Benesse お茶の水ゼミナール
倫理、政治・経済
倫理分野まで十分な学習をしないと85点以上は厳しい。

当科目が開始されてから5年目を迎えますが、ようやく今年になって、センター「倫理」と「政治・経済」からの抜粋としての形を整えたと思います。課題文も共通のものが選ばれ、当科目オリジナルの出題がなくなりました。ただ、2013年以降倫理分野(だけ)が難化したことを踏まえますと、それ以前と比べて、政経分野は当然のこと、倫理分野までしっかりと学習・対策をしなければ、85点以上確保することは難しいと思われる問題セットです。以下、当科目を選択する人のために学習上の留意点を書きますが、当科目を選択される高2生は、「倫理」と「政治・経済」についての速報も必ず読むようお願いいたします。

(1)教科書レベルの基本知識を十分に理解することは他教科と同じく重要です。ただし、事項(人物名・単語・著書名など)を暗記するのでなくその事項の意味(倫理なら思想内容)・仕組み(政経なら制度)を理解する必要があります。たとえば、単なる「荘子の万物斉同」や「基本的人権」といった人名・事項を暗記するだけでなく、それらがどのような意味内容と性質、仕組みを持つのか、なぜそのような事柄が必要とされたのかといった「つながり」を理解する必要があります。倫理分野ではこれを徹底することが重要ですが、政経分野では、制度の定義を問うだけではなく、その制度が確立した(歴史的)背景・意義、そして、その問題点や改善策までも問う問題も出題されますから、高得点を狙う受験生はそのレベルまで理解する必要があります。

(2)時事問題への対応が必要です。といっても、単に時事問題に興味をもつというだけでなく、倫理と政治経済の教科書レベルの基本知識を身につけたうえで、倫理分野なら諸思想をその前後関係とともに理解したり(例:人間の認識能力をめぐるカントの考えはいわゆる経験論と何が違うのか)、現代倫理を社会常識として学んだり(例:遺伝子技術の利点と危険性、メディアに関する問題)、政経分野なら日本・世界の政治・経済を時系列的に勉強して時事問題(例:コソボ紛争などの民族問題、90年以降の地域経済統合に見られるような近年のグローバル経済の動向と現状、80年代以降の日本での構造改革のあらましと問題点)を理解することが必要です。政経分野に関して詳しくは「政治・経済」についての速報をご覧ください。

(3)図表問題への対策も必要です。ここ数年の出題を見る限り、今後も確実に5~6問は出題されると考えてよいでしょう。一般的に見て、図表問題は倫理分野よりも政経分野の方が難しい傾向にあります。単純な基本知識だけでは解答できないものもあるからです。とりわけ今年度は図表が時事事項と組み合わされ、(2)で述べた時事事項の知識がないと正解できない問題が出題されました。日頃から教科書や資料集に掲載されている図表をながめながら勉強し、データを読み取る練習を積み重ねる必要があります。

(4)「倫理」と「政治・経済」からの抜粋出題である以上、両分野の出題動向の影響を免れません。その影響を受けて今後出題の可能性があるのは、倫理分野では、教科書の欄外に書いてある(場合によっては書いてなくて日本史・世界史に属する)ような細かい事項を問う問題、政経分野では、計算問題、年号の知識がないと解答できない問題、地図問題です。今年度当科目で出題がなかったとしても来年は出題の可能性もあるので、対策と練習が必要でしょう。 上記(1)~(4)を踏まえて当科目を選択する2年生の皆さんに総合的にアドバイスしますと、「政経分野を先に丁寧に学習しつつ、倫理分野も手を抜かずに追い込むべき」 となります。その理由は政経分野の学習が倫理分野と比べ約2倍の学習量を必要とするからですが、倫理分野も2013年以降の難化傾向が今後も続く可能性が高いからです。したがって、具体的な戦略としては、政経分野には高3の初めから取り組んでおき、倫理分野は学校の定期テストなどに手を抜かず、高3夏以降から本格的に追い込むというスケジュールになるでしょう。その際重要なのは過去問演習で、「倫理」「政治・経済」の両方の過去問で練習するべきです。各事項の理解・記憶→過去問演習→確認・復習のサイクルを繰り返しつつ得点力を高めていきましょう。


第1問青年期と現代倫理基本的には「倫理」第1問からの抜粋。
第2問日本倫理思想基本的には「倫理」第3問からの抜粋。加えて、「倫理」第2問から東洋に関する問題が一部抜粋。
第3問西洋倫理思想基本的には「倫理」第4問からの抜粋。加えて、「倫理」第2問から西洋に関する問題が一部抜粋。
第4問近代国家の変容基本的には「政治・経済」第1問からの抜粋。
第5問民族問題と人権基本的には「政治・経済」第3問からの抜粋。
第6問市場メカニズム基本的には「政治・経済」第4問からの抜粋。


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