的には最低限の知識で解ける良い問題だと思いましたが,受験生は手こずったと思われます。
第1問C 問7(新傾向)
「予想を確かなものにする」タイプの問題です。
まず,表にまとまっているものはすべて予想を満たしているはずというふうに考えましょう。
「SiO2」の含有量が多い溶岩ほど粘性が高い
という結果を確かなものにするためには
[1] 表よりもSiO2の含有量が少ない [2] 表よりもSiO2の含有量が多い
ものを確認する必要があるという観点が必要です。よって,安山岩質の溶岩が解答になることはわかるかと思います。温度によってSiO2含有量が変化するのかというのは不明であり,対照実験の概念から同じ温度の溶岩があればそれを選択するべきと考えられます。よって,②が正解と判断できます。

第2問A 問2
これは解きにくかったと思います。大阪港と名古屋港の判断が難しいのではないでしょうか?等圧線の間隔と風の吹き込む向きを考えると解答可能です。メカニズムをしっかりと理解しておきましょう。

第2問B 問3
①が正しいのですが,④の正誤判定はやや盲点だったかもしれません。
(ちなみに夏期講習やお茶ゼミ模試で確認した内容でした。メタンが温室効果ガスであることは有名事実ですね。)

第3問 問2
近年トレンドとなっている問題です。流れをしっかりと抑えておきましょう。
以下に過去のWEB速報の引用を記します。
2020年のWEB速報(https://www.ochazemi.co.jp/column/center/2020/center_ti-kiso.html)

第3問 問1
最初の恒星の誕生は盲点だったかもしれませんが…
2019年のWEB速報を見ると…
2019年のWEB速報(https://www.ochazemi.co.jp/column/center/2019/center_ti-kiso.html)

問3:やや細かい内容ですが…
H30年11月実施(大学入学共通テスト(試行調査))の地学基礎で…

第3問B問5
宇宙誕生後に起こった次の出来事ウ~オを,古いものから新しいものの順に並べたものとして最も適当なものを下の①~⑥の中から選べ。
 ウ 最初の恒星の誕生  エ 最初の水素原子核の誕生  オ 宇宙の晴れ上がり
(選択肢省略)
というものが出題されていました。これを解いて,しっかりと復習していたらラッキーだったかもしれません。

問4(新傾向)
見慣れない設定ですが,面積を考えればよいことを理解しましょう。後は図をみて解答すれば問題ありません。
【高1・高2生へ-今後の勉強法と対策-】
① 学校で地学基礎が開講されている場合は,その授業を大切にしましょう。定期試験を区切りにしてしっかりと覚えることは覚えましょう。今の段階では忘れてもよいです。高3でもう一度勉強するときに,「聞いたことがある」のと「初耳」では理解・暗記のしやすさが違います。
② 教科書や資料集の図・写真を定期的に眺めましょう。重要なものは,ポイントを踏まえて描けるようになるのが理想です。きっと本番で約に立ちます。
③ 暗記から逃げない。とにかく基本的な知識は覚えてしまうしかない。どんなに遅くても高3の夏期講習の時期からは始めておかないと間に合わないのが現状です。化石の名前と年代なんていうものは,考えても仕方がないですし。
④ お茶ゼミ地学科では,「夏期講習」「冬期講習」「全4回のお茶ゼミ模試」で地学基礎の対策を行っています。独学では学習が難しい分野横断問題や計算・図表問題などの対策のためにも是非受講を!

第1問A 固体地球(地震・地球) 基本問題です。これを取りこぼすと厳しい。
第1問B 地質(堆積作用) 図はよく見るものですが,問4が解きにくかったと思います。
第1問C 岩石 問5と問7を考えられる力を身に着けたい。知識自体は基本的です。
第2問A 気象 問2を考えられる力を身に着けたい。
第2問B 環境問題(温暖化) 丸暗記ではなく,現象のメカニズムを理解しておく必要があります。
第3問A 天文(宇宙の進化) 問2の宇宙の進化については近年頻出です。
第3問B 天文(天体) 問4は見慣れない問題ですが,問題文を読めば解答可能です。
日本史B
ついにその姿を現した共通テスト日本史!

