Benesse お茶の水ゼミナール
地学
地学~やっと安定してきた~

センター地学(専門)で受験しようとする皆様。
「地学基礎」と分かれてから、今回で5回目の出題となりましたが,難易度がいい意味で安定してきました。

 以前は文系の方はよっぽどな事情がない限り基礎科目2つで受験することをオススメしていました。しかしながら,2017年・2018年・2019年の問題を見ると,もしかしたら地学を選択するのもありなのかもしれません。旧課程の地学Ⅰよりも範囲は広いですが,旧課程地学Ⅰの最後の時期の問題と比べると, 2017年・2018年・2019年の方が圧倒的に簡単です。
2015年・2016年の平均点は約41点と約39点。人数が少ないため,得点調整もされなかったという悲劇。
 こんな事情がありましたので,2017年・2018年・2019年と簡単になったのでしょう。
 地学基礎の範囲の知識および発展事項で解ける問題も一定数出題されました。計算問題も典型問題が多く,思考を必要とする問題もそこまで多くありませんでした。数少ない受験生がちゃんと勉強してれば,平均点は2018年より少し下がる程度ではないかと予想されます。
さて,今年の問題についてコメントしていきたいと思います。頭から解いて思ったことを実況形式で書いていきます。

<コメント>
第1問A:主に地学の範囲から出題。問1は簡単。問2も覚えているかどうかだけ。問3は伏角が60°なので全磁力が水平分力の2倍になることがわかれば容易。
第1問B:問4は押し引き分布か。地学基礎で出るのではないかと予想していたのだが,地学で出題されたか。余震分布から断層の方向を決定するのは大事な知識ですね。問5はほぼ算数。
第2問A:地学基礎と同じくジオくんの登場。問1・問2は普通に地質図の処理をすれば容易だな。問3は地学基礎のレベルの知識。
第2問B:問4は地学基礎のレベルの知識。問5の日本列島形成史の問題。最近は穏やかでよいなあ。1年目の問題とか無理だよね。覚えているかどうかだけ。
第2問Cの:問6・問7は地学基礎の範囲で解答は容易。問8も放射年代・放射性同位体に関する基本問題ですね。
第3問A:大気組成に関する問題か。問1・問2は地学基礎の問題で簡単だな。さて,問3ですが…これは…,まず気圧の値から金星がaかb,火星がcかdだな。で……,ああリード文にヒントあるじゃん。オゾン層ないんだから極大値になる部分がないのでaとcで確定。これ地学基礎でも出題できる良い問題だ。
第3問B:問4は地衡流の問題か。力の向きを考えていけば簡単。問5は黒潮か。①が明らかに正解だけど,④とか知らないと無理だよね。
第4問A:問2の質量・光度・寿命の関係を抑えておきたいね~。問1・問3は容易。問4は定式化して計算するだけなんだけど,受験生にはちょっと厳しい?問5のブラックホールに関する問題は完全に知識。①~③を覚えましょう。
第4問B:問6はただ計算するだけで容易。問7は今年もダークマターか。選択肢にダークエネルギーもあるぞ。問8は正解が明確ですね。
(選択問題)
第5問A:これは流石に簡単。地学の範囲とはいえ基本。
第5問B:これも簡単。
第6問A:地学基礎の範囲。簡単。問2が意外と出来ないんだよねー。
第6問B:問3の亜寒帯の部分が目新しい気がするが,冷静になれば解ける。問4は基本。
今年はどちらの選択問題でも大丈夫だな。

最後に
高1・高2生へ-今後の勉強法と対策-
2015年・2016年の問題と2017年・2018年・2019年の問題を比較してほしい。明らかに難易度が違うことがわかるだろう。来年は少し難化するかもしれないので覚悟しておいてほしい。地学の知識量は膨大で,高得点を目指す場合はかなりの時間がかかる。現段階で今年の地学基礎で8割以上,地学で4割以上得点できていない場合は覚悟して勉強したほうがよいです。とにかく,教科書(2種類)と資料集を片手にセンター試験の過去問を徹底的にやりこんでください。余力があれば国立2次試験の過去問をひたすらやっていきましょう。覚悟を決めて頑張ってください。


第1問固体地球どの問題も典型問題です。図や計算が多い分野ですので,単なる暗記にならない勉強を。
第2問地質・地史・岩石地質図は頻出ですので,練習しましょう。日本列島形成史は覚えにくいですが,高得点を目指す場合は頑張りたいところです。
第3問大気・海洋問3のグラフが良問です。思考力と文章読解力が大事。
第4問天文地学の範囲は演習が手薄になります。点差が開きますので,十分な対策を。
第5問固体地球・岩石基本問題です。ここで失点すると痛い。
第5問大気・海洋問3で少し悩むかもしれませんが,全体としては容易。