Benesse お茶の水ゼミナール
日本史B
一問一答集は捨てておけ!

今年のセンター試験は面白い結果となった。他の予備校では,「難化」という言葉が見られるのに対し,お茶ゼミ生に聞いてみると,総合の生徒で80点台,ハイレベルの生徒で90点台という声をよく聞いた。しっかり勉強すれば取れる問題だったと言える。
今年最大の難問は大問3の問4の日明貿易に関する並べ替えの問題である。「懐良親王って誰だよ!」という声も聞いた。後醍醐天皇の息子だよ!それが分かれば足利義満よりも前,足利義持はその後となる。授業でやっているんだけどね。

それと,他の予備校の分析では,「社会経済史の出題が多かった。」等の分析が見られるが,受験生が忘れてはいけない視点は,やっぱり政治史が多い,ということだ。これは,我々予備校講師は,政治史が出るのは当たり前で,その他の特徴に注目してしまうので,政治史について書かれないことが多い。だから受験生はまず政治史で失点しないことが大事なのだ。今年は,政治史が15問で4割強,社会経済史(農業・商業・社会運動等)が11問で3割。つまり政治史は当たり前,社会経済史もしっかり勉強しておく,というのが基本スタンスとなる。ただし,外交史や文化史は少数ながら全時代にわたって出題されているので,高得点を目指すなら見逃してはならない。

 問題の出題形式で分類すると,全問題36問のうち,2カ所の空欄の穴埋め問題が5問。文章を読んで,それが示す語句を答えさせる問題が5問。いわゆる一問一答的な知識で取れる問題はこの10問である。しかも,後者の問題のうち,語句を選ぶ代わりに地名を地図で選ばせる問題が1問,農具が図で示されて,適当な説明を選ばせる問題が1問あり,生半可な知識ではできない問題が多い。

 出題形式のうち,いちばん多いのが正誤問題だ。36問中22問である。このうち,正誤問題の組み合わせ問題(二つの文章がともに正しいのか,一つの文章だけ正しいのか,二つとも間違っているのか)を問う問題が7問ある。もともとセンター試験では,大問1の選択肢1や2のように,時代が異なっている文章で誤っているタイプの形式が多い。これはこれで今後も多いとは思われる(1の鳥毛立女屏風は天平文化なので,宋とは時代が合わず,2の濃絵は桃山文化なので,平安貴族の住宅はおかしい)。

 ただ今年は,大問1の2のように,琵琶の所が三味線になっていたり,大問1の6のように,「奈良盆地」に水城がある(水城は九州に設置)など,時代ではなくて内容が異なっている問題が目立った。これはどちらかというと,私大の入試問題に多いタイプだが,日頃から教科書を読み込んで,「歴史を理解しよう」という視点があれば,さほど難しい問題ではない。この意味で,今回のセンター試験は,しっかりした勉強をした受験生が9割超えをし,なんとなく受験勉強をしていたものが,平均点を下回るという,二極分化した結果になることが予想される。

 受験勉強で大事なことは,やらされてやらないことだ。一問一答集というのはその最たるもので,受験科目だから仕方なくやる人のとりあえずのアイテムではなかろうか。一問一答集は捨てておけ。教科書を読んで,水城とは何か,時代はいつ頃かなどを理解した後に,過去問をやってトレーニングすれば,センター試験は高得点が取れる。

 今年は,本番でいちばん点が取れたといううれしい声をたくさん聞いた。日本史は,理解できて点が取れるとこんなに楽しい科目はない。ぜひこれからセンター試験を受ける生徒も,先輩の後に続いてほしい。


第1問文化財の保存と保護博物館を舞台に,美術・音楽・建築・地名・遺跡など文化史を中心に問う。 1 ・ 3 ・ 6 がカギ。
第2問律令国家と地方支配律令国家の成立・再編・解体を,地方支配の仕組みや実態を中心に問う。 7 が思考を要する。
第3問中世の政治・外交・文化中世の政治権力の推移を概観しながら,それぞれの時代の出来事を問う。 16 ・ 17 ・ 18 がやや難問。
第4問近世の社会・経済・文化近世の社会・経済史からの出題, 22 など身分制の問題をはじめ本年の一番の難問に。
第5問明治期の日本の支配と領土明治期の日本領土を中心に,地図・植民地の位置付け・国内の自治も問う。 27 ・ 28 のクリアが目標。
第6問市川房枝にみる近・現代史婦人解放運動家を通し,大正デモクラシーの高揚から戦後の疑獄事件を尋ねた。 32 を頂点に 30 , 33 も注意。


平均点変移
20112010200920082007
64.1161.5157.9464.2767.02