約30年間にわたり実施されてきたセンター試験が幕を下ろし,今年から「大学入学共通テスト」が始まった。従来のセンター試験に比べて「思考力」などを重視する問題が今まで以上に増加されることが予想されてはいたが,今回の問題を全体的に見るかぎりその傾向は顕著にあらわれていた。しかしながら,高校などで学ぶ歴史用語や重要西暦の暗記は不要であるという考えを持つことは早計である。その点はご注意を!

それでは共通テストの日本史ではどのようなことが問われたのかを具体的に説明していきたい。

全体的にはセンター試験時代に比べ,図版・統計・地図・史料などが多く使用されていた。そしてこれらの資料のほとんどが多くの受験生にとっては初見であったと思われる。しかし,資料から問題を解く際のヒントとなる手がかりを見つければ解くことができ,またそれだけでは解けない場合は,普段の授業や教科書などで習得した知識を駆使すれば解ける問題で構成されていた。一方で,知識のみで正解を導く問題もあり,思考力と知識を総合的に幅広く問うてることがうかがえた。

では,次に特徴的な問題をいくつか紹介していこう。

第1問
問1 古代の貨幣に関する問題。従来のセンター試験では見られなかったタイプの問題で,問題文の中にあるメモに基づく文X(古代国家は,自ら鋳造した銭貨しか流通を認めなかった。)・Y(古代国家が発行した銭貨は,様々な財政支出に用いられた。)からその根拠となる8世紀前半の法令の文章を選ぶ問題である。選択肢の文章を見ただけで正解を出すことは困難で,問題で要求されていることを的確に判断しなければならず,高度な歴史的思考力と判断力を必要とする問題であった。

第2問
問1 1世紀,3世紀,5世紀における中国王朝の領域を地図から当時の王朝をそれぞれ考える正しい配列の選択肢を選ぶ問題。このタイプの問題も従来のセンター試験では見られなかった問題である。単純にそれぞれの中国王朝の語句だけを知っていても解くことはできず,それぞれの王朝の勢力範囲を視覚的に表現した際に,それを判断することができる力が試された問題であった。

第3問
問3 室町時代の一揆である山城の国一揆・加賀の一向一揆・正長の徳政一揆を年代順に正しく配列されている選択肢を選ぶ問題。入試問題としてはよく出題されるタイプの問題。ここで要求されるのは西暦の知識である。受験生である以上は入試頻出の西暦は押さえておきたいし,貪欲に覚えてもらいたい。もちろん,大まかな時期判断も重要で,それで対応できる問題もあるが,日本史で高得点を目指すなら,対応できない問題もあることを忘れないでほしい。なお、今回のテスト第5問の問3では教育勅語が出された西暦や義務教育の期間が明治時代に4年から6年に延長されたときの西暦の知識が要求されている。また同じく第5問の問4も大正時代以降の西暦や明治時代の治安警察法の西暦を知っていれば,容易に解くことができる。意外と西暦は問題を解く際のキーとなるのだ。なお,入試頻出の西暦を効率よく覚えたい方は予備校の授業を受講することをオススメする。独学ではどの西暦が入試頻出かを判断するのはなかなか困難だと思うので。

第4問
問1 江戸城に登城した大名が本丸御殿で待機する部屋,いわゆる殿席について江戸城本丸御殿の模式図と殿席の説明を手がかかりに知識も使いながら,正誤を判定していく問題。知識と思考力の両方が試された問題であった。

いかかだったろう。
少しは共通テストで要求される力がわかってくれたであろうか。
それでは最後に今後の学習方法について述べておきたい。

① 基礎的な知識をしっかりと押さえておこう!

