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「社会を感じる」授業[こんな先生に教えてほしい]
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  • 記事作成日:2010年07月20日
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  • 毎週のように学校を訪ね、たくさんの授業を見ています。そして、先生方から授業への想いを聞いています。≪考えるチカラ≫を身に付ける方法を伝える「テストの花道」や小1プロブレムに対応する「できた できた できた」などの番組を制作するためです。そのなかで、「こんな先生に教えてほしい」と思った先生方のことを書かせていただきます。


    今回は、大阪府の中学校で「社会を感じる」授業を行うs先生を紹介します。
    教科は、社会科。授業を受けるのは、1年生です。コンビニから自分たちの住む社会を見直してみようという授業です。

    s先生の目標は、身近なものから社会を見つめることです。今回は、「なぜ、コンビニは増えたのか」「売り場ではどんな工夫をしているのか」「どんなところに出店するのか」「なぜ長時間営業しているのか」「安売りしないのになぜ繁盛するのか」など、生徒からもたくさんの疑問が生まれたコンビニを題材にしました。
    授業では、疑問を探りながら、世の中の仕組みの一端に迫っていきます。

    s先生の授業は、多くの「なぜ?」に満ちています。
    まず、先生は、「コンビニとは、○○な店」と板書しました。そして、「この○○にあてはまる漢字2文字は何?」と質問します。
    さらに、小さな袋を取り出し、「これはコンビニで最初に売れたもの。何だと思う?」とたたみかけます。ちなみにこの商品は、800円だそうです。
    このようにクイズを出す授業を行う先生がいますが、問題の内容で、その先生の力量がわかります。良い先生は、生徒が自分で考えると、わかる可能性が高い、ちょっとだけ難しい問題を用意します。この微妙なさじ加減が先生の腕の見せ所です。
    ちなみに正解は……。○○に入る漢字は「便利」。最初に売れたものは、サングラスです。

    再び問題です。
    先生は、用意したコンビニで売られている商品を生徒たちに渡してから、「コンビニが増えた背景に、社会のどんな変化があったか」と問いかけます。
    ちょっと難しいので、ヒントも用意していました。それは先ほど手渡した商品の鮭茶漬けと梅がゆです。さらに、ある人口増を示した右肩上がりのグラフを掲示します。ここまで情報が増えると、生徒たちから「高齢者が増えた」「外国人が増えた」などの意見が出始めました。
    正解は、「一人暮らしの人が増えた」です。

    s先生は、これまで「イラク情勢から見る原油価格の仕組み」「電話番号案内をとおして知る日本の経済事情」などのさまざまなテーマを取り上げています。
    どれも日頃から周囲に目を配り、授業に使えるものはないか、変化に気を付けていることのたまものです。取材中、先生が興味を持っていたのは、「貸工場・貸倉庫という看板が最近目につくようになった」ということ。実はこれ、生徒たちが普段何気なく目にしていることです。ここから今の工業の実態や景気を考える授業を生み出そうと考えているそうです。
    このような日頃の努力の積み重ねの上に、生徒への事前アンケートを元に、授業は組まれていきます。
    今回のコンビニについても、「1日の客の数は?」「商品の流通はどうやっているの?」「なぜ、本は外側にあるの?」「弁当売り場はなぜ奥にあるの?」など、多くの疑問が寄せられました。これに対し、s先生は、コンビニ各社のパンフレットを集めたり、各社に電話で確認したりし、また、店に何度も足を運び取材を重ね、問題を作り出します。

    先生の問題が続きます。「コンビニの売上げベスト4は、パン・おにぎり・弁当・飲み物。では、なぜ、それがわかるのか?」
    ヒントは、コンビニのレジが写った1枚の写真。そこには、20!)29歳の男・女、30!)49歳の男・女、50歳!)の男・女の文字が写っています。
    答えは、POSシステムと呼ばれる商品管理システムです。
    この情報化の革命が、コンビニの成長を支えました。何が買われたか、しかもどんな人が買っていったのかをデータで瞬時に把握できるようになったのです。そのうえ、賞味期限がある食品や発売日が決まっている雑誌など、コンビニならではの多様な商品を少しずつそろえ、補充すること容易にしました。
    また、スピーディーな配送を可能にした流通革命もコンビニの成長を支えました。
    これを実現するには、人手と高速道路が必要です。そこで示されるのが、1980年と2002年の高速道路網の比較。

    次々と提示されるリアルな事実と的を射た情報は、必ず生徒の反応に表れます。
    このあと、生徒たちは、実際にコンビニに行き、さらに自分の知りたいことを調べます。万引きされないような仕組みなどの防犯対策、障がい者対策や環境対策などを聞きました。
    「毎日行っているがそういう目で見ていない。そういう目にすることが教育」とs先生は言います。


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