倫理・政治経済

予想通り、「倫理」と「政治・経済」からの流用だった。

新規設置(実質は復活)の科目であり、大学入試センターから何の内容予告もなかったにもかかわらず、東大などの難関大学が公民の選択科目として指定したばっかりに、この科目を学習せざるをえなかった受験生の皆さん、本当にお疲れ様でした・・・と長々と言わねばならないほど、この科目は私たち講師に複雑な思いをさせる出題でした。何が複雑かと言って・・・

今回の出題を見る限り、この科目は、「倫理」「政治・経済」のどちらか一方を単独で学習する場合よりも、単純に2倍の学習が必要だからです。2科目学習する分問題が簡単になっているといった配慮はまるでなく、予想通り倫理分野、政経分野各50点で、小問単位で見ればすべて「倫理」「政治・経済」からの流用であり、当科目オリジナルの小問はありませんでした。とはいえ、全分野からまんべんなく出題されていますので、今この文章を読んでいる方は、「倫理」と「政治・経済」それぞれの文章も読んでいただければ幸いです。
以下注目すべき問題を例に挙げながら、来年センター試験でこの科目を受験する人にアドバイスをしておきましょう。
(1)ただ事項(人物名・単語・著書名など)を暗記するのでなくその事項の意味(倫理なら思想内容)・仕組み(政経なら制度)を理解する必要があります。たとえば【2】(倫理分野)、【33】(政経分野)はいずれも、単なる「浄土教」や「人権」の分類といった事項を暗記するだけでは解答できず、それらがどのような意味内容と性質、仕組みを持つのか、なぜそのような事柄が必要とされたのかといった「つながり」を理解したうえで、解答を導き出す必要があります。
(2)時事問題への対応が必要です。といっても、単に時事問題にだけ興味をもつだけでなく、倫理と政治経済の教科書レベルの基本知識を身につけたうえで、それをもとに時事問題を理解することが必要です。たとえば【8】(倫理分野)は改正臓器移植法について、【21】(政経分野)は地方分権についての知識がないと解けないでしょう。
(3)図表問題への対策も必要です。ただし、この問題は倫理分野よりも政経分野の方が難しい傾向があります。政経分野の【28】【30】【32】といった図表問題(今回は倫理分野からの図表問題はナシ)は、単純な基本知識だけでは解答できない人もいたでしょう。「政治・経済」の方では、さらに難しい図表問題も出題されていたので、データを読み取る練習を積み重ねる必要があります。
(4)これは政経分野だけですが、計算問題への対応が必要です。本年では【26】1題のみでしたが、今後増える可能性もあるので、対策と練習が必要でしょう。
上記を踏まえて当科目を選択する2年生の皆さんに総合的にアドバイスしますと、
「政経分野を丁寧に学習してから、倫理分野を追い込むべき」
としか言いようがありません。というのも、上で「この科目は、「倫理」「政治・経済」のどちらか一方を単独で学習する場合よりも、単純に2倍の学習が必要」と書きましたが、上記(1)〜(4)からわかるように、それは正確には、「倫理」から見れば「2倍」ということであって、「政治・経済」から見れば「1.5倍」で済むからです。したがって、具体的な戦略としては、政経分野には高3の初めから取り組んでおき、倫理分野は夏以降から本格的に取り組むというスケジュールになるでしょう。その際重要なのは過去問演習で、「倫理」「政治・経済」の両方の過去問で練習するべきです。各事項の理解・記憶→過去問演習→確認・復習のサイクルを繰り返しつつ得点力を高めていきましょう。


第1問(倫理分野)源流思想「倫理」第2問からの流用。問2・6は「倫理」第3問(日本思想)からの抜粋。
第2問(倫理分野)西洋近代思想「倫理」第4問からの流用。問1・6は「倫理」第5問(現代倫理)からの抜粋。
第3問(倫理分野)各分野融合課題文なし。「倫理」からのいわば「落穂拾い」問題。
第4問(政経分野)日本の政治経済システム課題文だけは当科目オリジナルだが、各問は「政治・経済」からのいわば「落穂拾い」。
第5問(政経分野)国際経済とバブル崩壊後の日本経済「政治・経済」第3問のまるまる流用。
第6問(政経分野)基本的人権と司法府の役割「政治・経済」第4問のまるまる流用。