いくら思考力が従来よりも要求されるからといって,平常授業や教科書で習得した知識はしっかりとマスターしておくこと。その際は歴用語だけでなく,時期や背景などもしっかりと押さえておくことも意識してもらいたい。

② 普段の学習の中で史・資料集を積極的に活用しよう!

今後も史料や図版を用いた問題が多く出題されることが予想される。そのため,学習した内容に関する文献史料や図版をこれらの本で積極的に確認する習慣を身につけておくと共通テストで問われる力を身近に感じることができるであろう。

③ センター試験の過去問を積極的に利用しよう!

今回の問題を見ると,センター試験を引き継いでいる問題も多々見受けられるので,一通り学習が進んだらセンター試験の過去問を解く訓練を日常生活の中に取り入れてみるとよいであろう。
※第2日程を受験する場合は、今回の問題を必ず解き、出題されていない政治・外交分野を中心に学習しておくとよいだろう。

第1問 貨幣の歴史 問題文のメモの条件に基づく選択肢を選ぶ問題が初登場
第2問 文字使用の歴史 地図の配列問題が初登場
第3問 中世の都市と地方 荘園絵図を使用した思考力を問う問題が出題された
第4問 近世の儀式や儀礼 初見史料の読み取り問題が2題出題されてた
第5問 景山英子の生涯 近現代史に関する知識を問う問題が多かった
第6問 農地改革 農地改革に関するスライドを素材にした読み取り問題が多かった
世界史B
めんどくさがるの禁止!

記念すべき共通テスト第1回。
この記事を読んでいる高2生・高1生にとっては、「今後どのような学習が必要なのか」が気になるところだと思います。さて、今回の問題から「何が求められているか」を明らかにしていきましょう。

紆余曲折を経て始まった共通テスト。
気になる分量は大問5・小問数34の構成であり、従来のセンター試験(大問4・小問数36)と比べて問題数自体は若干減ったものの、1問あたりにかかる時間が激増したため実際には60分の試験時間をフルに使いきるテストとなった。なぜ1問あたりにかかる時間が増えたのか。消去法で解答できない複数の出来事の正誤組合せ問題が増加したのも大きいが、最大の要因は資料(史料)文の存在である。
この話をすすめるにあたって「そもそも歴史学とはどういう学問なのか」を知る必要があるので軽く触れておこう。

歴史学という学問は歴史書や碑文などの「文字資料(史料)」を用いて過去の出来事を明らかにしていく学問である(なお、人類が文字を発明する以前の時代は歴史学の研究対象外であり、この時代を「先史時代」と呼んでいる)。従って、歴史は文字と切り離すことができないものといえる。

翻って今回の共通テストである。第2問を除く全ての大問に資料文があり、その都度文章とにらめっこしてその大まかな内容を把握する必要がある。従来のセンター試験では四択正誤判定が中心であり、各選択肢の内容が「史実であるか否か」を吟味すれば正解となる問題で構成されていたのに対し、共通テストでは人名や事件名といった知識に加え、文章の内容に合致するか否かを判断できないと得点に結びつかない問題が多発した。つまり、試験でさりげなく歴史学の研究手法を体験していることとなる。

さて、この特徴を踏まえたうえで高2生・高1生が今後の世界史学習で意識するべきことを確認しよう。まずは「人名や事件名を覚えることは、目的ではなく手段である」と心得ることである。確かに知識量は世界史を得意とする要素の一つではあるが、知識量の多さのみが高得点を約束してくれないのが共通テストである。普段の学習から各出来事の因果関係・歴史的意義などに興味をもって取り組むことを心がけよう。また、文章に向き合ってその内容を理解することは国語・英語を含めた文系教科はおろか、大学生になっても常に求められる力である。文章を読みこなすには語彙力・読解力だけではなく集中力・体力も必要なため非常に面倒くさいのだが、共通テストを見る限り「今後は文章から逃げてしまうと大学生から遠ざかってしまう」ことは明らかである。今回は目立たなかったものの、今後は文章に限らずグラフ・地図・図版など文字以外の資料を用いて歴史的事象を考察する問題が出題されることも十分に考えられる。自分に「面倒くさがるの禁止令」を発して、答えを出すために様々なプロセスを踏まえる必要がある問題に対して少しずつ慣れていこう。

