物理I

マーク数は減少し、計算量も昨年同様少なめであったが、考察力を要するバランスのよい出題となった。

 全体的にいわゆる典型問題が多く出題され、物理の受験勉強をしっかりやってきた受験生にとっては、比較的取り組みやすい問題であっただろう。しかしところどころに考察力を要する手ごわい問題も見られた。

 第2問・B(電気分野)、第3問・A(波動分野)の問題は問題集、参考書などではなかなか見かけない形の問題である。このような問題にあたったときに正解を導き出すためにはどのようにしたらよいだろうか。

普段の学習の中でいかに「1つ1つの現象について深く考え、現象を芯から理解をしているか」が非常に重要である。普段、問題を深く考えることなく勉強を進めてきた受験生は今回のセンター試験のような問題には対応できない。解くために必要とする思考力が養われていないからである。これから物理を本格的に勉強しようと考えている生徒はとにかく1つ1つの現象を深く考えて、自分が納得できるまで追求していこう。それでは具体的に問題にあたってみよう。


第1問

 小問集合。力学・波動・電磁気・熱のいずれも基本問題が出題されている。落ち着いて解いて確実に全問正解しておきたい。

第2問

A問2
 電磁誘導の問題。磁界に変化があると電流が流れるという現象についての出題である。電磁誘導の問題は今回の問題のように、どの向きに電流が流れるかという「電流の向き」についての出題が多い。電磁誘導の鉄則「磁束の変化を嫌がる方向に手を向ける」ということを念頭において考えれば容易に正解できたであろう。

B問3
 直流回路の問題。この問題を解く上での前提として「ニクロム線の抵抗は長さに比例する」ということは知っておかなくてはならない。 図3から図4のように回路を変えたときに電流の値が0.15Aから0.25Aに変化しており5/3倍大きくなっている。抵抗にかかる電圧は一定なのでオームの法則から抵抗値は電流の逆数倍つまり3/5倍に変化したことがわかる。図3の回路において抵抗値は100Ωであるから図4の回路の合成抵抗60Ωとなる。図4の回路が直列−並列−直列の回路になっていることと、ニクロム線の抵抗は長さに比例することから接続した抵抗値を求める。やや難易度の高い問題であり、思考力を要する問題である。

問4
 グラフを選ぶ問題。センター試験では頻出である。ニクロム線の抵抗は長さに比例することから抵抗値と長さの関係式を作る。さらにキルヒホッフ第2法則より、電流と抵抗の関係式を作る。これら2式より、電流と長さの関係式を作るとグラフは双曲線型とわかる。このようにして電流と長さの関係式を作って選択肢を選ぶことが理想ではあるが、グラフの形が見抜けなくても正解できる方法はある。
 抵抗の長さが変化しているのだから電流の値が一定であるはずはないのでCとDはすぐに正解の選択肢でないことはわかる。すると@かAかBの形から正解を選ぶわけだが、「グラフ上のある1点」に注目するとよい。例えばL=5の時で考えてIの値が0.45であればA、0.45よりも小さければ@、0.45よりも大きければBとなる。このL=5の時のIの点を具体的に調べることでグラフ全体の形がわからなくても正解できてしまうのである。この方法は昨年度のセンター試験では非常に有効な手法であった。ぜひとも覚えておいてほしい。  

 この第2問はAが1問あたり5点、Bが1問あたり4点である。しかし明らかにBの方が難易度は高い。他の科目との平均点の調整をしようとする配慮がうかがえる。

第3問

A問2
 青い光は赤い光よりも波長は短いのでスクリーンの中心側(P側)に現れるということは見抜けた人が多いであろう。しかしこれだけではこの問題は正解できない。グラフ上の値をよく見るとPが0.36でRが0.72である。つまりRはPの2倍になっているのでRは青い光の2次光であることがわかる。グラフ上の細かい数字までみて思考していかなくてはならない。
 回折格子は特に普段から現象をよく考えイメージする力を養っておく必要があるだろう。

第4問
 毎年第4問は計算量が多く難易度の高い問題が出題されているが、今年は計算量も減り易化した。

B問4問5
摩擦力の仕事によりエネルギーが減少し、その減少分がmghの3/10であることに気づけば容易に正解できる。1回通過するごとにmghの3/10ずつ減ることをイメージすれば計算もほとんど必要なく正解できたであろう。


第1問小問集合第1問:波の伝わる速さ 第2問:円電流のつくる磁界
第3問:等加速度運動  第4問:平面波の屈折
第5問:力のつりあい  第6問:熱量保存
第2問電磁気A:電流部分が磁界から受ける力と誘導電流
B:直流回路
第3問波動A:回折格子
B:気柱の共鳴
第4問力学・熱力学A:ばねの運動
B:運動とエネルギー
C:気体の状態変化と熱の移動


平均点変移
20112010200920082007
64.0854.0163.5564.5564.42