Benesse お茶の水ゼミナール
物理I
保存を見抜く! 見せ掛けを見抜く! 例えを見抜く! 落とし穴を見抜く!

今回のセンター試験を一緒に振り返ってみようか!
まず全体的にいえる事は、問題の難易度的にはあまり変わらないけど昨年に比べ1問減少したこともあり若干の易化傾向にあったんじゃないかな?「数値を計算させる定量的な問題」よりも、「どんな事が起こると思う?という定性的な問題」のウエイトがやっぱり目立つよね。いつもの物理授業では「方程式を立て、ガリガリ計算して答えをたたき出す!」っていう練習がメインでまたそれが物理だと思っている人にはなかなか点数を採りにくくなってるんだ。センターで注意していきたいことは
①保存を見抜く!
②見せ掛けを見抜く!
③例えを見抜く!
④落とし穴を見抜く!
に気を付け、普段から問題をやるときに先ずできるだけイメージしてから、方程式を組み立てて解くことが重要だね! 
でもそうは言えやっぱりはじめからそう上手くはいかないってもんだ。
そこでこんなことにチャレンジしてみて欲しい! 原理法則を用いて答えを出した後、方程式を立てなくてもその答えがでないか? 答えを見て結局それって計算しなくてもあたりまえだよね! って思えることを増やして欲しいんだ。あとグラフを活用する訓練だ! 例えばⅤ-tグラフ、やF-xグラフなどで直感力をきたえるって事を地道にやってみてよ。きっと物理が楽しくなると思うよ。

では第1問から分析開始だー。おなじみ小問集合だよ。

問1
これは①保存を見抜く!だよね? もちろん力学的エネルギー保存。これは絶対落としてはだめだよ!
でもここで、今は鉛直投げ上げだからいいけど、最後が鉛直でなく斜方投射になっていたときの最高点はどうかな?
これが④落とし穴を見抜く!だ。これは今回の答えとは当然違うよね? ここで「えっ?」って思う人は要注意!!! あとは自分で調べてね~

問2
これはセンター試験が得意とする②見せ掛けを見抜く!
これは普通にオーム抵抗に電流が流れてるだけだよね。それを見抜けばなんともショボイ問題になるね。
でもね、いつもちゃんと勉強してない人はこの程度の問題でさえ躓いちゃうんだよ。

問3
これは色収差という現象をモデルにしたものだよ。同じレンズに入っても色によって屈折率が異なり波長が短い"青"がよく曲がり(屈折率が大きい)、波長が長い"赤"ほど曲がりが少ない(屈折率が小さい)ことによりレンズに近いほうに青、レンズから遠い方に赤が現れるんだ。このことは実際のカメラでも起こってくる問題で性能のよくないレンズだと写真をよく見ると被写体の周りに若干のにじみ?ボケ?が発生するんだ。つまり色収差の少ないレンズの方が良いんだね~

問4
これは電流が磁場を生み出すという現象とフレミングの左手の法則に従う電磁力を組み合わせると答えは、フツーに出てくる。
でも、一般に電流が2本の導線に同方向に流れた場合2本の導線には引力、逆方向に流れたら斥力が働くという事実は上のプロセスを何度かやってみた上で知識として入れておこうよ。なんかいいことあるかもね。

問5
気柱・弦ではⅤ=f・λについて、①保存を見抜く!が有効だね。
この場合Ⅴが一定になるのでλを短くするとfが大きくなる。つまり右に寄せると右の弦は音が高くなり、左の弦は音が低くなるので、2つの振動数の差が大きくなって、うなりの振動数がどんどん上がるのは当然だよね!?

問6
これは単なる力のモーメントのつりあいなんで楽にスルーできたはずだぜ~

第2問 
A.
問1 典型的な交流の問題だ
ここでは、先ず常識を拾っておこう! 今はもうそんなことはなくなったけど昔は関西から関東に引越しをするときに、使われている周波数が違うので電化製品によってはそのまま使えなかったんだよ。便利になったもんだ! あと日本のコンセントは一般家庭では100ボルトになっていることぐらいは常識にしてほしい! たまに知らない人がいるんでビックリ・・・・。ただしこの値は実効値だったよね? わからない人は要復習!!

今変圧をかけているので最大値が1/10の14ボルトになることと、振動数は1秒間に60回つまり0.05秒に3回振動するので②が正解だ! 振動数だけ見て①を選んだ人はいないかい?