第1問 資料と世界史上の出来事との関係 基本的な知識とともに資料の読解が出題された。
第2問 世界史上の貨幣 グラフの読み解きに加えて、その時代背景の理解が問われた。
第3問 文学者やジャーナリストの作品 やはり出題された疫病問題、時事にも関心をもとう。
第4問 国家やその官僚が残した文書 条約文などの資料に加え、条約内容を地図で問われた。
第5問 旅と歴史 「旅と歴史」というテーマだが、その実は…。
地理B
◆「暗記では限界」
◆センター試験以上に「思考力」・「読解力」が要求され、解答に至るまでに時間がかかる

【出題構成】

2021年
大問数…[5題]
マーク数(解答数)…[32]
2020年
大問数…[6題]
マーク数(解答数)…[35]
2019年
大問数…[6題]
マーク数(解答数)…[35]

【難易度】
はじめての共通テストが終わりました。2020年のセンター試験と比べて全体のフレームの変化は以下のようになりました。
大問数「6」→「5」
マーク数「35」→「32」

共通テストは、センター試験に比べて思考力、読解力を要求する問題が増えました。そのため、一問一問解答に至るまでに時間がかかります。ですので、大問数、マーク数は減りましたが時間の余裕がありません。新しい形式のテストに加え、時間的余裕がなかったことから、昨年度より難しく感じたことと思います。

【新高3生・高2生にむけて】
共通テストの問題像は、過去2回の試行テストから予想するしかありませんでした。そして、今年2021年にはじめて「過去問」ができたわけです。

その問題の特徴は、地図(地形図)・図表・統計・衛星画像(写真)などを使った問題がほとんどということですが、この点はセンター試験と大きな変化はありません。しかし、センター試験がひと手間かけた思考問題とするならば、共通テストはふた手間かけた思考問題と言えるでしょう。全32問中20問が組合せ問題だったことからもそのことは分かります。加えて、文章量の多さと正確な読解力が要求されています。

今までにも増して、原理・原則をきちんと「理解」する学習スタイルが求められます。「暗記」だけの学習では限界があります。

【第1問】 世界の自然環境
仮想大陸上での隔海度の影響、雨温図から気候の特徴とその原因となる大気大循環、気候変動などに関連した世界各地の自然災害の原因、世界の代表的な山を教材に自然環境やその変化をテーマとした出題。※昨年までと同様、地形・気候・植生・自然災害から満遍なく出題。

【第2問】 産業
小麦の主要輸出国、漁獲量と養殖業生産量、工業立地論(理論)、工業立地論(具体例)、日系海外現地法人の製造業の売上高の国・地域別構成比の推移、日本のいくつかの商業形態の店舗数について立地する地区の特徴別割合をテーマとした出題。

【第3問】 都市と人口
人口100万人以上の都市の分布、オーストラリア・韓国・ケニアにおける、国全体の人口および人口第1位の都市の人口に占める0~14歳、15~64歳、65歳以上の人口の割合、世界のインド系住民に関連することがら、大都市圏内部における人口分布の時系列変化、日本のいくつかの市町村における居住者のいない住宅の割合とその内訳、タイペイ(台北)における交通網再編成の政策上課題をテーマとした出題。

【第4問】 アメリカ合衆国
人口分布の重心と重心の移動が生じた要因、テキサス州・ネブラスカ州・マサチューセッツ州の取水量の水源別の割合と使用目的別の割合、ミシガン州およびワシントン州のハイサーグラフと小麦・テンサイの年間生産量、ミシガン州とワシントン州の州全体、およびデトロイト市とシアトル市における人種・民族別人口割合、アメリカ合衆国各州における都市人口率と社会経済にかかわる指標、2012年と2016年のアメリカ合衆国の大統領選挙における、各州の選挙人の数と選挙人を獲得した候補者の政党の変化から読み取れることがらとその背景をテーマとした出題。

