教育費は、子どもを持つ保護者共通の悩みです。2010(平成22)年度から、国公立高校の授業料が実質無償化され、私立高校授業料も一部が助成される予定です。しかし、高校よりも、大学など高等教育の費用負担を、より深刻に受け止めているかたも多いのではないでしょうか。その負担を軽減する方策の一つとして、返済の必要がない「給付型奨学金」を充実させることがあります。しかし、独立行政法人「日本学生支援機構」(JASSO、旧日本育英会)の調査によると、日本の給付型奨学金はまだまだ不十分、というのが実態のようです。
JASSOを除いて、地方自治体・学校・公益法人など、奨学金を出している団体は2007(平成19)年度、全部で2,766団体ありました。このうち給付型奨学金の割合は、奨学金を受けている学生のうち31.5%、奨学金支給総額のうち23.9%にすぎません。しかも、団体の多くは高校生を給付対象としていますから、大学生だけを見ると、さらに少なくなると思われます。
大学生のみで見た場合、団体による奨学金支給総額は427億7,100万円なのに対して、JASSOの支給総額は5,705億1,300万円に上っています。つまり支給規模からいっても、大学生に対する奨学金の根幹は、JASSOが担っているのです。
その肝心のJASSOは、もともと給付型奨学金の制度を持っておらず、しかも無利子だけだった昔と違って、今は有利子の貸付型奨学金を主体にしています。
たとえば、JASSOの利子付貸付型奨学金により月額8万円の支給を受けた場合、支給総額384万円に対して、返済総額は516万7,586円に上ります。卒業後の奨学金の返済状況が悪化していることは、以前から問題になっていましたが、昨年秋の世界的不況の到来以降、返済できる自信がないという理由で、奨学金を受けること自体を諦める家庭や学生も少なくないようです。
日本の大学の授業料は近年、急激に上昇してきました。現在、4年制大学の平均授業料(年間)は、国立が53万5,800円、私立が83万4,751円。国立大学だけ見ると、この30年間で14倍も値上がりしています。
さらに、日本の大学教育の特徴は、家計などの私費負担が大きいことです。経済協力開発機構(OECD)の国際比較によると、日本の高等教育費に占める私費負担の割合は67.8%(加盟国平均は27.4%)で、韓国に次いで2番目という高さです。ほかの主要先進国の中で高等教育の私費負担率が高い国としては、アメリカの66.0%がありますが、家計負担だけを見ると36.3%にすぎません。アメリカでは返済の必要のない給付型奨学金の制度が充実しているためです。
日本ではこれまで、子どもの教育費は保護者が負担するのが当たり前という意識が強く、それが美徳とも思われていました。しかし、高校卒業者の2人に1人が大学に進学する時代には、返済の必要がない奨学金の充実が、急務となっているのではないでしょうか。