子どもの学力を向上させる基盤として、家庭でも、「早寝早起き朝ごはん」に代表されるように、生活習慣の確立が重要であることは、広く認識されるようになってきました。日本PTA全国協議会(日P)がまとめた「教育に関する保護者の意識調査」の報告書を見ても、多くの家庭で「早寝早起き朝ごはん」が浸透してきていることがうかがえます。しかし、それだけで十分なのでしょうか。調査結果から、もう一歩踏み込んで考えてみたいと思います。
調査では、子どもの学力向上のため、家庭で心がけたいことを聞いています(複数回答)。すると、「朝食を必ず食べさせるようにする」(77%)、「早寝、早起きを心がけさせる」(55%)と、いずれも高い数値を示しており、8項目の選択肢の中でそれぞれ1、2位に上がりました。生活習慣に関する選択肢は今回(2009<平成21>年度)の調査から加えた項目なので、過去のデータとの正確な比較はできませんが、早寝早起き朝ごはんの重要性が多くの保護者の間に定着していることがわかります。
一方、これらに比べれば、「テレビや新聞でニュースをよく知るようにする」と回答したのは3人に1人程度(36%)、「親が日頃から読書をする」は5人に1人程度(18%)に過ぎません。報告書では、政策研究大学院大学の今野雅裕教授が、そうした数値が低いことを問題視しています。なぜなのでしょう。
早寝早起き朝ごはんが大切なのは、学校での勉強に大きく影響してくるからです。夜更かしや朝寝坊が学校生活にもストレートに悪影響を及ぼすことはもちろんですが、朝ごはんを食べなければ、脳の血糖値が上がらず、頭の働きが悪くなり、午前中の授業を受けるのに支障が出てくるからです。これらは、学校で授業を受ける時の、最低限の条件だと言えるでしょう。一方、「テレビや新聞でニュースをよく知るようにする」「親が日頃から読書をする」は、家庭の中での生活の話です。
昨年の記事でも紹介しましたが、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について追加分析をしたところ、「ニュースや新聞記事について子どもと話す」「子どもが小さいころ、絵本の読み聞かせをした」「家には、本(マンガや雑誌を除く)がたくさんある」という家庭では、テストの成績も高くなる、という結果が出ています。この追加分析では、世帯収入が高いほど成績が高くなる傾向がくっきりと現れたのですが、ニュースや読書に関しては、世帯収入に関係なく、学力を底上げする効果があるというのです。
そう考えると、先の「テレビや新聞でニュースをよく知るようにする」「親が日頃から読書をする」といった選択肢を選ぶ割合は、もっと高いほうが良いはずです。保護者の意識的な接し方だけでなく、普段の行動もまた、子どもの学力に知らず知らずのうちに影響を与えていることも、頭の片隅に置いておきたいものです。