【第5問】 京都府宮津市の地域調査
京都府の各市町村について、1990~2015年の人口増減率と2015年の京都市への通勤率から読み取れることがら、宮津市中心部の現在の地形図と江戸時代の絵図の比較、天橋立の撮影方向、丹後ちりめんについての調査、宮津市北部の山間部にある集落の聞き取り調査、外国人観光客の動向をテーマとした出題。

第1問 世界の自然環境 問1.仮想大陸上から気候因子を考える。
第2問 産業 問3.原理・原則の出題。
第3問 都市と人口 問1.海岸線や河川の位置を考える。
第4問 アメリカ合衆国 デトロイト市は黒人の比率が高い。
第5問 京都府宮津市の地域調査 センター試験と変らず易しい問題。
政治経済
もはやニッチな科目ではない「政治・経済」

共通テストとなり問題の出題形式が大きく変更されて、知識的な内容が多少希薄になると予測されたが、重箱の隅をつつくような細かな知識も要求され、出題形式に加え内容的にもセンター試験よりも難化しているといえる。昨年までのセンター試験では教科書レベルの基本的知識があれば8割以上の得点が可能であったが、今年の共通テストでは資料集等にも適宜あたった細かな学習をしていないと8割以上の得点は困難であったと思われる。したがって、共通テストの政治・経済は片手間の学習では対応できない。

第1問は、経済・国際経済分野の現代の諸問題をテーマとした問題。問2ではGDPや経済成長率が与えられた表を理解するのに時間がかかったと思われる。

第2問は、政治分野の問題で法や人権、制度に関する問題。問3では最高裁の判例や学説を示した3つの資料が与えられ、義務教育の無償化について考えさせた。複数の資料を読み取らせる問題は共通テストの真骨頂といえる。問4の裁判員の守秘義務期間に関しての問題はかなり詳細な知識が要求されたといえる。

第3問は、財政・金融や国際経済に関する問題。問3では国家財政の歳入と歳出の項目別金額を読み取らせ計算させる問題で丁寧な資料の読み取りが要求された。問4の金融に関する資料の読解と理解はかなり難しいといえる。共通テストではこのレベルまで要求されるのだということを知っておきたい。

第4問は、日本の発展途上国への国際協力に関する問題。問6では、発表スライドを完成させる形式の問題で新たな出題形式ではあるもののマイクロファイナンスに関する基本的な知識を問う問題であった。

このように政治・経済の問題全体をみると内容的に難化したと思われる。これに加えて新たな出題形式となった今年の政治・経済の平均点はかなり下がるのではないかと予測される。しかし、時事的な内容を常に含み、統計的なデータも年々更新されていく政治・経済の問題では、今年の問題程度の難易度はあたりまえで、来年以降もこの程度の難易度であると覚悟しておいた方がよい。

そこで、共通テスト「政治・経済」の受験対策であるが、教科書の基本的知識はもちろんのこと、資料集レベルの詳細な学習も行う必要があり、これから毎日90分程度の学習は最低必要ではないかと思われる。これまではとかくニッチな科目(隙間科目)として位置付けられてきたが、もはやその意識では十分対応できない状況になってきたということを肝に銘じておきたい。

第1問 経済・国際経済分野 「望ましい社会の姿」に関する発表
第2問 政治分野 法と統治機構
第3問 政治・国際政治分野 日本における労働と財政・金融の現状
第4問 国際政治・国際経済分野 日本の発展途上国に向けての国際協力
倫理
倫理観が求められるなかでの共通テスト開始

