Benesse お茶の水ゼミナール
数学IIB
「難しい」と「ヤヤコシイ」は別物

センター数学II・数学B受験後の、帰り道の女子高校生2人の会話を追いました。

メアリー : 「『すべきこと』かあ、うーん、勉強かあ・・・」
キャサリン : 「『勉強』って考えるよりも、目標のための一歩って考えてるよ、私は!」
メアリー : 「目標のための一歩をしっかし踏み出すことが、『すべきこと』で『できること』か!」
キャサリン : 「うんうん!」

キ : 「数学IIBのさ、第1問[1]の対数不等式簡単だったよね。」
メ : 「対数嫌いー。だって『ログ』っていうだけで、悪い組織のボスみたいじゃない?」(*1) 
キ : 「底と1との大小は、誘導が無くてもできたよね!ちょっと余計なお世話!」(*2) 

キ : 「第1問[2]の3角関数はしんどかったなあ。」
メ : 「あ、あれはさすがに途中で捨てちゃったよ~サインコサイン大嫌い~!」(*3) 
キ : 「何度も単位円を描いて根気よく考えたんだけど、ほんと疲れたなあ。」

キ : 「第2問の微積分はどうだった?」
メ : 「途中までうまくいけてたんだけど・・・文字が多い問題嫌いだ!敵だ!贅沢は敵だ!」(*4) 
キ : 「メアリー、嫌いなもの多いなあ。嫌いなものを、嫌いのまま終わらすのはもったいないよ。」(*5)
メ : 「うん、だけど、文字が多いと抽象的になって焦るんだもん。また右ページから難しくなるし!」
キ : 「難しくはないよ!ヤヤコシイだけ!最後の面積は、◯◯先生が言ってた公式使えたね!」 (*6) (*7)

キ : 「第3問の数列はなんかフツーだった。」
メ : 「なんか、後半、『和と一般項の関係』使う?使わない」
キ : 「うん、使うっていうか、誘導でそういう感じだよね。中途半端に公式使おうと思うと、誘導にうまく乗れなかったりするよ。」
メ : 「わたし、完全にそのタイプだーわー。だから誘導をきちんと誘導として使えなかったのか。」
キ : 「そうそう『誘導にきちんと乗る』ためには、意外にも本質的な理解が必要だったりするのよね。」(*8)
メ : 「結局、公式とかパターンの丸暗記だけでは限界があるってことかあ。」

キ : 「第4問のベクトルは、空間だったね。」
メ : 「空間ベクトル、ほんっと大嫌い!いっつも図がぐちゃぐちゃになるんだもん。」
キ : 「一つの図にムリヤリ収めようとしてない?図はいくつも描いたほうがいいよ!」(*9)
メ : 「余白が狭いんだもん!あーあイヤだイヤだー!」
キ : 「確かにー。ちょっと余白が狭くて、描きづらかったなあ。」(*10)

キャサリンは、日頃から「なぜ、どうして」と問題が解ける原理までを考えるタイプ。
メアリーは、ひたすら公式と解法を丸暗記して、それを何とか当てはめようとするタイプ。

小テストの成績はそんなに変わらないのに、センター試験では大きな点数差ができてしまいました。

キ : 「受験もあとちょっとだからがんばろうね!メアリー、受験終わったら遊びに行こうね!!」
メ : 「・・・」
キ : 「ん?メアリーどうした?」
メ : 「いや、キャサリン、カッコイイなーって思ってさ。」
キ : 「え?」
メ : 「キャサリン、塾ではそんなに友達作らないし、授業終わったらすぐ帰るし、なんか真面目ちゃんだし、実は正直『つまんない子だなー』って思って見てたこともあったんだよ。ごめんね・・・」
キ : 「アハハ!なに言ってんのよ!全然大丈夫!メアリーはカワイイしオシャレだし、友達すぐできちゃうもんね!実はちょっとうらましいかったんだよー!」
メ : 「でもさ、なんかさ、入試近づくにつれ、キャサリンしっかり成績伸ばしていくし、どんどんキャサリンのことがキラキラ輝いて見えてきてさ、うっうっ・・・」
キ : 「あぁ~泣かないでよ~!メアリーも頑張ってたじゃん!あの最後の勢い、スゴイと思うよ!尊敬する!」
メ : 「・・・ありがとう・・・」
キ : 「最後までがんばろっ!メアリーが一緒にいてくれたから、私、頑張れているんだよ!だから、メアリーもクヨクヨせず笑ってよ!私はメアリーのこと大好きだし、一番応援してるんだからね!」
メ : 「ありがとう。」
キ : 「あ!チョコ食べる?美味しいよ?」

(*1) メアリーがどんなものをイメージしているか全くわからない。
(*2) 対数の問題は、「真数条件」「底と1との大小」には気をつける。
(*3) 満点ではなく8割を狙う生徒ならば、第1問[2]は途中で切り上げて、他の問題に進むのも一案。
(*4) 贅沢言っているのはあなたです。
(*5) 「嫌い」って文句言うだけでなく、そういうものにきちんと向かい合えるかどうかが重要。
(*6) 「難しい」と「ヤヤコシイ」は全く別物。ヤヤコシイだけの問題に怯え過ぎないこと。
(*7) 積分における面積公式は重要。(高3数学各講座に掲載)
(*8) 「公式の丸暗記」が誘導に乗りにくくすることも多い。
(*9) 空間ベクトル・空間図形は必ず図をいくつも描いて、丁寧に考える。
(*10) 計算スペースとして、問題下の余白の使い方も、意外に重要なポイント。


第1問[1]指数・対数関数
[2]三角関数
[1]対数不等式。底と1との大小について誘導。
[2]三角関数の最大値。単位円の利用がポイント。
第2問微分法・積分法3次関数と2次関数の接線・面積等に関する問題。
第3問数列等差数列等に関する問題。誘導に従い、数列の一般項を導く。
第4問ベクトル空間ベクトルの問題。図を描き、誘導に従って解く。


平均点変移
20112010200920082007
52.4657.1250.8651.0148.94