2012年は大問「6」・小問「35」の出題でした。これは昨年2011年と全く同じ出題構成でした。今年は、出題形式では、組合せ選択(6択)問題が昨年の「17」から「8」に半減、正誤問題が昨年の「6」から「12」に倍増していることが特色です。
しかし、各大問ごとの出題内容は、地図・図表・画像(写真)などを用いた問題が多いことなど例年通りで、資料・データを読み取る能力が要求されていることが分かります。出題の傾向はほぼ固定されていますので、地味な作業ですが基本を繰り返した学習と過去問分析がもっとも大切です。新高3生・新高2生になる皆さんは、なるべく早い時期からセンター対策の準備を進めることをお勧めします。英数国より後でよいといった考え方では実は間に合いません。実際にはもう1年切っていますから、今日からはじめてください。新高2生も1日も早くその準備に取りかかってください。
大問数 | 小問数 | 選択組合せ | 選択 | 正誤 | |
2012 | 6 | 35 | 11(4択-3/6択-8) | 12 | 12 |
2011 | 6 | 35 | 18(4択-1/6択-17) | 11 | 6 |
【第1問】世界の自然環境と自然災害
問1 プレートテクトニクスの基本問題。C海域は狭まる境界です。プレート関連の問題は毎年出ます。
問2 ハイサーグラフを使った気候問題。ケープタウン、札幌、チュニス、レイキャビク。これだけ各都市の緯度が違えばミスすることはないでしょう。ハイサーグラフまたは雨温図を使った気候問題、これも毎年出ます。
問3 「プレートの動きにともなって土地が隆起」したとあることからアンデス山脈付近を考えれば解答にたどりつけるでしょう。
問4 褐色森林土と判断できたかがポイントです。土壌・植生は受験生のウィークポイント。
問5 エルニーニョ現象に対してやや詳しい因果関係の知識がないと正誤の判定ができません。やや難。
問6 気象衛星画像など地学のような出題ですが、地理でもたまに見かけます。Qを冬と判断できたかがポイントです。科目横断的な学習が必要です。
【第2問】世界の農牧業
問1 最も高緯度まで栽培できるのがライ麦、次が大豆です。基本問題でしょう。
問2 図を見なくても文章だけで正誤可能でした。これも基本問題です。
問3 非常に易しい正誤問題です。間違った人はいないのでは?
問4 豚の飼育頭数は中国が世界の約50%を占めています。「データブック」などでの日頃の統計学習が大切です。問4のような図を図形表現図といいますが、第2問では頻出の地図です。覚えておくといいでしょう。
問5 農業従事者1人当たり農地面積の高さから北アメリカ、1ha当たり小麦収量の高さから西ヨーロッパと考えればよいでしょう。
問6 遺伝子組み換え作物をテーマとした小問はセンター試験ではあまり見かけないので最初はビックリしましたが、正誤文が比較的容易だったので、最後は落ち着いて解き終わったことでしょう。
【第3問】都市と村落、生活文化
A
問1 ①メキシコ、②トルコ、③オーストラリア、④イタリア。トルコの首位都市(プライメートシティ)はイスタンブール。オーストラリアの首都はキャンベラで人口約40万人ほどです。首都機能に特化した都市の人口は意外に少ないことを知っておくと便利です。
問2 イラストよりもむしろ説明文にヒントがあります。ア)中心部に城壁で囲まれた政府機関…→クレムリン宮殿→モスクワ、と連想できればこの問題のレベルを下げることが出来ましたが、そこに気づかないとア)とウ)の判断が難しいです。ウ)の副都心からパリのラ・デファンスをイメージできるといいのですが。
問3 受験生はあまり見る機会が少ない土地利用図を用いての出題でしたが、選択肢がごく常識的なものだったので正解に至るには問題なかったと思います。
B
問4 C バルカン半島にはヨーロッパでは少数ですが、イスラーム教徒が居住します。
B ドイツの中北部はプロテスタント、オーストリア・イタリアはカトリックが多いのが特色です。
問5 スリランカは南部を中心に仏教徒シンハラ(シンハリ)人が居住しています。スリランカの旧宗主国はイギリスです。①スリランカ、②ウズベキスタン、③フィリピン、④スウェーデン。
問6 インドの宗教上の制約からくる食生活の問題。基本レベルです。宗教と食生活の問題、よく出題されます。
【第4問】北アメリカ地誌
問1 北アメリカ先住民の居住地の判別問題。選択肢が平易なので図を見た印象よりは易しいです。
問2 アラスカはロシアから買収した土地だと知っていればこの問題も易しいです。
問3 この問題は難。大学院修士号以上の取得者の割合を見てひっかかってしまうように作問されています。
問4 ①小麦、②大豆油、③トウモロコシ、④米。③はメキシコ、④は日本の多さから考えます。小麦と大豆油が残れば米とともに二大穀物の小麦の量の方が多いはずです。
問5 アメリカ合衆国南部は、同国有数の農業地域です。
問6 K-日本、L-メキシコ、M-イギリス、N-中国。世界貿易における中国の台頭が目覚しいです。
【第5問】現代世界の諸問題
問1 階級区分図(コロプレスマップ)の読図。選択肢が平易だったので問題なく解けたでしょう。
問2 「緑の革命」についての出題は定番ですが、今回の下線部正誤の判定には「緑の革命」について教科書レベルよりさらに深い知識が必要でした。
問3 難。今年度最も難しい一問だったのではないでしょうか。東南アジアと南アメリカの識別が難しいです。
問4 ②と③で区別が難しい問題だったと思われます。
問5 スペインは欧州各国と同様に、偏西風帯に位置し、風力利用に特色があります。ニュージーランドは火山が多いので地熱。①フィンランド、②スペイン、③カナダ、④ニュージーランド。
【第6問】静岡県大井川流域の地域調査
問1 下流から上流へと流域の地形は徐々に険しくなっていくはずです。
問2 ごく基礎的な地形図記号の識別が問われているだけです。
問3 「牧ノ原」が静岡県の茶栽培の「中心地」です。
問4 新旧地形図の読図は毎年の出題です。この出題形式にはよく慣れておかなければなりません。
問5 林業から川根本町、漁業から吉田町が判断できます。
問6 扇状地は典型的な堆積地形、洪水の流れは図4を見れば容易に予想できます。
第1問 | 世界の自然環境と自然災害 | 問5 エルニーニョ現象の影響の判断は難だったか。 |
第2問 | 世界の農牧業 | 問6 遺伝子組み換え作物からのアプローチは新しい視点。 |
第3問 | 都市と村落、生活文化 | A・B分割問題。この分野のA・B分割は定番化しつつある? |
第4問 | 北アメリカ地誌 | 北アメリカ地誌は2009年のカナダ地誌以来。 |
第5問 | 現代世界の諸問題 | 問3 東南アジアと南アメリカの判別は難。 |
第6問 | 大井川流域の地域調査 | 地理Aとの共通問題。衛星画像、新旧地形図など今年も定番の出題。 |
平均点変移
2011 | 2010 | 2009 | 2008 | 2007 |
66.40 | 65.11 | 64.45 | 66.36 | 58.41 |