人類が直面している苦難を乗り越えるために必要なのものに倫理的な素養がある。新型コロナに罹患した人々にどう向き合っていくのか、私たちの倫理観が大きく関わってくる問題である。実は、現代の社会というのは医療に関わらず、経済や情報などあらゆる分野において倫理観が問われる時代になっているといえる。「倫理」という科目の大きな目標がこの倫理観を身につけることであり、共通テストでは、この科目を通して基本的倫理観が習得できているかを問う内容になっている。

第1問は、源流思想に関する出題で原典資料を読んだ生徒の会話文を読み取るなど、資料を正確に読み取る力が要求された。テーマは『恥』に関する内容で日本における倫理観にも大きく影響を与えているものである。

第2問は、日本の思想分野から日本人の世界観や人生観を問う問題になっている。問2の阿弥陀仏の来迎図を示した浄土信仰についての生徒と先生のやり取りといった形式は特徴的である。

第3問は、西洋近代思想に関する「良心」をテーマとした問題である。問6のフッサールの現象学とヘーゲルの精神現象学に関する問題は少々難しかったとおもわれるが、現象学に関しては現代人が倫理観を形成するうえで重要な認識論を提示しているので共通テストでは頻繁に扱われる分野であると思われる。

第4問は、青年期と現代の諸問題に関する問題で、歴史の多様性についての会話文で構成されている。問1ではリオタールとハンス・ヨナスが登場するが、いずれも現代人が倫理観を形成するうえで重要な考え方を示唆している。

昨年までのセンター試験では,記憶力の優れている人が点数を取りやすかった傾向にあったが,共通テストでは,習得した知性を用いて与えられた図表や画像を分析する能力がないと得点できない問題になっている。つまり,学習によって獲得された知識が問題解決のために活用することのできるところまで昇華されているかどうかが問われる問題になっている。

共通テストの問題を解くにあたり,単純な形式で暗記された情報(Information)を活用できる知性(Intelligence)に発展させておく必要性がある。そのためには,学習の際にそれぞれの学習分野の全体像がどのようななっているのかに注目しておきたい。さらに,センター試験よりも格段に多い情報量が与えられたうえでの分析が要求されるので,早くて正確な情報処理能力が求められる。

第1問 源流思想 源流思想のなかに見られる『恥』という観念
第2問 日本の思想 日本における時間の捉え方と人生観・世界観
第3問 西洋近代思想 西洋近代思想における「良心」とは何か
第4問 青年期・現代の諸問題 歴史の多様性とその捉え方
倫理、政治経済
倫・政はいわば受験科目におけるトライアスロン

「倫理、政治・経済」という科目の特徴はとにかく扱う情報量が多いということに尽きる。公民の現代社会、政治・経済、倫理といった科目は従来、考えさせる時間が長い分、地歴科目に比べて扱う情報量が少ないと言われてきたが。「倫理、政治・経済」関しては情報量が地歴科目並みに多く、さらに共通テストで顕著なように論理的な思考力が強く要求される。つまり、「倫理、政治・経済」を必須選択科目とする国公立大学の学部では論理的な思考力と情報をスピーディーに処理するタフな能力を受験生に求めているのである。

問題は、「倫理」から大問4題、「政治・経済」から大問3題を抜粋・引用しており、「倫理、政治・経済」独自の問題はない。

第1問は、源流思想に関する出題で原典資料を読んだ生徒の会話文を読み取るなど、資料を正確に読み取る力が要求されている。テーマは『恥』に関する内容で日本における倫理観にも大きく影響を与えているものである。

第2問は、日本の思想分野から日本人の世界観や人生観を問う問題になっている。問2の阿弥陀仏の来迎図を示した浄土信仰についての高校生と先生のやり取りといった出題形式は特徴的である。

第3問は、西洋近代思想に関する「良心」をテーマとした問題である。問4の「良心の声はどこから聞こえるか」についての高校生と先生との会話文の空欄補充には論理的な思考が要求される。

第4問は、青年期と現代の諸問題に関する問題で、歴史の多様性についての会話文で構成されている。問3(2)のベンヤミンの主張をレポートにまとめた問題も論理的な思考力が要求される。

