読解問題は第3問~第6問であるが、この前半部分にあたる第3問と第4問は解答に時間がかかったことだろう。また、第2問C(ブロック型の会話完成問題)も、文法力と読解力の両方が問われるが、ここも解きにくい。つまり「読解系問題の前半がずっと大変だった」というのが実際の受験生の感触だったのではないだろうか。ここを丁寧に、しかし第5問と第6問を解くだけの時間は確保しつつ解答する能力が必要だった。その意味で、力試しに解いてみた高2生、高1生にとっては、ずいぶんと大変な試験だったことだろう。
今年度は、見慣れない新形式の設問が出題されたわけでもなく、見た目の変化は少ない。ただし、先にも述べたように、第2問C~第4問はだいぶ解きづらい。そこには様々な理由があるが、共通しているのは「シチュエーションが把握しにくい」ということ。日常生活に即したシチュエーションの素材文も多いのだが、そういったものも、それゆえの解きづらさがある。
第2問C問1を見てみよう。ブロック型の選択肢で、会話応答として適切な組み合わせを完成させる問題。選択肢を省略し、かっこ内に正解のみを記す。
Museum guide: The number of visitors has dropped this month.
Museum guard: It’s probably because of the construction on the second floor.
Museum guide: Yes, the “Treasures of Egypt” exhibit there always attracted so many people.
Museum guard: So, (it can’t be helped/ that there are fewer people/ while) the most popular area is closed.
博物館のガイド:来場者の数が今月は減ったねえ。
博物館の警備員:おそらく、2階の工事のせいだろうね。
博物館のガイド:そうだね。そこでの「エジプトの財宝」展は、いつも多くの人をひきつけていたから。
博物館の警備員:だから、一番人気のある場所が閉まっている間、来場者が減るのは仕方ないよ。
いくつもポイントがあるが、まずhelp。canやcannotと絡むhelpには「避ける、逃れる」意味がある。最初のブロックの選択肢はI can’t helpかIt can’t be helpedで迷わせるが、ここはつまり、どちらを選ぶにせよ「避けられない、仕方ない」意味になる。ここが理解できたかが第1のポイント。加えて、2つめのブロックはどちらの選択肢もthat節。最初のブロックを決定するにあたり、後ろにthat節をとる環境にあるのは、形式目的語としてthat節をうけることができるit。意味的に「減るのは仕方がない」ということから、it can’t be helped that there are fewer peopleまで作ることができる。ここまでで2つのブロックが完成。3つ目のブロックであるが、その後ろはthe most popular area is closedという「節」をとっている。そこで接続詞whileを選ぶ(ひっかけ選択肢のduringは前置詞なので「名詞」をとる)。
この「名詞」をとる環境か、「節」をとる環境かという事項は他の問題でも問われている。第2問では他にも「副詞と形容詞の違い」「過去分詞と現在分詞の使い分け」などの問題も問われているが、これらはすべて正しい英作文をするにあたっても必須の事項。第2問A 問8, 問9, C 問1, 問3はそのような能力を問う問題。高2, 高1生は正解できたか確認してみよう。
第3問A(不要文指摘)もトピックのつかみづらさもあり、受験生は時間がかかっただろう。この問題は例年、1~2問は「すぐに、確実に」解ける問題があるが、3問とも今回は解きづらい。
第3問B(退職する先生に贈るプレゼントをめぐる会話文)は最初の2問は比較的容易に正解できる。最後の3問目(解答番号32)を正解できたかチェックして欲しい。全体が正確に読めていないと選択肢を切りづらい。
第4問A, B(資料読み取り)、これも「嫌な解きづらさ」がある。結果として正解はしたが、実際に解答だと思う選択肢を決める際には不安だったということはあるだろう。以下見てみよう。
第4問A(絵画に描かれる食物について)問1では、収集したデータ(ここでは絵画)の分類方法が問われているが、受験生にとっては書かれている状況をイメージすることが難しいかもしれない。また、資料に書かれた情報と、選択肢との照合には時間がかかる(これは続く第4問Bも同じ)。スピーディさが要求されるセンター試験だが、こういった部分は丁寧に得点したい。
第4問B(4種類の城の案内の読みとり)は、設問はオーソドックスなもの。入場料を答える際に子供料金の定義に注意するなど、求められている能力は例年と変わらない。しかし、問3に代表されるように、解答にあたって求められる条件が多いということで、ここにも時間はかかるだろう。
第5問(家庭菜園についての物語)、第6問(route「道筋」に関する説明文)の難易度がそこまで高くなかった。ここは高1, 2生でも充分に意味をつかみ、正解はできる部分だった。
第1問 | 発音・アクセント | 単語を使った発音・アクセントを問う知識問題。 |
第2問 | 語彙・文法・構文 | 短文を使った文法・語彙などの知識問題。 |
第3問 | 不要文削除・討論要約 | 文章素材を使った情報読取り問題。 |
第4問 | 資料読解 | 図表など非文章素材も含む情報読取。 |
第5問 | 長文読解(物語) | 複数の段落を含む文章素材(ストーリー性のある文章)を使った情報読取問題。 |
第6問 | 長文読解(論説文) | 複数の段落を含む文章素材(論説文)を使った情報読取問題。 |
平均点変移
2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 |
123.75 | 123.73 | 112.43 | 116.17 | 118.87 |