問2 変圧器の原理をモデルとした出題はセンターの定番だ!
電圧の比が1次側と2次側の巻き数の比になること、また1次側からの供給電力が2次側の消費電力に等しいことを用いるというように、やることが決まっているので是非得点源にしてほしいなぁ~
交流が便利な理由は「変圧が簡単に起こせる」ということも大きな理由の1つなんだ。輸送中は高電圧にして電流を減らし、ジュール熱の発生を抑え、最後に電柱の上に乗ってるバケツのようなものの中に問題にある変圧器が入っていて100Vに落とすんだよ!

B.(フレミングの左手の法則に従う電磁力)と電磁誘導の法則をあわせた良問
この問題は面白いね! センター試験を作題する先生のセンスのよさが伺える。前半はフツーに電磁力を考え、後半で電磁誘導の法則からの判断を求められている。この問題は磁場の感覚をつかむには良いので何度も繰り返しておこうね!

第3問 
A.ドップラー効果を題材とした面白い問題だね
これは③例えを見抜く! ドップラー効果の問題には大きく分けて2つのタイプがある。1つは(ⅰ)原理を問う問題、(ⅱ)公式を使って解く問題だ! ほとんどの人が(ⅱ)は得意とするが(ⅰ)は苦手とする受験生が非常に多いんだ。しかも今回は原理をまったく違うたとえ話にしている。これは明らかに例えを理解できたか出来なかったかで大きく2極化しただろうね。先ずもって公式は使えるけどなぜそうなるのかがわからない人には意味がわからなかっただろうし、もし、原理的なことを言えても、たとえ話というのはその人がいろんな事を経験してきたかそうでないかによって理解の度合いが変わるんだよ! しっかりいろんな人に出会うこと、いろんな本を読むこと、いろんな経験を面倒がらずにすることこういうことも得点に影響するんだね。お茶ゼミは君の積極ライフを応援してるよ!

これだけは・・・
音源が動くと見掛けの波長に変化がでて振動数が変わる。
観測者が動くと見掛けの音速に変化が出て振動数が変わる。
この意味を自分の言葉とイメージに焼き付けてね。

B.気柱の共鳴は必ずゲット!
これもまたまた①保存を見抜く!だ。Ⅴ=f・λにおいて音速Ⅴは気温が変わらないと変わらないので今は一定の条件が成り立つ。
問3ではfを決めることによりλもきまるので二つの連続した共鳴ポイントがλ/2であることから簡単にfが割り出せる。
問4ではⅤを一定に保ちながらfを変化させていくんだけどλが長くなっていくのが読み取れるのでfは小さく(低く)。

第4問
A.アトウッドの装置をモデルにした問題だね
問1
ニュートンの運動の法則を利用して初めて重力加速度を測定したのがこのアトウッドなんだ。実際にはもっと複雑な装置だったようだけど、それを簡素化したのがこのモデルなんだ。この問題非常にシンプルで簡単なんだけど④落とし穴を見抜く!を意識する必要があるぞ。どういう落とし穴かって? それはこの問題の答えを③とする人が後を絶たないんだ。
この問題で2物体を1つの系とみなして、結局左のほうがmg(エムジー)だけ多いと判断するところまではいいんだけど、次にこのmg(エムジー)によって加速されるのはM+mだと勘違いをする! よく見て欲しいのは糸で右の物体も加速してるよね。
つまり加速を生じるのは(2M+m)なんだね! この落とし穴にはまった人反省してください!

問2のグラフは問題なく選びたいね~

B.重心とモーメントの典型問題だ
これはモーメントが苦手でない限りゲットしたい問題だ!
問題文中の「一様な棒」を見落とすなよ! この言葉を確認してから重心をど真ん中に入れようね。
逆にこの言葉がないのに勝手に真ん中に決めて最後に「重心の位置はどこか?」なんていう問題を見て青ざめることがないことをお祈り申し上げます。

C. U字管 J字管も良く扱われるんで意識を高めようね
これも①保存を見抜く!
状態方程式 PⅤ=nRTの何が一定になるのか?
例えばA~Bでは温度が変わってないので左の閉じた空間ではnとRとTが一定となり
PV=(一定)ボイルの法則が成り立つよね。
一方B~Cでは圧力Pが一定になっていることに気づいたかな?
つまりⅤ/T=(一定)シャルルの法則が成り立つよね。これが見抜ければ一発だぜ!


第1問小問集合問1 力学的エネルギー保存則
問2 落雷の電気エネルギー
問3 色収差
問4 並行導線間に作用する力
問5 弦の振動
問6 力のモーメント
第2問電磁気A 交流波形と変圧を伴う電圧輸送
B フレミングの左手の法則に従う電磁力
第3問波動A ドップラー効果の原理
B 気柱の共鳴
第4問力学・熱力学A アトウッドの装置
B 重心と力のモーメント


平均点変移
20132012201120102009
62.7068.0364.0854.0163.55