第5問は、政治分野の問題で法や人権、制度に関する問題。問3では最高裁の判例や学説を示した3つの資料が与えられ、義務教育の無償化について考える問題。複数の資料を読み取らせる問題は共通テストの真骨頂といえる。

第6問は、財政・金融や国際経済に関する問題。問3では国家財政の歳入と歳出の項目別金額を読み取らせ計算させる問題で丁寧な資料の読み取りが要求された。問4の金融に関する資料の読解と理解はかなり難しいといえる。

第7問は、日本の国際貢献に関する問題。問4の問題全体の内容を正確に把握しないとできないような問題はいかにスピーディーに解くかが勝負となる。

第1問 源流思想 源流思想のなかに見られる『恥』という観念
第2問 日本の思想 日本における時間の捉え方と人生観・世界観
第3問 西洋近代思想 西洋近代思想における「良心」とは何か
第4問 現代の諸問題 歴史の多様性とその捉え方
第5問 政治分野 法と統治機構
第6問 政治・国際政治分野 日本における労働と財政・金融の現状
第7問 国際政治・経済分野 日本の発展途上国に向けての国際協力
現代社会
ディズニーランドで楽しむように解けるかが鍵

初めての共通テストを目の当たりにしてどのような感想をお持ちだろうか。昨年までのセンター試験よりも「わー楽しそう」と思えたに違いない。ディズニーランドならば「おとぎの国の世界」を小さな子どもの頃の感覚で体感することによって楽しめるわけだが、共通テストの場合は、現代の社会を理性を用いて分析してみるという知的な作業によって楽しむことができるのだ。したがって、共通テストを楽しむために最も必要なことは理性を鍛えておくということになる。

今年の現代社会の問題は5つのテーマパークで構成されていた。

第1問は、現代社会の授業の場面を通して、思想家と著作を結び付けさせたり、統治に関する基本的な知識を確認する問題であった。問8の政党の具体的政策を図式化した問題は楽しい問題でった。

第2問は、ワンガリ・マータイ氏の「もったいない」をテーマとした授業と生徒の発表から、環境問題と政治的な意思決定に関する問題でった。問2の決定方法と民意の相違に関する問題では論理的に考えるという理性の発揮が要求された。

第3問は、市場経済と経済に対する政府の役割が会話文形式で問われた。問6の非競合性と非排除性について財やサービスを分類して整理させる問題は共通テストらしい問題であるといえる。

第4問はアルファベットの略語についての会話文を用いて、青年期や現代の諸問題について問う問題であった。いずれの問題も教科書の基本的な用語の意味が理解できていれば解ける問題といえる。

第5問は、いわゆる「買い物弱者」に関する問題で、生徒の探究学習を通して、統計資料と生徒の意見を関連付けさせて考えさせる問題で論理的な思考力が強く要求された。

昨年までのセンター試験では、記憶の再生力を重視した問題が多数を占めたが、共通テストでは、それを継承してはいるものの明らかに重点は論理的な思考能力、つまりは理性をどれだけ発揮できるのかを問う問題に移行しているといえる。

したがって、従来の「現代社会は暗記科目である」といった学習の取り組みでは歯が立たない問題となっており、少なくとも夏休み前までには基本的な知識に関する学習は完璧に終了させておき、夏休みからはそれらを用いて現代社会のなかで起こる事象を分析することができる力を養う学習に取りかかりたい。

「共通テストを楽しむ」ことをめざしてこれからの受験準備を着実に進めていこう。

第1問 政治・倫理分野 民主主義の原理と統治機構に関する問題
第2問 環境・政治分野 持続可能な開発と政治的意思決定に関する問題
第3問 経済分野 市場経済と政府の役割に関する問題
第4問 政治・倫理分野 現代社会と現代の青年に関する問題
第5問 政治・経済分野 買い物弱者問題に関する問題