Benesse お茶の水ゼミナール
倫理、政治・経済
論理的な思考力を用いて理解することが大切!

 センター試験の「倫理,政治・経済」の問題は,前半の大問3題がセンター試験の「倫理」から,後半の大問3題がセンター試験の「政治・経済」の問題で構成されている。倫理と政治・経済を含む公民科目で最も重視される学力は論理的な思考力である。論理的な思考力というものは学習をする際にも活用されなければならない。特に膨大な情報を整理する際に個々の情報を関連付けさせ整理する際にこの思考力が要求される。「倫理,政治・経済」は単純に考えて「倫理」「政治・経済」それぞれの科目の倍の情報量を持っているので,学習を行う段階からこの能力が強く要求される。

 個々の情報の関連付けを行っていない学習は丸暗記にあたる。丸暗記された情報は活用することのできない価値のない情報になってしまい,そのような価値のない情報は知識とはいえない。センター試験の地歴公民科目など短期間で用語を暗記すれば高得点がとれるなどという暴論を展開する人が散見されるが,この見解は全く誤っている。したがって,とりわけ公民科目においては暗記することよりも理解することに力を注ぎ学習を進めてほしい。

 第1問は「倫理」からの引用問題である。問1は青年期と心理的離乳についての設問であるが,この問題では青年期がどのような歴史的過程を経て誕生したのかということと,単に心理的離乳という用語の定義だけでなく,心理的離乳が青年期においてどのような意味をもっているのかというところまで理解を深めておかなければならない。

 第2問も「倫理」からの引用問題である。問6の西田幾多郎の思想に関する問題は難しい。西田の思想自体が難解な思想であるために問題が難しくなるのも当然である。西田の思想のように難解な思想の場合には,細かな部分を理解するよりも,その思想の全体像を大雑把にとらえて理解することが大切である。純粋経験とか絶対無といった単独の用語の意味を覚えたところでその情報は全く役に立たない。

 第3問も「倫理」からの引用である。問4のヘーゲルの問題が難しい。ここでも前述の西田の思想と同様のことがいえる。人倫にいたる弁証法的な発展の過程をしっかり理解しておくことが重要である。

 第4問は「政治・経済」からの引用問題。問2の国民経済計算の指標の問題であるが,この指標に関する問題はそれぞれの指標の内容についてしっかり理解ができていないと解けない。なぜ,国民総生産から固定資本減耗分を差し引くと国民純生産になるのかといったところまでの理解が必要になる。

 第5問も「政治・経済」からの引用問題。人権に関する知識は抽象性の高い知識であり,内容の深い理解が要求される。

 第6問も「政治・経済」からの引用問題。「コンパクトシティ」とか「ふるさと納税」などの時事用語対策には日頃ニュースなどに接することが有効である。


第1問現代社会の諸課題社会を認識する主体である青年のあり方を含めた総合的問題。
第2問日本の思想神話の時代から近代まで幅広い知識が問われる問題。
第3問西洋近代思想西洋近代思想家の教科書レベルの知識が問われる問題。
第4問地域的経済統合地域的経済統合を主題とし,国内外の政治経済について問う。
第5問人権と民主政治人権を柱にして国の政治制度や地方自治制度について問う。
第6問環境と政治・経済環境と政治や経済の関係性についての総合問題。


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