Benesse お茶の水ゼミナール
数学IIB
「外分点でつかまえて」

「俺は嫌いなのさ、世の中を分かったようなことを言う奴がさ。アンドレの奴ときたら、すぐに分かったようなことを言いやがる。ああいうやつが一番大嫌いなんだ。大人ぶった子供がね。子どもと言うよりもあれはガキだぜ。そういえば、俺はこないだの土日にセンター数学II・Bを受けたのさ。全くもって大人というやつは、やたら試験だのテストだのを俺たちに投げつけてきやがる。お前たちの作った試験で何がわかるっていうんだ。大人に見えないうちらの価値っていうのもあるだろ、そういうのを全部無視しているところが腹が立つんだ。そうだ、そういえばアンドレだよ。センター受けた後の帰り道に後ろから声をかけてきてさ、『おー!お前は数学できたか?数学II・Bは多分俺は満点だぜ』なんて言ってきやがった。聞いてもいないのにアンドレの独演会がそこから始まったわけさ。『第1問はできたか?[1]では、珍しい【図形と方程式】から出題されたよな』。そうなんだ、第1問から新傾向だぜ。やれやれ、大人ときたらこういうことで俺たちを試してきやがる。これは覚えといたほうがいい話だが、奇を衒う大人ほど厄介なものはないぜ。こういう時こそ冷静に対応するべきってことくらいは俺も知ってるんだ。外分点?内分は好きだが外分が苦手だというやつがいるが、あんなのはバカだ。『1:2に外分』は『-1:2に内分』って考えればいいんだよな。いやしかし参ったよ、いきなり【図形と方程式】だもんな。『第1問[2]【指数・対数関数】は簡単だったよな』とアンドレも偉そうに言っていたが、あんなに捻くれた奴が、きちんと誘導に乗れたか全く怪しいもんだぜ。誘導に乗ってしまえば、まあ普通に取り組みやすい問題ではあったんだ。ああいう考え方は2次試験でも頻出だから、数学を中途半端にはやってない俺のような人間には、ああいう問題は典型中の典型だ。誘導がなくても俺はできたはずだから、まあ、むしろもったいなかったよな。それから、第2問【微分法・積分法】の問題だった、まあ、前半はセンターには珍しく法線が出たな。法線はお茶ゼミで習ってたから、まあ十分落ち着いていけたんだ。まあ、こう考えると現役生向け予備校ってもんも悪くないよな。積分法は面積公式を使って一発だ。メアリーは1/6公式を覚えてなかったって?そりゃ受験する資格さえないようなもんだ。公式を覚えることが全てではないが、ある程度の公式は暗記するべきだぜ。計算も簡単になるし、すなわち俺達の最大の敵である<計算ミス>も少なくなるってもんだ。まあ俺は、後から公式を使わない方法で再度解いて、検算したんだけどな。不安だったわけじゃないぜ、一応万全を期したんだ。例年通り第3問【数列】だった。いきなり定番の隣接2項間漸化式だったよな。覚えているんだぜ、ちょうど半年前、お茶ゼミの授業中にアンドレが当てられて、あの漸化式が解けなかったこと。あの時のあいつの顔ときたらひどいものだったぜ、君にも見せてやりたかったよ。1年前に俺が答えられなかった時は、あんな無様じゃなかったと思うんだ。まあ、その日のうちに意地になってマスターしたね、あの漸化式の解法は有名だからな。しかしびっくりさせられたのは数学的帰納法だ。あれだけ高校の教師は『数学的帰納法はセンターに出ない!』などと言ってたにもかかわらず出たんだ。誘導付きでな。きっと、2次試験対策をしている人間には有利に働いたんじゃないかな。セコい手を考えているヒマがあれば、まじめに全範囲をきちんとよく学べってことだよな。数列の問題は項の番号や指数に注意しながら、きちんとマークしていったんだ。きちんと空欄に合うように、答の形を整えなきゃいけない。世の中はまったく面倒なもんだ。笑えるのはアンドレだよ、『第3問は背理法だよな!』って、手に持ったダイエットコーラを飲み干しやがった。言ってやったのさ『僕は・数学的帰納法が・得意だ。』ってね。鳩が豆鉄砲を食ったような顔とはあのことなんだな。例年通り第4問【ベクトル】だったな。アンドレは『今年のセンターは空間ベクトルが出る』と言ってたけど、まあ普通に平面ベクトルだったよな。ベクトルは<寄道可能><平行移動可能>の2つの性質をきちんと意識しておくんだ。問題は平行四辺形だったから、まあ落ち着いて図を描いて考えて、誘導に乗れば大丈夫だった。(2)は具体的な条件のもとでの単なる計算だった。『3角関数はベクトルと融合されて出してきたな!』ってアンドレは言ってたけど、3角関数の複雑な性質を使うわけでもなかったので、まあ、オマケみたいなものじゃないかな。数学II・B全体の難易度は例年通りじゃないかな。結局、アンドレの独演会が終わる頃には、アンドレは自分が満点じゃなかったことを自覚したようで青ざめていたな。電車の中で偶然出くわしたお茶ゼミの先生に泣きついてたぜ。『先生―今日もカッコイイっすね~おっつかれさまでーす』ってヘラヘラと肩を揉んでやがった。大体、いきなり肩を揉んでくる人間に、信じられるようなやつはいないってもんだろ?あいつのああいうところが全く受け付けないんだ、大人を簡単に懐柔できるって思い込んでいるところがね。普段から、『俺は"先生"という人間に嫌われたことがないんだよ』とまで言ってやがる。まあ、ああいうヘラヘラしたやつに、骨抜きにされて甘く対応する大人たちも、意外と結構いるもんだから困ったもんなんだ。まあ、そんな感じで、土日はあっという間に終わったよ。で、用はなんだっけ、キャサリン?」


第1問[1]図形と方程式
[2]指数・対数関数
[1]直線、円、分点
[2]指数方程式、3次方程式
第2問微分法・積分法接線、面積
第3問数列2項間漸化式、数列の和、数学的帰納法
第4問平面ベクトルベクトルのなす角、3角形の面積
(選択問題である【統計とコンピュータ】【数値計算とコンピュータ】に関しては省略しました)

平均点変移
20122011201020092008
51.1652.4657.1250.8651.01