優秀な先生を育てるにはどうすればよいか、中央教育審議会で論議が始まったことは、先の記事で紹介しました。しかし学校の先生にとって最大の関心事は、やはり教員免許更新制がどうなるかでしょう。もちろん建前は、有識者である審議会の委員が一から検討することなのですが、現段階でどのような見通しにあるのか、踏み込んで見てみましょう。
振り返っておきますと、教員免許更新制とは、2009(平成21)年度から授与される教員免許状に10年間の有効期限を付けるとともに、現職の教員には、免許に有効期限を付けない代わりに、10年に1度、大学などで開講される計30時間の「免許状更新講習」を義務付けるものです。更新講習は2年間のうちに受講することになっており、今年度中に35歳、45歳、55歳になる先生が≪更新制第1号≫として、手続きの期限が来年3月に迫っています。
中教審に諮問のあった6月3日、文部科学省は、検討状況についての「現時点での考え方」をまとめ、教育委員会などに周知しています。そこでは、(1)中教審で、今年中をめどに一定の方向を示してもらう(2)それに基づいて法律改正が行われるまでは、現行制度が有効であり、免許状更新講習も受ける必要がある─などとしています。
12月までは廃止にならない可能性も残されるわけですから、≪第1号≫の先生たちは、やはり更新講習を受けておかなければなりません。更新講習の開講は1月末までのため、実質的に対象者のほとんどが、30時間分を受講することになりそうです。
せっかく受講料を自己負担して免許更新の要件を満たしたのに、更新制そのものがなくなってしまっては、時間とお金が無駄になってしまいかねません。その点に関しては、鈴木寛文部科学副大臣が、中教審に諮問したあとの記者会見で、注目すべき発言をしています。
鈴木副大臣は、今後も「講習」をやめるつもりはない、としています。そのうえで、講習30時間のうち、どの教員にも共通する内容を扱う必修の12時間分は、現在も現職教員に教職10年目の教員に義務付けられ行われている「10年経験者研修」の中に取り込み、残りの教科などによって選べる18時間分は、新設を検討している「専門免許状」(諮問文では「教員免許状により一定の専門性を公的に証明する制度」)の取得に反映させればよい、というのです。
そもそも免許更新制は、更新手続きを踏まなければ教壇に立ち続けることができない、というところに、制度のミソがありました。これに対して鈴木副大臣は、経験者研修は職務命令で行われるのだから、研修の一環である講習を受講しなければ懲戒処分の対象となり、更新制のねらいも残せるのではないか─との見方を示しています。
もちろんこれらは、諮問をした文科省側の意図を説明したものであって、審議会の決定事項というわけではありません。それでも、単なる更新制の「廃止」ではなく、養成・採用・研修という総合的な方策の中で、教員の質を向上させるという趣旨を「進化させていく」(鈴木副大臣)ものだと位置付けていることが、目を引きます。