Benesse お茶の水ゼミナール
政治経済
論理的思考力が発揮できるかがポイント!

 センターの政治経済の問題は大問4題からなる。いずれの大問も複数の分野から出題される総合的な問題になっている。したがって,教科書や参考書などを使って単元毎に知識が整理されているだけの学力では高得点に結びつかない。その整理された知識を,問題を解く際の「試験で使える学力」へと昇華させておかなければならない。そのためには,センター試験の出題形式に沿った演習問題を多く積み重ねることが必要である。遅くとも夏休みが終わるまでには単元毎に知識を整理する作業を完璧に終わらせておきたい。とくに図表を読み解く力はしっかりとつけておきたい。

 今年の問題も知識的に見ると,いずれの問題も教科書レベルの基本的な知識で解ける問題になっている。しかし,問題を見たときに,その問題を解くために必要な知識は何と何と何であるのかを瞬時に判断し検索する力を鍛えておかないと高得点をマークすることは難しい。「教科書や参考書に書かれていることを全部覚えておけば大丈夫」ではないのである。

 とくに図表を読み取る問題では頭をフル稼働させて問題に対処しなければならない。今年のセンター試験での読み取り問題はさほど難しくはないが,私大を含めた大学入試の政経の問題においては,近年,図表を読み解く問題が複雑になってきており,複数の図表を読み取り答えを導き出す問題が主流になりつつある。2021年から始まる現在のセンター試験にかわる大学入学共通テストの政治経済の問題では複数の図表やグラフを読み解く問題をベースにして作成される見込みである。したがって,来年の最後のセンター試験では,政治経済の問題で複数の図表やグラフを読み解く問題が出題される可能性が大きいといえる。この新たな出題形式に関しては,今後,お茶ゼミから今年のセンター試験の分析冊子が出るので,そのなかの「大学入学共通テスト試行テストの分析」をよく読んでおいてもらいたい。

 センターの政治経済の問題で出題される頻度の高い図表・グラフの問題が需給曲線とリカードの比較生産費説の問題である。今年の問題では,第1問の問8で需給曲線のシフトに関する基本的問題が出題され,第4問の問6で比較生産費説の基本的な問題が出題されている。なぜ,この二種類の問題がセンター試験で頻出問題になっているかというと論理的に考える力を駆使しないと解けない問題だからである。

 大学は社会的に有能な人材を輩出させるべきだとする社会からの強い要請に答えなければならない。情報をコンピューターなどの記憶装置によって正確かつ大量に記憶することが可能になった現代の社会は,もはや大学に対して記憶力の優れた人材など求めてはいない。それにともない大学入試において知っているかいないかの知識の有無だけを問う問題はもはや時代遅れの低級な問題となっており,大学入試問題の主流は論理的に考える力を測る問題にシフトしてきている。したがって,受験生もそれにともない従来からある知識詰込み型の受験勉強のあり方を見直さなければならない時期にきている。


第1問地域的経済統合地域的経済統合を主題とし,国内外の政治経済について問う。
第2問冷戦終結後の世界冷戦終結後の国内外の政治経済について総合的に問う。
第3問人権と民主政治人権を柱にして安全保障や社会保障制度や政治制度について問う。
第4問経済と環境環境保全と経済発展の両立についてテーマにした問題。


平均点変移
20182017201620152014
56.3963.0159.9754.7953.85